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なぜなぜ分析、やってるのに成果が出ない理由~業務改善につなげる5つのポイントを60分で解説~(全4記事)

「なぜなぜ分析」は順番を間違えると機能しなくなる ミスを繰り返さない組織をつくるポイント

【3行要約】
・「なぜなぜ分析」は「5回」が重要だと思われがちですが、実際には回数ではなく原因をたどる「順番」が成果を左右します。
・高松康平氏は、近い原因から遠い原因へと深掘りすることで、行動・個人・組織の要因を整理できると指摘します。
・最初の「なぜ」を誤ると分析は見当違いになり、正しい順番で掘り下げることがミスやインシデントの再発防止につながります。

前回の記事はこちら

「なぜなぜ分析」はなぜ5回と言われるのか

高松康平氏:ここから(業務改善や業務ミス削減につなげるための)技術論に入っていきます。

ポイントの2つ目です。なぜなぜ分析の「なぜなぜ」の回数は大事だと言われますが、それよりも大事なことがあります。それはなぜなぜの「順番」です。みなさん「なぜなぜは5回」という話はよくご存じだと思います。ただ実際のところ、回数がそんなに大事なのでしょうか、ということを少し問いかけたいと思います。

よく「なぜ、なぜ、なぜ、なぜ、なぜ。なぜは5回やる」と言われますよね。

そして「なぜ5回なのか」と聞くと、多くの場合こう答えられます。「表層的な原因ではなく、真因にたどり着くためです」と。ただ、それは「何回もやる理由」にはなっていますが、「なぜ5回なのか」という理由にはなっていませんよね。

「なぜ5回やる必要があるのか」。例えば「3回ではだめなのか」「6回や7回、あるいは10回ではどうなのか」。こう聞かれると、「なぜ5回なのか」というところは、意外と明確に答えられないことが多いと思います。とはいえ「なぜなぜ5回」は非常に有名です。日本の生産現場から生まれた考え方で、さまざまな場面で紹介されていますし、多くの本にも書かれています。

ただ、なぜが5回なのか。私自身もいろいろな本を読んでみました。その結果、今のところたどり着いた結論があります。それは「ちょうどよかったから」というものです。

少し拍子抜けするかもしれませんが、本には「経験則」と書かれていました。つまり、日本の生産現場、特に自動車産業では、従業員が数十万人規模で働いています。その中で歩留まりを改善したり、ミスを減らしたりするためには、共通の考え方が必要でした。

そこで「なぜを5回やろう」と決めました。5回くらい掘り下げると、ちょうどいいところまで原因にたどり着けることが多かった。だから「みんな5回なぜをやろう」と決めた、ということです。

「なぜなぜ分析」は回数より「順番」が大事

ただし、その考え方が他の企業にもそのまま当てはまるかというと、必ずしも保証されているわけではありません。みなさんが自動車をつくっている企業であれば、そのまま参考になるかもしれません。しかし、実際にはそうではない産業の方も多いと思います。

ですから「何回やればいいのか」という回数にこだわるよりも、なぜ何回も繰り返すのかという考え方のほうが大事です。問題が起きる時には、直接的な原因だけではなく、もっと遠い原因や間接的な原因など、さまざまな要因が絡み合っています。

だからこそ、なぜ、なぜ、なぜと繰り返しながら、近い原因から遠い原因まで掘り下げていく。その結果、複数の原因を捉え、それぞれに対応していくことができるわけです。

つまり、「何回やるか」よりも大事なのは、問題の原因には、近い原因と遠い原因があるということ。そして遠い原因までしっかり掘り下げることで、原因全体に対応できるようになるという考え方です。まずはこの点を理解しておくことが大切だと思います。

例えば、メールの誤送信が起きたとします。では、どのような順番で深掘りしていけばいいのでしょうか。メールの誤送信は、今でも起きてしまうことがあると思います。例えば「宛先を見間違えた」。名字が同じ人がいて、履歴検索で選んでしまい、見間違えて送ってしまった、というケースです。

そこで「なぜ」と聞きます。「焦っていたんです」。では、なぜ焦っていたのか。「忙しかったんです」。このように「なぜ、なぜ、なぜ」と掘り下げていくわけです。大事なのは、近い原因から遠い原因まできちんと深掘りできているかどうかです。

「なぜなぜ分析」で最初に聞くべき「なぜ」

では、順番はどう考えればいいのでしょうか。メールの誤送信が起きた時、最初に出すべき「なぜ」はどれでしょうか。例えば4人の方に聞いたとします。すると、違う意見が出てきます。

Aさんは「メールの宛先の入力を間違えた。そこから考えるべきではないか」と言います。Bさんは「担当者のスキルが低かったのではないか」と言います。Cさんは「期末で忙しかったからではないか」。Dさんは「体調が優れず、集中力が低かったのではないか」。

では、最初に出すべき「なぜ」はどれでしょうか。どれから始めればいいのでしょうか。なんでも良いのでしょうか。ここは悩むところです。「なぜですか」と聞くと、かなり幅の広い質問になります。なんでも出せてしまうとも言えます。ただ、なんでもいいわけではありません。

なぜなら、私たちは近い原因から遠い原因まで掘り下げていきたいからです。ですから、最初に出すべき「なぜ」は、できるだけ近い原因から始めるべきです。

同じミスが繰り返される時に見落とされている原因

近い原因とは何かというと、問題が起きた時に実際に起きた「行動」です。行動が起きたから問題が起きたわけです。例えば「宛先の入力を間違えた」。では、なぜ入力を間違えたのか。そこから次の原因として、「担当者のスキルが低かった」という要因が出てくるかもしれません。さらにその背景には、「期末で忙しかった」「体調が優れず集中力が低かった」といった要因があるかもしれません。

なぜ何度も「なぜ」を繰り返すのかというと、この行動の部分だけで原因分析を終えてしまうと、また同じミスが起きてしまうからです。

例えば「メールの宛先の入力を間違えた」という原因だけで終わってしまうと、「次は間違えないようにしてください」という対策になりがちです。しかし、担当者のスキルが十分でなければ、また間違えてしまうかもしれません。期末で忙しければ、焦ってミスをするかもしれません。体調が悪くて集中力が落ちていれば、同じことが起きる可能性もあります。

ですから、行動だけではなく、個人の要因、さらに組織の要因まで深掘りしていくことが大切です。そうすることで、同じミスが再び起きないような対策につながります。つまり、大事なのは「5回やること」ではありません。直接的な原因の背後にある間接的な原因、さらにその奥にある遠い原因まで掘り下げていくことです。

そして、そのためには近い原因から遠い原因へとたどっていく。この順番が重要だということです。

「なぜなぜ分析」の正しい順番

では、どういう順番で深掘りしていけばいいのでしょうか。大事なのは、正しい順番のパターン認識を持っているかどうかです。

その1つの考え方がこちらです。

まず「行動の原因」があり、その下に「個人の原因」、さらに「組織の原因」というかたちでつなげていきます。他にもさまざまなパターンがありますが、まずはこうした基本的なパターンを理解しておくことが重要です。

左側には「基本」と書いてありますが、問題が起きた時には、その直前に原因があります。例えば「入力を間違えた」。その前には別の原因があり、そのさらに前にも原因がある。こうして原因が連なっているわけです。これが1つの考え方です。

そして業務の問題で考える場合、先ほどの例のように、問題が起きた。その背景に行動がある。その行動の背景に個人の要因がある。さらにその背景に組織の要因がある、というかたちで整理していきます。

正しい順番を理解することで得られる気づき

今日は業務ミスの話が中心なのでそこまで触れませんが、例えば営業の問題で「なぜ売れないのか」と考える場合も同じです。まず「なぜ売れないのか」。例えば「お客さまが必要ないと思った」という顧客の行動があるかもしれません。

では、なぜお客さまが必要ないと思ったのか。それは営業の量や質の問題なのかもしれません。その背景には営業のスキルや営業のマインドの問題があるかもしれません。さらにその背景には、システムや評価制度、あるいは組織風土の問題があるかもしれません。

このように、正しい順番のパターンを理解しておくと、いきなり関係のない原因が出てきた時に「それは少し順番が違うのではないか」と気づくことができます。ただ「なぜなぜとりあえず5回やりましょう」と言われるだけだと、この順番を意識するのはなかなか難しくなります。ですから、こうした構造を知っておくことが大事です。

また、事業全体で考える場合も同じです。例えば「最近うちの会社の売上が伸びていない」という問題があるとします。売上が伸びていないということは、顧客が「欲しくない」と思っている可能性があります。

では、なぜ顧客が欲しくないのか。それは商品やサービスの問題なのかもしれません。あるいは販売チャネルの問題かもしれません。さらに、なぜそうした問題が起きているのかと考えていくと、バリューチェーンや組織の問題に行き着くことがあります。そして、そのさらに外側には、外部環境の影響もあります。

こうして整理していくと、結果として「なぜ」を5回くらい掘り下げるかたちになることもあります。ただし、重要なのは回数ではなく、正しい順番で原因を深掘りしていくことです。これが2つ目のポイントです。

なぜなぜの回数を「5回」と決めてしまうのではなく、どういう順番で原因を掘り下げていくのかを考えること。最初に出す「なぜ」はどの種類の原因なのか。そして、どこまで掘り下げるのかという点では、外部環境くらいまで見られれば十分だと思います。

例えば「景気がいい」という外部環境があります。では「なぜ景気がいいのか」とさらに掘り下げても、だんだん説明が難しくなってしまいます。そこまで行くと分析の範囲を超えてしまいます。ですから、外部環境あたりまで整理できれば十分ですし、場合によってはその1つ手前の「組織の要因」まで見れれば、「なぜなぜ分析」としては十分な深さまで到達していると言えると思います。

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