【3行要約】・「やる気を出させる」アプローチが逆効果になる一方で、成果を出す組織は「意向」よりも先に「行動と実力」を先行させています。
・株式会社NOKIOOの古賀奈津紀氏は、管理職登用において「上司自身も部下の変化を実感し伴走すること」が登用への確信につながると指摘します。
・古賀氏は孤独を感じやすいリーダー候補を支えるために、弱音や不安を共有し互いの経験を補い合える「学習コミュニティ」などが有効だと提言します。
前回の記事はこちら 上司も変化を実感することで登用への確信が生まれる
古賀奈津紀氏(以下、古賀):先ほど成瀬さんから(管理職の登用・育成に必要な)時間軸の話をいただきました。たぶん、行動を起こして変化に気づいて、「あっ、こうなるんだ」という本人の実感値を伴うには一定の期間が必要なのかなと解釈しながら聞いておりました。
成瀬岳人氏(以下、成瀬):一定の時間が必要。この時に別の論点として、自分では(変化に)気づけないみたいな話もあったと思いますけど、これは本当にそのとおりですね。
古賀:これも今週の私のトピックスなんですけども、お客さまと数ヶ月のプログラムが終わった後のレポーティングをしていまして。当社のレポーティングは本人と上司が同じ項目で実施をするものなんですけれども、上司がきちんとした頻度で伴走できた場合は、上司(の側)も変化を実感する数値がけっこうちゃんと出てくる。
当然ながら上司も「人事に任せた」と言ってその後は一切見ないよりも(笑)、伴走を組み込んでいくとちゃんと変化に気づくので、上司も変化の実感が高まる。これは数ヶ月(のプログラム)なので、なかなか「いきなり登用」ってならないケースもありますけれども。
やはり上司自身も行動や変化を実感しないと登用には至らないので、そこもきちんと仕掛けていくのは大事ですね。その結果、本人も変化を実感できるし自信が持てるという。
成瀬:そうですね。もうチャットで第2部が始まっているんですけど(笑)。
古賀:第2部(笑)。
意向を変えようとせず「行動と実力」を先行させる
成瀬:(チャット欄を見て)いやぁ、すごくいいですよね。この手のフィードバックのお話とか。みなさん、ありがとうございます。あぁ、なんだかもう、解決しちゃっていますよ(笑)。
古賀:(スライドを示して)この2番に、当社が支援する時に意向から変えるというアプローチにしない、というところのヒントがけっこう詰まっているかなと思っています。
成瀬:やる気にさせようとしちゃうとね(笑)。(続いては)3番目にいきたいですね。この同志形成ね。これこそ本当に僕は、女性管理職だけの話じゃないなと思っているんです。ちょっと聞いていきたいと思いますけど、私が最初に話してもいいですか?
古賀:はい、ぜひお願いします。
成瀬:みなさんがおっしゃるとおり、これは性別だけの話じゃなくて。最近は若者と話していても、みんな「いや、私はいいです」みたいになるんですけど、私も20代の頃を思い返してみると、そういうふうに思っていた時期があるなと。
その当時は、そんなことを言ってはいけないと思っていたんですよ。「『やる気がないんじゃないか?』と思われるんじゃないか」とか、「あっ、あなたはもう出世街道から降りたのね」みたいに決められるとか(笑)、そういう思い込みであったり。
でも、当時はマジでそうじゃなかったかなと思っているので、ギリギリ、本当に仲のいい同僚とかにはそういうことも話したかもしれません。(スライドを示して)この絵は女性ですが、私もこうでした。

やはり「手を挙げよう」と言われても、自分で判断しなきゃいけなくなってしまう。その状態で意思決定しなきゃいけないので、「はい。やる? やらない?」と、突然(話が)来るみたいな。
古賀:なるほど。
孤独な意思決定を支える「同志」の存在意義
成瀬:だから当時は同志がいなかったんですよね。正直、ロールモデルはいましたよ。いましたけど、私はけっこう「(ロールモデルを見ても)もともと強い人なんじゃないかな」と思うので、「あの人のようになりたい」というのは(なかった)。今回のテーマにしている、この機会をもっとより多くの人に持ってほしいなと思っているんですけど。
そう考えると、ロールモデルではないとしても、同志というテーマはあるんじゃないかなと思っているんです。
古賀:チャットでも、「孤独だなと感じることが自分自身も多くなった」という、管理職の方のコメントも入っています。
成瀬:もう、「いいね」が7個付いていますけど。
古賀:(笑)。
成瀬:(スライドを示して)「『見たこともないものになれ』と言われても困る」というのは、ちょっと古賀さんの話も聞かせてもらえますか?
古賀:はい。これまでの管理職像が日々目に映る中で「どうですか?」「なってください」と言われると、同じものを目指すか、もしくは見たこともないものになってくださいと(いう選択肢がある)。
私は今、子どもと『ポケモン(ポケットモンスター)』にハマっているんですけど、「(幻のポケモンの)ミュウになれ」みたいな(笑)。
成瀬:(笑)。
古賀:すみません。わかる人しかわからない(笑)。そういう「見たこともないものになれ」という。管理職になると、ただでさえ性別にかかわらず孤独感がある中で、同じ管理職でも「わかるよ」と言ってもらえる人がいないのは、難しくさせる要素の1つだなと思っています。
これは裏返すと、一緒にがんばれる人たちがいることが(管理職になることを決断する)最後の後押しになるのかなと思うんですよね。
弱音を吐ける「学習コミュニティ」の設計
成瀬:そうか。ある種の越境ですけど、NOKIOOとして、そういう女性リーダーのコミュニティを作ってこられた実績もあるのかなと思います。やはり競わせないとか、前向きさを求めないとか、「迷っている」「不安だ」を出していいとか。
やはり、私から客観的に見ても本当に目からうろこで、「いやぁ、マジでそうですよね」と思う瞬間が多々あったんです。この同志形成とか、すでに形成された同志とかを見てこられて、古賀さんが「ここは大事だな」と思われるポイントはありますか?
古賀:そうですね。先ほどのページで書いていただいたところはもちろんですけれども、「中核人材を育成していこう」という取り組みをされている企業はけっこういるなと思っています。ですが、何らかを組み込んでこの同志形成の要素までを設計されている場合と、そうでない場合があると思っています。
「リーダーシップとか、このポジションに就くために必要なスキルを押さえるよ」と集まって学ぶ場の設計と、「どう一緒に学ぶか」「学習の過程でも自分はどう考えた」「これを実践してみた」ということのシェアがないと(いけません)。
そこまでがあって、個人の経験だけではない視点とか、「難しかった、大変だった」という(感想の)ところも含めて経験値になっていくので、そういったコミュニティをどう織り込んでいくかは大事なポイントかなと思っています。
成瀬:なるほど。
古賀:立ち上げもそうですし、プログラム期間中にどんなやり取りや交流、サイクルが回るといいのか。最後の締めくくりで、「イベント的に終わった」ではなく、再現性を高めて引き続きつながり続けることをどう設計していくか。こういったところですね。
相互の知見を補い合い「一人じゃない」手応えを作る
成瀬:いやぁ、そうですよね。だから、「なりましたね、みなさん。おめでとうございます。解散です」だったら(笑)、なった後も大変だとは、私はあまり言いたくないんですけど。でも、事実として大変なこともあるでしょうから。
やはり弱音というか、どうにかしようと思っている悩みとか(を共有する)。それは健全な悩みなので、言ってはいけないというのは私でもきついです(笑)。
古賀:あと、(意見を共有する場を)イメージしていただくのに、私は今日のチャットが理想的だなと思って見ていたんです。私どもが支援をさせていただく時のコミュニティでのやり取りは、まさにこんな感じなんですよ。「困っているよ」とか、経験した人からは「私はこんなことを試してみているよ」ということが相互に発生するので。
プログラムでの学びはもちろんあるんですけれども、お互いに自分の知見や経験を補い合うことが生まれ始めると、「あっ、このプログラムが終わった後も次のいいステップが描けそうだな」という手応えにつながるなと思っています。
成瀬:なるほどね。
古賀:なので、みなさんの今日のチャットはいいイメージです(笑)。
成瀬:すごいですよね。みなさん、もともと仲間だったりしていないですか(笑)?
古賀:(笑)。