中堅が残る組織には自分の話をできる場が必要になる
質問者1:私も新卒から同じ会社にいて、今はいわゆる中堅です。ひと通りのことをやってきたので、結局、中堅の人間は都合よく使われがちだなと思っています。
その中堅が離れているというのは、たぶんどこの会社でも起こっていると思うんですけど、どうしたら中堅が残るのか。どうしたら良い組織になって、みんなが生き生き働けるのか。答えが見えてなくて迷っているんですけど。
小櫃:すばらしいご質問です。いい迷い方をしているなと、めちゃくちゃ感じました。
答えはないはないんですけど、まず「自分はどうしたらいいのかな?」を大事にしてほしいです。ご自身のことを、まず大事にしてもらいたいなと思います。
おそらく、みんな「どこ行きたいか」も「何したいか」もわかっていないんですよね。だから、外を見てどこかに求めに行く。だから、いなくなるし、示してくれる人を探す。現状は、そういう状態なんだと思います。
「みんなでハッピーに」ということでいうと、外に行くのではなくて、「自分は何がしたいんだっけ?」という話を、みんなでしてみる。これはすごく大事ですね。
会社の機能として、そういうものがある場合もあると思うんですけど、それってあくまで自己分析の話であって、理解ではないんですよ。どういう価値観があって、そうなっているんだっけ。何したいんだっけ、という話は、会社では一切行われていないとけっこう思います。
だから「腹を割って話そうぜ」という意味で、「飲みに行って話さない?」というのも、あながち合っています。でも、飲みにケーションで何を話しているかは、また別問題です。
「みんながハッピーに」という感覚を目指すんだったら、そこかなと思います。とはいえ「みんながハッピーになる状態って?」という前提のすり合わせは必要だと思います。
門:ありがとうございます。
小櫃:「みんながハッピーになる方法って、どうしたらいいんだろう?」って、なんていい言葉なんだって、めちゃくちゃ思います。
組織の定数に苦しまず動かせる変数に集中する
門:今その問題に気づけているということは、ご自身が構造的に組織を捉え始めているということです。構造的に捉えると、「自分じゃどうしようもない」部分が見える。定数と変数が見つかるんですよ。変えられる場所と変えられない場所が、絶対に出てくる。こことの折り合いをどうするかです。
動かせるのは変数しかない。だから、変数を一生懸命に動かしてほしい。自分の中の変数が何かは、人によります。「転職を考える」とか、いろんな事例を集めて情報を上にあげ続けるとか、自分が昇格をがんばって上から変えるとか、いろんな動かし方がある。
定数に目を向けると、ちょっと吐きそうになるので(笑)。まずは変数に目を向ける。構造的に変えられる変数に目を向けるのがポイントです。
今の組織形態の問題は2点あると思っています。1つは高度経済成長期を通した「何でも誰でもかんでもいいから入れろや」問題。そういう人たちがそのまま上司になっているパターンが多いので、自浄作用が働きにくい。
自分たちでメタ認知して、「ここが構造的におかしいから直そう」と内側から立て直していくのは、今の日本の組織ではなかなか難しい。大企業でも、気づいた人が無理やりにでもその動きを作るには、いったん壊すしかない。
でもそれって、今はたぶんできない。だからそこは定数。動かせないところです。今日の話を社長に伝えられる立場なら、ちょっとずつ社長を教育すればいいと思うんですけど(笑)。
人を囲い込むほど離れ新人育成にはwillの一致が必要になる
門:もう1つの問題は、問題ですよね。
小櫃:うん。
門:「とりあえず来た人を入れなきゃ」「逃げないようにしなきゃ」って、檻で囲むイメージでみんなやっている。でも、基本的に逃げますから。「ここにいてほしい!」って思えば思うほど、人は離れていく。
僕もコミュニティ運営していてるんですけど、ずっと所属してほしいとはまったく思っていません。「好きなところにお行き」と思っています。むしろ、ここでちょっといい感じになって、「他でもパフォーマンスを発揮できます」となったらうれしい。社会にとっていいし、それでいい。
離れる時はそういう離れ方がいい。will・can・mustの話で言うと、willができて「自分の追いたいwillがあるからそっちに行きます」というなら、死ぬほど応援します。
それを新人育成でできるか、採用でできるか。「会社のwillと新人のwillが合っているよね。だから入れよう」とできるか。だから人事ってめちゃくちゃ大事なんですよね。
小櫃:本当にそう。
門:死ぬほど大事(笑)。やり方はほとんど一緒なので、人事こそマーケティングを学んだほうがいい。という回答になるので、変数を探してください。定数に頭を悩ませないほうがいいと思います。
小櫃:(スライドを示して)最悪、このスライドを持っていってあげて。
門:あぁ、そうですね(笑)。「社長、出航します!」ってなるかもしれない。
小櫃:感情を動かせるかも。
門:感情は動かせるかもしれない。「幹部社員に(自分を)どうだい?」みたいな(笑)。
小櫃:いてくれるから、それはそれでめちゃくちゃ最高ですけどね。
門:でも、突拍子のないアイデアでも、「やれそう」と思ったらやったらいい。一見ハチャメチャでも、イメージできたら何でもできます。物事を構造的に捉えながら、絶望しない方向でやる。
管理職を変えたいならまず管理職自身をプロデュースする
門:他に質問したい方いますか?
質問者2:今、現状で起こっているのは、管理ができない管理職の問題です。なんとなく上がっちゃって、なんとなくそのコースにいる。そういう問題があって、新入社員や社員を引き上げるようなことをしない、というところが問題点としてあります。
その中で、マネジメントではなくプロデュースしていく、という話がすごくしっくり来ました。外部としてそこを支援していく上で、方法論やヒントがあれば教えていただきたいです。
小櫃:ありがとうございます。イメージ的には、管理職の方がプロデューサーとして機能すると、良くなるわけですよね。
ということは、プロデューサーをプロデュースしてあげる側として関わってあげるのが大事です。「その人がどういうことをしていきたいんだろう?」を、こっちがいっぱい聞いてあげられるといい。
聞いてあげるだけでいいんです。そうすると、聞かれた側は言葉にしなきゃいけなくなる。言葉にしていくと、自分が満たされていく中で、その周りの人たちにもできるようになる。
「なぜできるようになるのか?」というと、その人がプロデュースされて、プロデュースされるための自分の要素を手に入れたからなんですよ。もともとその要素を持っていないのに「プロデューサーになるぞ!」といってもできない。なので、プロデューサーになっていただけたら大丈夫です。
質問者2:ある意味、経営コンサルタントみたいな仕組みを入れていく感じですか?
小櫃:仕組みももちろんそうですし、手段は何でも考えられると思います。カウンセリングみたいなかたちで話すところから始まるかもしれない。もっとビジネスライクに文脈を寄せるなら、経営コンサルといった話になるかもしれない。と僕は思います。
質問者2:ありがとうございます。
(会場拍手)