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(2026年再掲版)「両利きのプロジェクトマネジメント」出版記念イベントー論理と感覚の間で(全2記事)

「強いリーダーがチームを引っ張る」マネジメントの限界 プロジェクトが行き詰まる兆候 [1/2]

【3行要約】
・VUCAからBANIへ、理解不可能な時代への移行が進む中、従来のプロジェクトマネジメント手法に限界が見えています。
・長谷部可奈氏は、脆く不安定で非線形な時代には、強いリーダー一人に頼る管理では対応できないと指摘。
・全員でリーダーシップを発揮し、対話を通じて現実を捉え、状況に応じて道具を磨く「両利きのマネジメント」が必要です。

本記事では、特に反響が多くあった同イベントの2記事目を再掲します。

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「こうすればうまくいく」という方法論が通用しない時代に

長谷部可奈氏:さらには、みなさんは生成AIを使っていらっしゃいますかね? 「もうバリバリ使っている」という方もいらっしゃると思いますし、「検索ぐらいにしか使っていないよ」という方もいらっしゃると思いますが、今ここから時代はBANIの時代に突入すると言われています。

ちょっと前まではVUCAという、不確実な時代と言われていましたが、これからはBANI、理解不可能な時代に突入すると言われています。脆く不安な時代で、感情や理解できないことにも向き合っていくことが必要だと言われているのがこの時代です。

この赤字で書いてあるのが、BANIの時代に必要なものですね。

「脆いのであれば回復力を。不安があるのであればみんなで連帯して不安を共有しながら進んでいくことができるように共感を。非線形なのであれば、起きた時に即興で対応する力を。不可解なのであれば多様な視点で眺めて、なるべく見えていないところがないように進む」。こういった力が求められていくのがBANIの時代です。

先ほど言っていたプロジェクトマネージャー像で、この時代を乗り切ることができるでしょうか? というとちょっと難しそうだなというのは、なんとなく感覚的にもわかっていただけるんじゃないかなと思います。

もはや、「こうすれば必ずうまくいくよ」という1つの方法論では通用しない時代に突入していると思います。なので、自分たちの状況に合わせて自分たちに一番ピッタリくるものを。と考えた時には、やはり誰か1人が苦労するのではなくて、みんなでリーダーシップをシェアしながらプロジェクトを進めていくシンプルな方法論が必要だと考えています。

スピーディ・合理的に進める直線的なマネジメントだけでは不十分

もう1つ。プロジェクトを通じてチームのみんなで学び、共に成長しながら、自分たち自身が使いやすいプロジェクトマネジメントの道具を作っていくための思考法が必要だと考える。この方法論と思考法を両方お伝えしようというのが『両利きのプロジェクトマネジメント』です。

直線的なモードでやっていたものを曲線的なモードで使うにはどうしたらいいのか? その場合はどういうふうになっていくのか? というのが具体的に示されているのが、この『両利きのプロジェクトマネジメント』の本だと思っていただけるといいかなと思います。

では、プロジェクトの見方を変える3つの世界観に入っていきたいと思います。私は右利きなんですけど、右手で使っているのが直線的なモードであれば、今度は左利き、左手を使っていくために曲線的なモードはどういうものなのかの理解を進める必要があるかなと思います。

その時に大事にしているのがこの3つの世界観ですね。上から見ていきたいと思います。

まず従来の考え方ですね。「プロジェクトマネージャーが強いリーダーシップでメンバーを引っ張っていくべきだ」と思われがちだったのが、本書のスタンスとしては、「全員でリーダーシップを発揮してマネジメントしていかなければ、価値を生み出すプロジェクトにならない」。そういうふうに考えて、「全員でマネジメント」と言っています。

2つ目。「プロジェクトの状況は数値で合理的に正しく把握できる」「リーダーならば正しく把握することができるはずだ」という考え方から、「リーダー1人でプロジェクトを正しく捉えることは不可能であり、対話を通じて、全員が見ているものを共有することが大切なのである」というふうに価値観をチェンジしていこう。というのが、2つ目の「対話によって現実を捉える」という世界観です。

3つ目は、「詳細な計画を立てて、それを緻密に管理していけばプロジェクトは正しく進んでいく。プロジェクトマネージャーはそのやり方を学べばなれるんだ」というような世界観から、「最適なマネジメントのやり方は状況や関係性によって異なる。従来の方法に加えて、各プロジェクトでベストを目指して、チームで磨き、探し続けていく姿勢が必要だ」。というのが、「自ら道具を磨く」という3つ目になっています。

両利きでマネジメントするための3つの軸

本書はこの3つが大事だよねということを最初に提示した上で、この世界観の中で、「じゃあ、どういうふうにうまくやっていくのか?」ということを、みなさんにお伝えする内容になっています。

リーダーが1人で引っ張っていく従来の強いマネジメントが必要な時ももちろんありますし、それがなくなるわけではありません。しかしそれだけに頼ることも限界で、私たちもそのことに気づいていたはずなのに、個人の問題にして目を向けてこなかったのかもしれないなと思っています。

では実際にこの世界観の中で、両利きでプロジェクトマネジメントをするためにどういうものを使っていくのかというところで、まず3軸をご紹介したいと思います。

先ほど言っていた、スピーディ・合理的に進める直線的なマネジメントに加えて、みんながリーダーシップを発揮し、対話をじっくり行いながら推進する曲線的なマネジメントを使いこなすための3軸です。

プロジェクトを両利きで進めていくためには、思考軸、時間軸、組織軸を行ったり来たりしながらプロジェクトを点検してくださいねというのが、この3軸の見方になっています。見方なので、行ったり来たりしながら、いろんな角度からプロジェクトを眺めて点検をしてくださいという時の軸がこの軸になっています。

メンバーの「過去」にも目を向ける

1つずつ見ていきますね。最初は思考軸。左脳・右脳という表現にはいろいろな論がありますが、いったんここでは左脳・右脳と呼ばせていただいていて、「左脳と右脳の両利きで考えていきましょう」ということをお伝えしています。

左脳は、例えば数値を重視して、合理的な管理も大事にするけど、だからといってメンバーの感情や思いがないことになってはいけないので、そういったところも大事にしながら進めていく。「今のウチのプロジェクト、雑談ばっかりになっているな」となったら、やはりちゃんと数値を重視して進捗が出ているか確認してくださいねというのが、この思考軸ですね。

2つ目は、時間軸です。こちらは「過去と未来の両利きでいきましょう」ということです。私たちが支援しているプロジェクトは「現在」ですね。「今ここ」の進捗をなんとかしていかなければというようなことが多いです。

ですが、「これまでどういう経験をしてきたのか?」「どういったプロジェクトの背景があったのか?」ということがあって、「今ここ」ができているはずですので、そういったことをまず振り返って、メンバー一人ひとりの過去についても目を向けていく。「どういう経験があってどういうことができるのか?」ですね。そういうことを大事にしていく、過去に行くということ。

あと、その反対の極ですね。未来に行く。「一歩先の未来。これが進んだ後、どうなっていくんだろう?」という見通しを持って進めていくのも大事だし、「このプロジェクトが成功したあかつきには……」といったような、実現したい状態や成果を見ることで自分たちの意味を見いだせる。

過去と未来の両方を行ったり来たりして、「プロジェクトは今どういう状態か?」というのを見てくださいというのが、この時間軸になっています。

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