組織のミッションだけでなくメンバー個人の「思い」も重視
3つ目が、組織軸ですね。「個人と集団の両利きになりましょう」ということです。集団からいきますね。だいたいプロジェクトは組織から「やってください。これがミッションです」と渡されるので、組織からの要求が大事というのは一番ありがちかなと思いますが。
それと併せて、じゃあ、メンバー個人の思いがないがしろになっていいかというと、絶対にそんなことはないので、メンバー個人の思いも聞いた上で折衷案を探していってほしいなと思います。
もう1つ、集団としては、先ほど未来の軸のところにもちょっとありましたけど、プロジェクトの社会的意義。これは「このプロジェクトは社会で実現するとどういう意義があるんだろうか?」といったところに目を向けていくことも大事です。
なので、個人から集団まで、いろんなサイズを行ったり来たりしながら、個人としてはこういう意味があるけど、組織としてはこういう意味がある。さらには社会的にはこういう意味がある。というように、この軸を行ったり来たりしてプロジェクトを点検していただくといいかなと思います。
言葉で言うと難しいんですが、この3軸を図にしています。

この3軸をイメージしながら今話している話はどこらへんかなとマッピングしていくと、ちょっと偏りが見えてきたりするかなと思いますので、この図をなんとなく頭の中に入れていただくと点検しやすいかなと思います。覚えるまでは貼り出しておくのがおすすめですね。
プロジェクトが行き詰まる原因の「偏り」に気づく
米山さんから、「プロジェクトが行き詰まっている時は、どこかに偏っている時ですよ」というコメントをいただいています。ちょっとバーッと説明してしまったので、この3軸は具体的にどういうことかという具体例を見ていきたいと思います。
最初に思考軸。数値で把握できる「今ここ」の進捗率に目を向けるというのが左脳側ですね。思考軸の上のところです。もう1つ、右脳側に目を向けるとどういうことがあるか。メンバーが感じている違和感やモヤモヤをキャッチするというのを、もう1つの右脳側の例として挙げさせていただいています。

これは人間がキャッチしている情報をなかったことにしないという大事な態度だなと思います。「このままだとたぶんヤバいな」というのは言葉でうまく言えなくても、「なんかヤバい」と(感じる)。これは根拠なく思っているわけではなくて、きっとその人の過去に何かがあって、似たような状況がうまく説明できないけど(そう)思っている、みたいなことがあるかなと思います。
なのでこれにちゃんと目を向けて察知していくことで、このプロジェクトの先に対する備えができるので、行ったり来たりしてみてくださいねというのが、まず思考軸です。
次に時間軸についても見ていきたいと思います。時間軸は横、左から右に向かって、過去から未来に流れていくというものになっています。

ここまででも「メンバーは過去にどんな経験をしているか?」というお話をしていましたが、例えばそれが失敗に紐づいていたりすると、「いや、それは絶対やりたくないです」というかたくなな態度を生み出したりするので、こういったところに過度にとらわれていないかどうか。
実はこのプロジェクトのメンバーでは試したことがないのに、過去に失敗したから「ちょっとそれは難しい」と言っているということもあると思います。そういう時は、あらためて見て、「このメンバーで本当にできないの?」というような問い直しをしてもらえればなと思います。
あとは、「今ここ」に集中し過ぎると、「そもそも何のためにこの苦労をしているのかわからない」というような状況になります。
そういう時は「いや、そもそも私たちはこういうのをやりたいからこのプロジェクトをやっていたんだよね」「会社にとってこういう意味があるから任されているんだよね」と、ちょっと未来に目を向けると、「よし、もう1度やってみよう」という気持ちになったりすることもあるかもしれないし、ないかもしれないですが(笑)。でも、点検していただくと新しい見え方が出てきて、行き詰まりが解消したりするかなと思います。
「会社や上司からの要求」だけを重視していないか
3つ目の組織軸ですね。これは斜めというか、こっちの横に刺さる串になっていますが、集団のほうから見ると、会社や上司から要求されるゴールだけがとにかく重視される状況がすごく多く見られるかなと思います。

でも、メンバーの思いや意思を大切にしないと、「いや、ちょっと俺にはそれ、関係ないし」みたいなことが生まれてしまうので、そういったものを大事にして、みんなが愛着を持って大事にできるようなプロジェクトに育てていく。というのも1つ、プロジェクトをうまく進める上では大事かなと思います。
組織の中の一員であると同時に、私たちは1人の人間なので、自分なりの好きなもの、嫌いなものだったり、考えているキャリアがある。それを聞いた上で、なるべく接続できるところをプロジェクトと接続しながらみんなで進んでいく、というふうにプロジェクトを作っていってほしいと思います。
ということで、今3つ具体例を挙げてきましたが、プロジェクトを両利きで進めていくためには、この3つの軸を使ってプロジェクトを眺めて、「今どっちかに偏っていないか?」「うまくいっていないところがないか?」「うまくいかなくなる兆候が出ていないか?」「こういうことが原動力になって、うちのプロジェクトはけっこううまくいっているかも」といった学びを得るきっかけにしていただければなと思っています。