お知らせ
お知らせ
CLOSE

中小企業のためのリスキリング戦略 ~生産性2倍を達成した中小企業の事例を公開~(全3記事)

リスキリングで成果を出した企業の共通点 生産性約2倍、残業削減を実現した学び直し

【3行要約】
・リスキリングの効果に疑問を持つ企業が多い中、実際に取り組んだ企業では生産性向上や業務効率化などの大きな成果が報告されています。
・石川樹脂工業、Jマテ.カッパープロダクツ、山陰合同銀行の3社では、経営トップが主導してDXとリスキリングを推進した結果、それぞれ異なる分野で顕著な改善を実現。
・成功の鍵は経営者の強いリーダーシップと実践的な研修体制にあり、企業は単なる技術導入ではなく現場に根ざしたスキル習得支援が重要です。

前回の記事はこちら

リスキリングで生産性が約2倍、残業時間も大幅削減

宮地尚貴氏:では、「実際にリスキリングに取り組んでいる企業ではどのような成果が出ているのか」という点もご紹介します。「リスキリングをやると本当に効果があるのか」という疑問を持たれる方もいると思いますので、いくつか事例をお伝えします。

今回は「リスキリングアワード」で表彰されている企業の事例を紹介します。もし「これは有効そうだ」と感じられたら、ぜひチャレンジいただければと思います。

まずご紹介するのは、石川樹脂工業です。石川県加賀市にある樹脂製品の製造業の会社で、ファーストフード店やファミリーレストランなどで見かける割れないプラスチック製のグラスやコップなどを製造している会社です。

この企業の取り組みで特に印象的なのは、経営者自身が旗を振り、自ら実践した点です。経営者が先頭に立って取り組んだことで、従業員もついてきやすかったと、インタビューでも語られています。

具体的には、技能実習生44人を7人まで減らし、人手不足をロボット導入で補う決断をしました。ただし、単に外部に任せるのではなく、社長自身がプログラミングを学び、その知識を従業員にも教えていったそうです。その結果、非常に大きな成果が生まれました。3年間で生産性が約2倍になったのです。

生産性2倍というとシンプルに聞こえますが、実際には非常にインパクトのある成果です。資料では190パーセント向上と書かれていました。現在では20台のロボットを自社でプログラミングし、動作設計まで行っています。その結果、生産性は190パーセント向上しました。さらにロボットの活用が進んだことで、残業時間も大幅に削減されたそうです。

3年ほどの時間はかかっていますが、実際に大きな成果を実現している企業もあります。やはり経営者が「やる」と腹を決めて旗を上げることで、従業員もそれについてきたという点が、最初の大きなポイントだったのではないかと思います。

リスキリングで作業工数が10分の1に

もう1つの事例として、Jマテ.カッパープロダクツ株式会社をご紹介します。新潟県上越市にある製造業の会社です。新潟県では、2050年には労働人口が2021年と比べて約30パーセント減少するという予測が出ています。これは総務省の予測です。

こうした将来的な人材不足を見据えて、この会社ではかなり早い段階からDXに取り組んでいました。社長が中心となり、2021年頃に「DX推進プロジェクト」を立ち上げました。RPAなどのツールを活用し、FAX業務の電子化などを進めています。

その結果、RPAや業務自動化の導入によって、年間1,000時間の業務時間削減を実現しました。この取り組みが評価され、上越地域で初めてDX認定事業者にもなっています。こうした取り組みの影響で、採用力の向上にもつながったと事例の中では紹介されています。

具体的には、自社の製造業務に関するさまざまなプロセスを見直し、システムを導入しました。

特に部品や材料の手配、発注プロセスの見直しが大きなポイントでした。多くの企業ではまだ紙を中心とした業務運用が残っていますが、この企業ではパソコンによる自動入力やメール通知システムなどを導入し、デジタル主体の運用に切り替えました。その結果、作業工数は従来の10分の1まで削減されたそうです。

本来であれば、一定の経験やスキルを持つ社員が、単純作業に時間を取られている状態は望ましいとは言えません。「作業だけをこなす」段階ではなく、「先の問題解決を考える」「新しいアイデアを出す」「業務改善を工夫する」といった役割が期待されるフェーズにいる人も多いはずです。

しかし実際には、「目の前の作業で手一杯で、工夫する余裕がない」という状況が多くの現場で起きています。この企業では、そうした状態を会社全体で解決しようと取り組みました。その結果としてDXによる業務改善を実現しています。

こうした事例を見ると、DX化によって成果を上げている企業はかなり多いのではないかという印象を持っています。

リスキリングで女性行員を法人営業に育成

続いての事例は、山陰合同銀行です。女性リーダーの育成に成功した事例として紹介されています。

従来、この銀行ではリテール業務、つまり窓口業務を女性行員が担うことが多く、法人営業は男性が担当するという、明確な役割分担がありました。1980年代後半から1990年代頃までは、女性は主に窓口業務が中心だったそうです。当時の女性幹部は3人ほどでした。

その状況が大きく変わるきっかけとなったのが、2013年に女性の支店長が誕生したことです。その際、会長が「限られた人材を有効活用したい」「性別や学歴に関係なくフラットに活躍できる環境をつくる」という方針を打ち出しました。そこで、女性行員の配置転換を進めました。2021年までに約200人の女性行員を窓口業務などから再配置し、そのうち123人を法人営業部門に異動させています。

その際に行われたのが、リスキリングによる学び直しの支援です。人事部が座学形式のeラーニングを提供し、さらに各地域に配置された6人の教育担当者が責任を持ってOJTを実施しました。

研修内容の特徴は、実践重視だったことです。例えば税理士による決算書の勉強会や工場見学、さらには経営改善案を会長と一緒に考えるといった実務に直結したトレーニングを行いました。銀行員として必要な実務能力を、OJTや社内研修を通じて習得していったわけです。

また特徴的だったのは、「研修は重要な業務である」と明確に位置づけたことです。必須の業務として最優先事項で案内したため、参加姿勢も非常に高かったといいます。さらに研修が多い支店では、一定期間に限って営業目標を調整するなど、会社側の配慮も行われていました。こうした支援があってこそ、DXやリスキリングの取り組みは進むのだと思います。

その結果、法人営業に配属された123人のうち、100人以上が独り立ちしました。2025年3月時点では、女性管理職の割合は係長以上で34パーセント、課長以上でも24パーセントに達しています。当初掲げていた「女性の活躍」や「フラットな人材活用」という目的は、現在ではかなり実現されていると言えるのではないでしょうか。

この取り組みは2013年頃から始まっています。比較的保守的と言われる金融機関であっても、トップの強い意思と実践的なリスキリングの機会を設けることで、管理職体制を大きく変えることができた事例です。

その結果として、3期連続で過去最高益を更新するなど、最終的には業績にもつながっています。リスキリングの取り組みが、巡り巡って売上や利益にも影響しているのではないかと感じています。

続きを読むには会員登録
(無料)が必要です。

会員登録していただくと、すべての記事が制限なく閲覧でき、
スピーカーフォローや記事のブックマークなど、便利な機能がご利用いただけます。

無料会員登録

すでに会員の方はこちらからログイン

または

名刺アプリ「Eightをご利用中の方は
こちらを読み込むだけで、すぐに記事が読めます!

スマホで読み込んで
ログインまたは登録作業をスキップ

名刺アプリ「Eight」をご利用中の方は

デジタル名刺で
ログインまたは会員登録

ボタンをタップするだけで

すぐに記事が読めます!

関連タグ:

この記事のスピーカー

同じログの記事

この記事をブックマークすると、同じログの新着記事をマイページでお知らせします

コミュニティ情報

Brand Topics

Brand Topics

人気の記事

    新着イベント

      ログミーBusinessに
      記事掲載しませんか?

      イベント・インタビュー・対談 etc.

      “編集しない編集”で、
      スピーカーの「意図をそのまま」お届け!