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成長できる組織を目指して人事戦略の課題と未来への羅針盤(全4記事)

コカコーラの管理職は「自分の後任者」を2〜3人育てている 優秀な人が辞めてもチームが回るマネジメント術 [1/2]

【3行要約】
・終身雇用制度が崩壊し50%の従業員が離職する現代、日本企業は深刻な人材流出問題に直面しています。
・伊藤羊一氏とハロルド・ジョージ・メイ氏は、本音を言わない組織文化が離職の根本原因だと指摘。
・管理職は後任者育成のサクセッションプランと1on1の実践で、話し合える組織への変革を進めるべきだと提言します。

前回の記事はこちら

「不満があっても言わない」組織で人はどんどん辞めていく

芹澤雅人氏(以下、芹澤):もう少し具体的な現場の課題みたいなところに行くと、例えば離職率とか従業員のエンゲージメントの話が、今日セッションの中でもいろいろ出てくるかなと思うんですけど、そのあたりはどのように思われていますか。

伊藤羊一氏(以下、伊藤):結局、本音を言わないっておっしゃったのは、まさにそのチームの中でも会社の中でも起きていて、「波風を立たせるのは嫌だから言わないでおこう」みたいな。つまり1on1もやっていないし、チームの中で情報の共有もやっていないし、一言で言うと話していないわけですよ。

芹澤:会話をしていないと。

伊藤:そうすると、不満があってもあんまり言わないで、しかもそれを学びとせず、どんどん人が辞めていくことになりがちなんだと思うんですよね。

退職者インタビューやっていますかとかね。そういうのも含めて、そもそもエンゲージメントを高めるために何をやっていますかというと、インセンティブはすごい大事なんだけど、それに加えて例えばチーム内で話していますか。

マネージャーと1on1をしっかりやっていますかみたいなところは僕は決定的に足りないと思っています。だからちゃんと話そうよと。日本って沈黙は美徳みたいにされるじゃないですか。

伊藤:ぜんぜん美徳でもなんでもないですよね。「俺はこれがやりたい」とか、「社長、この目標はこうですよ」とか、そういうのをチームだけじゃなくて、全体でガンガンしゃべるのはすごい大事かなって思います。

コカコーラの管理職は自分の後任者を2〜3人育てる


ハロルド・ジョージ・メイ氏(以下、メイ):
まずは現実見をしたほうがいいと思います。厚生労働省のデータによると、年齢問わず50パーセントの人が会社を辞めていく、そういうもんだということを自覚して。

芹澤:もう終身雇用なんてものはないと。

メイ:我々はまだまだ日本の終身雇用の伝説を信じています。「入社すれば一生いてくれるだろう」そんな甘い考えがまだ残っているんですよ。なのでできることは、ハードとソフトがあると思うんですよ。

ハードという意味では、まずサクセッションプランです。社長クラスとか役員クラスのサクセッションプランはもちろんやりますけど、コカ・コーラでは自分が部長だろうが課長だろうが係長だろうが、自分の後任者を2~3人育てるべきだと言われます。それもちゃんとリストアップします。

だから、その方が辞めてしまった際には、リストでAさんはいなくなったけどBさん、Cさん、Dさんがいます。その3人中どれにしますかっていうリストが、どの部署、誰でもあります。

いわゆる組織に穴が開くことはないんです。これがハード面での対応です。ソフト面での対応は、私は大きく2つあると思います。

1つは投資です。人材の投資をするべきなんだと何度も言いますよね。投資の1つのかたちとは何かというと、教育だと思います。私も実は外資系企業にいると、四半期に1回、3ヶ月に1回、どっかの研修に行かせていただきました。正直言うと、中身はほとんど覚えていないんです。

でも、投資をしてくれたんだよねと。その中でも特に役立った投資(研修)があるので、ご参考までに、せっかくなので簡単に紹介させていただきます。

1番がネゴシエーション、交渉力がアップする交渉ワークショップ。これは同じ研修を3回受け、めちゃくちゃ役に立ちました。二番目がプレゼン能力です。どれだけ良いアイデアを持っていても、相手にそれが伝わらないと。

芹澤:そうですよね。

2期連続赤字だったタカラトミーで行った「仲間意識」を高める施策

メイ:社内だろうが社外だろうが、大事だと。そして、3つ目は、偉くなればなるほど役に立ちました。それが部下とのコミュニケーションなんです。伊藤さんが言う、どうやってチームから問題点を引き出すのかとか、やる気を引き出すのかとか「辞めるなよ」と言うとかですね。これがソフト面の1つ。もう1つ大事なソフト面というのは、少しでも楽しい雰囲気を作るべきです。

芹澤:大事ですね。

メイ:私がタカラトミーにいた時には2期連続赤字企業だったんです。真っ赤っ赤だったんですよ。みんな暗い顔をしているので、これじゃあ、どれだけ改革云々って言ったって無理と思ってしまう。私が何をしたかって、いろんなことをやったんですけど、そのうちの1つが、毎月のどこか1日のどこか1時間だけ、祭りと題して楽しいことをやろうということで。

例えば10月、ハロウィンなんで「みんなで仮装しようぜ」と。仮装して出社してくださいと言いました。2,500人ぐらいの社員がいますけど、初年度は20~30人しか参加してくれませんでした。

芹澤:(笑)。すごいですね。

メイ:でも、それをやり続ける意味があって、2年目は半分ぐらい(参加しました)。

芹澤:えっ。

メイ:3年目はほぼ全員ですよ。

芹澤:すごいですね。

メイ:楽しいことやっていいんだみたいな。仲間作りもその積み重ねです。1回だけではだめですけど、毎月何回もやったんですよ。だから、仲間意識を高めるのも大事なんじゃないでしょうか。

伊藤:ハードのところについてもうちょっとおうかがいしたいんですけど。自分の後任をリストとしてあげとくのは日本企業でもやっている企業はあるんだと思うんです。

メイ:社長だけじゃない、係長からも、新入社員だろうが。

社員を評価し合って別部署とトレード

伊藤:それ、(後任は)この人かなってした上で、具体的なアクションとしては……。

メイ:あります。それがおもしろくて。まずリストアップしますよね。それにもギャップがあります。「この人はまだ俺の後任にはなれない、理由はこれとこれです」と。例えばこういう研修が足りないとか、こういう経験がないとか、もっと海外に2~3年行くべきみたいな、そういう課題も言います。

おもしろいのは、それを相手の、自分の部長に説明しないといけないんです。どうして私はBさんを買っているのか。あるいは逆にCさんを買っていないのか。

そうすると、自分の印象と自分の上司が持っている印象が違う場合があるんですよ。毎回とは言いませんけど。違う場合は要はバイアスがかかっているってことですよね。

私はCさんを評価していません。伊藤さんは「いや、Cさん、すばらしいと思うよ」みたいな。「そうなんだ。じゃあ私が間違っているかもしれない」とかで。

もっとおもしろいことがあるんです。それは、その場でトレードもあるんですよ。例えば、私が「こういう理由でCさんを評価していません」と。でも伊藤さんは「いや、Cさんはすばらしい」と。「じゃあ、そこまで言うなら、もうCさんをもらってください」と。

芹澤:(笑)。

メイ:そんなに評価しているんだったら、トレードですよ。「その代わり、あなたのAさんちょうだい」とか、「(Aさんを)すごく評価しているんだよ。あなたは評価していないんでしょ」と。その場でトレードまでやっちゃうんです。

そんなに毎回じゃありませんけど、説明できると自分のバイアスに気がつくし、違う意見が入るっていうのも。社員も「そうやってちゃんと議論してくれているんだな。その上で俺は買われている・買われていない」と。

だから、1人の人が決めているんじゃなくて、複数の人が話し合って決めているのが大事だと思いますね。

制度に「魂」を込める

伊藤:今なんでおうかがいしたのかっていうと、自分の後任と思われる人をこうやってリスティングするのは、やっている会社もあると思うんですよ。これはヤフーでもやっていました。だけど、そこに魂を込めるというのがすごく大事で。

そこで話して、実際に「僕の後任はBさんだと思いますよ」って「いやいや、ここはこうなんじゃない」。「とすると、Bさんにはこういう研修とか受けてもらうか」とか「こういう育成ってしたほうがいいよね」みたいな、めちゃ良いコミュニケーションができるわけですよね。

制度にそうやって魂を込めていくというのが同時に大事というのをあらためて(思いました)。インセンティブとかもたぶんそういうことだと思うんですよ。そこの背景とか、それをどうやって運用していくのかみたいなところが超大事だと思います。

だから、楽しい雰囲気にしようってみんなわかると思うんだけど、具体的にそれってどうやるんだ、それはこういうことをやるんだ、なぜならばこうだっていう。そのハードと、ソフトにしっかり魂を込めていくっていうのはすごく大事だなって、今聞いて思いましたね。

メイ:魂は大事です。もちろん私も大賛成です。とは言いながら心を鬼にしないといけない部分もあります。つまりそれはKPIなんですよね。我々はボランティアで仕事をしているわけじゃないので、「がんばったね」とか、「いい人だよね」じゃだめなんですよ。やはりそれなりに実績、数字で測れるもの。

伊藤:でも、それもちゃんと説明するわけですよね。

メイ:もちろん、説明します。

伊藤:要するに「こういうのを大事にするよ」「こうやって社員をやるよ」「こういうエンゲージメントを高めるよ」と。一方で、いやいや、さはさりながら、俺たちは営利企業だからちゃんとKPI大事よっていう話を、トップとかマネージャーがしっかりコミュニケーションしているから。

芹澤:そこ重要ですよね。「営利企業としての」っていうところが抜けちゃうと、仲良しクラブみたいになっちゃうとこもあるんで。

メイ:しかもKPIなんて全社員が対象なんで、そうすると平等になりますよね。同じ基準で測っていますよと。

芹澤:KPIは重要ですね。

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