【3行要約】・マネージャーは「管理職」として部下を管理することが主な仕事だと考えられがちですが、現代では従来の管理手法だけでは機能しないという課題があります。
・伊藤羊一氏は、複雑化する仕事環境において「なんとかする」ことこそがマネジメントの本質だと指摘しています。
・現代のマネージャーは、1対Nの全体指導と1対1の個別対応を両立させ、個人の才能を解き放つことでチーム力を最大化すべきです。
前回の記事はこちら マネージャーの役割は「なんとかする」こと
芹澤雅人氏(以下、芹澤):伊藤羊一さん、お願いします。
伊藤羊一氏(以下、伊藤):よろしくお願いします。
芹澤:よろしくお願いします。簡単に自己紹介していただいて。
伊藤:みなさん、こんにちは。武蔵野大学でアントレプレナーシップ学部というのを立ち上げまして、5年目ですね。日本で唯一の学部で学部長としてやっています。伊藤羊一です。
社会人経験としては、日本興業銀行、プラス株式会社、それからヤフーですね。ヤフーには10年いました。……というところで、いろいろなマネジメントとか企業内大学とか経営とか、Musashino Valleyっていう自分の会社も経営して、いろいろなことをやっています。
あと、本を出していまして
『1分で話せ』って本ですけど、残念ながら僕は話が長いということで。芹澤さん、ちょっと私の話を止めていただけると。
芹澤:これ、一応10分枠がありますので(笑)。
伊藤:簡単に僕がこんなことを考えているよという話をさせていただきます。今、メイさんがお話しされた、これも100パーセント僕は同意だな、にわとりのあの部分もめっちゃ同意だなと思った上で、最後「オープンコミュニケーションだ」とおっしゃっていたと思うんですけど。
まさにオープンコミュニケーション足んないんじゃないのというところとか、マネジメントってこういうことだよねというところを、違った観点でお話ししたいと思います。
要はマネジメントって何ですかということですね。マネージするっていう英単語から来ているんですけど、マネージするっていった時に、僕らマネージャーは管理職というものだから「管理する」って思うわけですよ。
管理することなの? って、思うところから僕は始まっているんですけど。マネージするって、そもそも管理するというよりも、Manageって英単語の意味ですよね。状況をうまくやり過ごしてコントロールするみたいな、そんなニュアンスが強いんじゃないかなと言った時に、僕が日本全国のマネージャーに声を大にして訴えたいのは「なんとかする」っていうことですよね。
「マネージャー」の仕事も「リーダー」の仕事もやらなくてはいけない
伊藤:なんとかすることがマネジメントだし、なんとかする人がマネージャーだよねと。当たり前なんですけど、マネージャーっていうのは偉い人でもなければ、別にハイバックの椅子に座っているとか、ここに肘掛けがあるとか、そういう人がマネージャーじゃなくて。管理はするんですよ。だけどそれが仕事と言ったら、誰もマネージャーなんかになりたくないですよ。
だからマネージャーのなり手が少ないっていう感じでしょ。そうじゃなくてなんとかする人です。職位としてのマネージャーは単なる機能ですと僕は考えています。
じゃあ何をなんとかするんだっけというと、(スライドを示して)あほみたいなポンチ絵ですけど、僕はこういうことかなと思っています。

これは、マネジメントとかリーダーシップ。ドラッカーとかコッターさんとか、そういう人に言わせると「マネジメントとリーダーシップは違う」とか言ったりするんですが、結局、お二人もそうですけど、特に芹澤さんとかSmartHRを経営されて。マネージャーでありリーダーなんですよね。
みなさんもそうだと思いますけど「私はマネジメントタイプ」とか、「私はリーダータイプ」とか言ったら仕事にならんわけですよ。だからこれは両方やります。じゃあ、何をするのかというと、いわゆるチームをゴールに導いていくっていう、この要素しかないわけです。
出退勤の管理とか、人事評価とか、360度評価とか、そういうのも全部このためですね。チームをちゃんとゴールに導いているかどうかだと思うんですね。これは当たり前ですよね。それぞれの仕事なんですが、これは定義の問題ですけど、ゴール設定をしてチームに共有するのが仕事です。これはみなさん、マネージャーの方はやられていますよね。
37年仕事してきて「マジでダメ」な人は一人もいなかった
伊藤:次にプロセスを明確にして導く。つまり半年前、キックオフに「今期の目標はこれだ、よろしく」とか言って。このマネージャーは怒らせたら怖いから「はい、わかりました」ってガンガン行くみたいな。昔はそんな感じで済んだのかもしれないんですけど、今はそんな楽な仕事なんか誰もできないんですよね。だから、プロセスを小分けにしながらやっていくと。
あとチームですね。7~8年前にマネージャーに、チームに対して何か働きかけをやっていますかと聞いたら、驚くほど多くのマネージャーが「右2つ(『プロセスを明確にし導く』『ゴールを設定しチームに共有する』)はやっているんだけど、チームの力を最大化するっていう取り組みはやってない」ということがありました。今やっと日本のマネージャーも変わってきて、これをやり始めています。

具体的にどうするのかなんですけど、2つあると思っています。流行りの心理的安全性というのが一つです。環境を作るっていうことですね。心理的安全性の高い職場にするということです。
もう一つは、その上で個人が持っている(個人の才能と情熱を解き放つ)、これは一人ひとり違うわけですよ。だからオープンコミュニケーションって何を引き出すのか。
僕は37年仕事をやってきたけど、1人とて「マジでダメだ」という人はいなかったんですよ。ただ、それが発揮できている・できていないはありますよ。だけど、個人の才能と情熱を解き放つっていうのは(マネージャーの)仕事だよねと。
現代のマネージャーが取り組むべきこと
伊藤:みなさんご承知のとおり、心理的安全性の定義というのは2つあるんだけど、来たくなる、それから言いたいことが言いあえる。これをやるのがマネージャーでありリーダーの仕事です。これはもうそうだよねと思います。
これで必要なことって何かというと、僕は1:Nと1:1×Nと言っているんですけど。

簡単に言うと、1:Nっていうのは、さっきのメイさんのにわとりですよ。1:Nで「俺行くから」とか、「俺イニシアチブ取るから」とか。1:Nのリーダーシップであり、コミュニケーションっていうのは必要です。
ただ、重要なのは、そこに1:1×Nっていうのが必要なんです。どういうことかっていうと、要するに、1:Nで「いくぞーっ!」とか、「これだーっ!」と共有しました。でも、その受け止め方って一人ひとり違うわけですね。ここがやはり現代のマネージャーが取り組むべきことだと思っています。
一人ひとり違うんだから、1:1でコミュニケーションをしていく。N人分やるという。だから、1:Nと1:1×Nというのをしっかり両方やっていきます。
僕、こういう話をしていくと、最後の最後は「ということで1on1やりましょう」って。1on1原理主義者みたいに、1on1、1on1ってもうお前は犬かっていうぐらい言い続けるんです。要するに、その人を見て個を大事にしなければチームも何もねえって話ですよ。
だから、最終的には1:1に目を向けていろいろやっていくことが大事かなと、そんなことを考えています。メイさんの話に付け加えるとしたらこんなことが重要かなと、先ほどのお話を聞きながら思っていました。私のほうからは以上です。
芹澤:だいぶコンパクトにまとめていただいてありがとうございます。
伊藤:ありがとうございます。
(会場拍手)