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成長できる組織を目指して人事戦略の課題と未来への羅針盤(全4記事)

日本企業は採用で「聞いてはいけない項目」が多すぎる ハロルド・ジョージ・メイ氏が語る、外資の採用プロセスとの違い

【3行要約】
・日本企業では人材を「人件費」として扱うが、外資系企業との人事戦略の違いが組織力の差を生んでいます。
・オランダ人でありながら日系・外資系企業で40年のキャリアを持つハロルド・ジョージ・メイ氏は、日本企業の人事課題を5つ指摘します。
・経営者は「人件投資」への意識転換と360度評価の導入など、従業員の納得感を高める改革を進めるべきだと提言します。

元タカラトミー社長のハロルド・ジョージ・メイ氏が登壇

芹澤雅人氏(以下、芹澤):最初の基調講演のゲストをお招きしようと思います。

(会場拍手)

ハロルド・ジョージ・メイ氏(以下、メイ):みなさん、おはようございます。

芹澤:本日はどうぞよろしくお願いします。では、おかけください。

メイ:よろしくお願いします。

芹澤:「これからに必要な組織とリーダーシップ」というお話をメイさんにしていただきつつ、僕がそこからインタビュー形式でいろいろと深掘っていくような進め方をさせていただければと思います。

メイ:お手柔らかに。

芹澤:(笑)。こちらこそ。さっそくメイさんから自己紹介を兼ねたスライドの説明をいただいてもよろしいですか。

メイ:ハロルド・メイといいます。私、オランダ人なんですけど、ビジネスマンをやって40年ぐらいになります。その40年の約半分が外資系企業です。ハイネケン・ジャパンとユニリーバ・ジャパン、そして日本コカ・コーラの副社長を務めました。

もう半分が日本企業なんですよ。サンスターから始まって、タカラトミーの社長、そして前職が新日本プロレスリングの社長です。つまり両方の良いところと悪いところ、考え方の違いとか、人材とかHRの話も、ぜんぜん外資系と日本企業では考え方が違います。そこに焦点を当てていこうかなと思います。

芹澤:ぜひ、よろしくお願いします。

外資では「人件費」ではなく「人件投資」と呼ぶ


メイ:
こういうカンファレンスで、みなさんが一番聞きたいのは、今人事の課題っていうのはどのようなことなのかだと思います。私が今までの経験に基づいて考えるのが5つぐらいあります。

1つ目が、人事の呼び方なんですよ。実は日本の企業というのはPLとかBSとかいろんな科目でできていますけど、この中では、日本の企業さんは人件費と呼ぶ科目もありますよね。これ、考え方を変えたほうがいいと思います。

よく人材というのは企業が持つ最大の資産だときれいごとを言っていますけど、この言い方はそれを反映していません。というのは、人件費の費というのは費用っていうことですよね。

芹澤:コストってことですよね。

メイ:コストというのは、1年生のサラリーマンだろうが、40~50年がんばっているプロの人であろうが、費用というのはよくない。減らすべきなんだという考え方が、この言い方でそう根付いてしまう。でも、外資系企業というのは、人件費のことは人件費と呼んでいません。

芹澤:おー、なんて呼ぶんですか。

メイ:人件投資と呼んでいます。みなさんの企業にも社長がおやりになっているHRと呼びますよね。HRって何の略かというと、釈迦に説法ですけど、Hというのはヒューマンなので人間ですよね。

Rというのはリソースなんで、資源なんですよ。だから資源というのは投資をするべきだと。まずこの言い方を変えるだけでも、社長から新入社員までの考え方が変わるんじゃないかというのが1つ目です。

芹澤:やはりPL上にこうやって記載されているとコストになっちゃうけど、もうちょっとプロフィット側の考え方を持つ必要がある。

メイ:そうですね、もう人には投資をする。

日本企業は採用で「聞いてはいけない項目」が多すぎる

メイ:2つ目は、採用プロセスを考え直したほうがいいと思います。別に日本も海外もそうなんですけど、ある法律が、私から見れば採用プロセスを邪魔しています。それは何かというと、プライバシー保護法です。

プライバシー保護法があるから、実は採用の時に聞いちゃいけないことのほうが多いんですよ。例えば年齢って正式には聞いちゃいけないんです。これは履歴書に書いてあるから、別に聞かなくてもいいんでしょうけど。

あるいは「高校とか大学での成績を教えてください」「あなたのお父さんとかお母さん、何をやっている人ですか」。これらも(正式には)聞いちゃいけないんです。

なので、聞けることっていうと「夢、なんですか」とか「どうしてうちの会社に入社したいんですか」とか、そんなのなんとでも答えられますよ。

でも、外資系の採用プロセスっていうのは、人の本心、いわゆる強い人間なのかどうかを突き止めるための採用プロセスなんですね。例えば「いろんな候補者がいますけど、なぜあなたを雇わないといけないんですか」とかね。その会社が過去に本当にあった実例を、データを用いて「あなたならこの問題どう解きますか」とか、候補者だけが集まって議論会をするとか。

正しい議論をするかどうかは別として、どう受け答えするのかとか。自分の印象に残るようなことが言えるかどうか。そういう採用プロセスになっているので、そもそもこの組織に合っている人なのか、というのが2つ目です。

幹部の任期が短く、実質1年しか仕事をしていない

メイ:3つ目が、適材適所。外資系企業と日本企業の考え方がまったく真逆といってもいい。日本はジョブローテーション型なんです。つまり、いろんな部署、部門を転々と、2~3年に1回ぐらいいくことによって、いろいろな人の苦労もわかるだろうみたいな話です。

でも、外資系企業は、この下のスペシャリゼーション、専門部隊なんですね。入社直後の6ヶ月とか1年はちょっと置いておいて、その後はもうマーケティングならマーケティング、ファイナンスならファイナンスをずっとやってもらう。そのほうが専門性も高まりますし。

あと、変な話、内部競争が激しくなるんです。例えば私もコカ・コーラにいた時にはマーケターをやっていましたけど、同じ会社で働いているわけなんで、(マーケターは)みんな仲間なんですよ。ところが、マーケティングの中でも競争心が高まるんです。「このファンタのマーケターだけには負けられねえな」みたいな、「もっとすごいことやろうじゃねえか」みたいな。そういう燃えてくるようなことが大事なんですよね。

ここにも書いてありますけど、左の下、日本の場合は任期が非常に短いんですよ。だいたい2~3年なんです。

芹澤:幹部の任期。

メイ:そうですね。2~3年というと、慣れるまでが1年かかるんですよ。ということは2年目はちゃんと仕事をするけど3年目は「次の人が来るだろうから、もう変なことはしないでおこう」みたいな。だから結局3年中、実質1年しか仕事していないんです。なので、そういうことも大事なんじゃないかなというのが3つ目です。

「自己評価」と「周囲からの評価」のギャップを見る


メイ:
4つ目が、評価基準。日本の社員が、日本企業に対する不満トップ10リストの2番目に高いのが、「評価基準が公平公正ではない」という評価なんです。

一番は福利厚生とかお給料なんですけど外資系企業では360度評価を導入しています。


芹澤:よくありますね。

メイ:要は、上司が部下を評価する、これは当たり前です。でも、部下も上司を評価します。そして左側にあるような自己評価は、自分で自分を評価して、それが部下とのギャップがどのぐらいあるのか。まったくギャップがないのは、ほとんどないんですけど、そのギャップが大きければ大きいほど、自分はちゃんとやっている(と思っている)、でも部下はそう思っていないというギャップが組織にとってはよくないですよね。

左側が同僚、同じレベルの人ですよね。私もコカ・コーラにいた時は役員だったんですが、役員としては、自分を除いて役員が役員同士を評価しあうんです。

部長だったら部長が部長同士で評価しあうことによって、良い評価も悪い評価も1人の人間が決めているのではないです。組織の大きさにもよりますけど3人なら3人、5人なら5人と決めているということは「まぁそうなのかもしれないな」みたいな納得感があるんですよ。

「5人の人もみんな、俺が悪いって言っているのか。じゃあ本当かもしれないな」と。でも1人の人がそう言っていると「いや、俺は誤解されている、理解されていない」みたいな、そういう反発を食らいます。これが4つ目です。

日本企業は「うちの会社はすごいんだ」というプライドが足りない

メイ:そして5つ目、日本企業と外資系企業で根本的に違うのが、その企業の商品やサービスに対するプライドの高さです。

「うちの会社はすごいんだ」とか「うちの商品やサービスはこんなにすごいんだ」ということは、外資系企業では言い方が悪いですけど、ほとんど洗脳されますね。

例えばエレベーターのドアがパッと開いたら「うちの一番の新商品はこれなんだ」とかね。廊下を歩いていても「うちの株価が今こんなに上がっているんだ」とか、「うちのマーケットシェアがこんなに上がっているんだ」とか。そういうことを毎日廊下を歩くだけで目にするだけでも、「やはりうちの会社とか、うちの商品はすげえな」みたいな。そういう気持ちになることも大事なのかなと思っています。この5つが今の私が見る課題だと思います。

芹澤:今お話ししたのが外資と日本の内資を比べた時の差分みたいなところだと思うんですけど、じゃあこれから先、日本というのは、まるまる真似するかどうかはさておき、何かしらそれを参考に変化していく必要があると思います。

メイ:そうですね。

芹澤:その時にはリーダーに求められる質だったりマインドセットはどういうものがあると思いますか。

メイ:社長だろうが部長だろうが、いろんな階級によっても違いますけど、間違いなくリーダーっていうのは役割が一番大事だと思うんですよ。

じゃあ何を求めるのかを、今、質問されました。まず大事なのはリードして、見本を見せながら、リスクをとってでも前進する気持ちです。

リーダーに欠かせない「ノー」と言う勇気

メイ:2つ目が、長期目線。来年のことを考えるのではなく、5年、10年先。特に今日の課題でもある組織とか人材とか、このまま5年、10年大丈夫なのか。人材的にもどういうところが求められるんだろう。こういう目線を持つこと。

そして、非常に辛いことですけど、僕もよくリーダーでやらないといけない、大事なのはノーって言える勇気です。

「もう全部OKですよ」じゃなくて「これはこういう理由でやめるべきだ」と、あるいは「考え直すべきだ」という。毎回じゃないですよ、でも、そういうことも時々言える勇気だと思うんです。

最後が、やはりオープンコミュニケーションなんです。リーダーが、部長だろうが何だろうが、自分の部門。社長だったら自分の企業に、定期的に今どういう状況なのかに対して、情報をわかちあう。

どこへ行こうとしているのか。なぜこういうことをやろうとしているのか。定期的に3ヶ月に1回ぐらいやらないといけない。どうやってやればいいのか。その結果も「こんなことをがんばったらどうなるんだ」と。「雇用がこんなに上がるんですよ」とか「ボーナスがこんなに良くなるんですよ」とか、何かインセンティブとして見せないと。

「なぜこんな改革とか、こんなにがんばらなきゃいけねえんだ」みたいな、そういうことになっちゃうんで。それを少しでも見せることがリーダーに求められているんじゃないでしょうか。

芹澤:腹落ちというやつですね。メイクセンスしてもらわないと従業員も動かないでしょうというところですか。

メイ:……と私は考えますね。

芹澤:非常におもしろいですね。イニシアチブだったり、自信を持つこと、長期目線、ノーという勇気っていうのはなかなか僕たち苦手かなと思います。

メイ:難しいですよ。

芹澤:これは意識したいですし、オープンコミュニケーションを持ってメイクセンスしていくというところですかね。非常にもっともっと話を聞きたいところで、お時間が来てしまいました。

いったんメイさんと僕の対談をここで終了させていただき、もう1人基調講演のゲストがいらっしゃいますので、そちらの方をお呼びしようと思います。伊藤羊一さん、お願いします。

(会場拍手)

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