間違ったジョブクラフティングの例
1つ目は、「仕事の意義を語らない、もしくは語れない」です。「今、目の前にあるタスクをきちんとやっておいてね」「このノルマや目標をきちんと達成してね」「上司がこう言っているからこうやってもらっていい?」「うちのルールだからこうやってもらっていい?」。

もちろんそれは言ってもいいんですけども、(仕事をする)意味が(指示の中に)入っていないですよね。なので、目の前の仕事をとりあえずやる人になってしまうということですね。
2つ目は、「工夫をする機会を与えない」です。例えば、(細かい)指示や確認があり、失敗を許容しない。(いわゆる)正解主義です。「もしこうなったら困るよね。なのでこうやって、こうやって、こうやってもらえない?」。細かいですね。細かいこと(を指示されると部下は)嫌になる。この「任せてくれない」というのはよくありますね。
そして3つ目は、「会う人を変える機会を作ってくれない」です。いつも会う人が一緒。いつもチームのこの3人あるいはこの5人でしか会話をしていない。そりゃあ、息が詰まります。どうでしょうか? これはもちろん業種や会社によって(環境は)大きく異なります。ところがこれはやはりやらねばならないことなんですね。
成功体験だけでなく、失敗も経験させる
じゃあ「若手マネジメントが上手で、いい上司の下についたな」と思ってもらえるためには何をすればいいか? この3つの観点から(若手マネジメントが下手な人とうまい人では)ここまで違うという話をします。
若手マネジメントがうまい人は、ジョブクラフティングの機会を(ちゃんと)作る。(そのための要件の)1つ目は、「仕事の意義を語れるかどうか」です。この仕事は誰のために役立っているのか? そして具体的にどんな貢献をしているのか? そして何よりも、「我々がいないとこういったことが起こるから、単調な仕事も大事なんだ」と言えるかどうかですよね。

2つ目は、「工夫をする機会をどんどんと与える」です。具体的には、「この範囲で任せるから自分なりに考えて」と言う。まぁ、範囲は当然必要になってきます。何でもかんでも(範囲を示さずに)任されたのに「それはそこまでやらなくていい」と言われたら、それはそれで(部下が)困っちゃいます。ですので範囲を示して任せていく。
その時には失敗を歓迎してください。部下の失敗は大したことがないことが多いと思います。ただ、本当に失敗を遠目に見るだけでは駄目ですよ。もちろんそうならないために「この観点で考えたら大丈夫?」と確認はしますが、後はただ手を動かすだけ、考えるだけとなったら部下に任せて、いったんやってみる。ただ、報告は受けてください。そうじゃないと(部下の状況を把握できず)「何をやっているの?」ってなりますからね。
そして、成功体験をどんどん積ませてください。成功体験と同時に増えるのは失敗体験ですよね。実は、失敗は多ければ多いほどいいと言われています。失敗が多いと、サーチ(探す)行動、(つまり)「なんでうまくいかなかったのかな?」と考える量が増えます。実はそれが成功の量に比例すると言われています。まぁ、そうですよね。
例えば、「テストの点数が悪かった。今度はこの点数を取りたいぞ」(と思ったら)、苦手なところを勉強しますよね。あれと一緒です。だからサーチ行動があればあるほど仕事ははかどりますし、成長します。
若手を部長や役員と会話させる
そして3つ目は、「会う人を変える」です。例えば、好業績者やハイパフォーマー。若手にしてみれば先輩たちですよね。「その人たちに話を聞いてみたら?」と言って促すのもよしですし、もしくはその先輩を招いて座談会をするのもよしでしょうね。
あと、私が課長だとすれば、若手を部長や役員と会話させる機会を設けます。「もしよかったら、うちの若手に話をしてやってもらえませんか?」でもいいんですよ。視界が一気に変わります。そして、取引先と会話をするということも場合によってはありです。
私も若手の頃にこの3つをもう散々やっていただきました。(その頃の私の)仕事は飛び込み営業で、本当に単調だったんですよ。けれども、(上司からの働きかけがあり)仕事の意義を感じることができましたから、なんで飛び込まないといけないのかもわかりました。
楽ではないですけど、その代わり工夫の機会もたくさんもらいましたので、「今度はあれをやろう。次はあれをやろう」と自分なりの工夫ができました。なので、飛び込み(営業)自体はそんなに楽しいものではないかもしれませんが、自分なりに考えることでおもしろさを感じていた。
自分ではない視点から仕事のおもしろさを深掘る
そして、「会う人を変える」については、役員とも会わせてもらいましたし、また、取引先のいわゆる「お偉いさん」と会わせていただく機会もありました。
先輩が担当している企業に同行させてもらって、関西弁で「どうや? 今、経営者さんが考えていらっしゃることがわかるか?」(と聞かれました)。(私のいた会社は)求人メディアをやっていたので、「いやぁ、人は(企業に)入る、入らないだけじゃないですね。経営者の方は人材をそう見ていらっしゃるんですね」(という気づきがありました)。
経営者の方とお会いして、そういうことを若手の時に知っておく。すると今度、担当者の方とお打ち合わせする時に、「いやぁ、人材というのは本当に難しいですよね。多くの企業の経営者さんがおっしゃるんですけども」といった会話が若手のうちにできるようになる。こういうこともあったりしますので、会う人を変えると、そりゃあ仕事がおもしろくなります。
ということで、気づきの観点が多くなるんですね。このあたりについて(みなさんは)どうでしょう? 自分なりにできることをまず考えることが大事です。だとすれば何が必要かというと、やはり「ジョブクラフティングとはいったい何なのか?」を知っておくということです。そうすると「どんな仕事もおもしろく、楽しくすることができる」という指導ができるんですよ。それを受けた若手は「いい上司に巡り合えた」と思いますよね。
なぜ現代の若手社員は不安を抱えているのか
若手は不安を感じているんですよ。どんな不安を感じているかを知っておけばやるべきことも見えてきます。さぁ、では最後にそのお話をさせてください。
その前にお知らせにお付き合いください。書籍も書いています。
『リーダーの「任せ方」の順番 部下を持ったら知りたい3つのセオリー』をはじめとしたさまざまな本を50冊ちょい書いてまいりましたので、もしよかったら概要欄に貼っております。

若手には不安があると言いました。どんな不安なんでしょう? そして、どう考えているんでしょうか? ここを押さえておかないと、気がつけば会社を辞めてしまうなんていうこともあるんですね。
若手の不安に対する向き合い方は(スライドを示して)このように言われています。今は不透明な時代と言われますが、若手にとってみれば不透明がスタンダードなんですよね。
「自分はこの会社でキャリアアップできるのか? この会社で成長できるのか? いや、そもそも日本はどうなるの?」。わからないことだらけなんですよね。約束されたものなんてないんです。
私が企業の新人研修で登壇して、「どんなことに不安を感じますか?」と聞くと、年々(答えが)変わってきています。最近は「老後の不安」という声がちらほらと新人から出ています。すごいですよね。
これはおそらくニュースから得られた情報ですね。「これからは年金もどうなるのか」とか「(現在の年金制度では)インフレに対して対応できない」みたいな話が出ているじゃないですか。そういうことをニュースで見ているんですよね。
「この人の下なら成長できる」と思ってもらえる上司へ
じゃあ、どうすればいいかという話なんですけども、まず、(今の若手は)自分のキャリアに対してものすごく不安を感じているという前提に立っていただいたほうがいいかなと考えています。
その時に彼らはどう考えているかというと、(将来のキャリアのプラン)A、B、Cがあり、今あなたの職場で考えているプランがAだとします。彼らはそのプランAにしがみつくよりは、対策としてプランBやプランCも用意しておくという戦略を取ります。

だから、ダイレクトリクルーティングの「ビズリーチ」の登録がすごく多いそうなんですよね。もう「新卒で入ったらビズリーチ!」ですよね。新卒で仕事をしていたらビズリーチからメールが飛んでくるそうなんですよ。ダイレクトリクルーティングで、「あなたが欲しい!」というラブレター(みたいなメール)が来るんですよ。
だから、あなたの職場でちょっと優秀そうな人がいたら、ラブレターみたいなメールがビズリーチから来ているかもしれませんね。それがプランBやプランCです。ということを考えたら、ちょっと怖いですよね。
じゃあ、どうすればいいかというと、やはりジョブクラフティングをしておくんですよ。プランB、Cがあろうが、「今はここかな?」(と部下に思ってもらうことです)。さらに、「今はここかな? だって、この上司から学べることは多いよね」(と思ってもらう)。これが答えです。
若手マネジメントが上手な人は、「この上司の下であれば成長できるし、この上司の下であればもうちょっと一緒に仕事をしてみたいかな」と思われる。これがポイントなんですね。なので、ジョブクラフティングについてはぜひ覚えておいてください。
今日の内容はお役に立ちましたでしょうか? では、次回の動画でまたお会いしましょう。