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叱るより褒めたほうが若手社員が伸びる本当の理由(全2記事)

「叱って伸びる人」と「潰れる人」の決定的な違い 上場企業社長が語る、若手を迷わせない指導のロジック

【3行要約】
・「最近の若手は打たれ弱い」という声が多い一方、効果的な部下育成の手法選択が重要な課題となっています。
・株式会社北の達人コーポレーションの木下勝寿氏は、時代背景により欠乏感が薄れた現代では、自然に目標を持ちにくい環境が若手の成長に影響を与えていると分析します。
・木下氏は、管理職は部下の性格ではなく「目標の有無」で指導方法を選択し、褒めることで方向性を示すアプローチが必要だと提言します。

褒めて伸びるタイプと叱って伸びるタイプの見極め方

――木下社長。今日は相談があります。今、部下への接し方に悩んでいるんです。若い方って、叱ったらすぐに「パワハラ」って言われそうですし、打たれ弱そうなタイプが多いので、なるべく褒めるようにしているんです。

だけど褒めても「響いていないな」という感じがしますし、甘やかしているだけなような気がしていまして。それでも、やはりストレス耐性がない人は、褒めて伸ばすしかないんでしょうか? いい方法があれば教えてください!

木下勝寿氏(以下、木下):「最近の若手は打たれ弱い」とか、「メンタルが弱い」って嘆いている人は、すごく多いんですよね。実はですね、若者のストレス耐性の低下が原因ではないんですよ。性格や根性の問題ではないんですね。実際に、若い人でも叱られて伸びる人はぜんぜんいるんですよ。

――確かにいらっしゃいますね。

木下:叱られて伸びる人と、潰れちゃう人。この両者の違いというのは、その部下自身が、ある重要なものをすでに持っているか・持っていないか。たったそれだけの違いなんです。ここを理解せずに、全員褒めて育てようとしても、それはただのご機嫌取りで終わってしまいます。

今日はですね、「褒めて伸びるタイプと、叱られて伸びるタイプの見極め方」。そして「褒めるという行為を、甘やかしから最強の部下育成方法に変える方法」をお話しします。

「なりたい姿」を持つ人は叱られても成長する

木下:結論から言うと、それは「なりたい姿」もしくは「自己目標」を持っているかどうかの違いなんですね。世間では「あいつは気が弱いから褒めておこう」とか、「あいつは根性があるから叱っても大丈夫だ」というふうに、性格とかストレス耐性で判断しがちですけども。これは、マネジメントの本質的な視点で見ると間違いなんですよ。

まず、叱られて伸びるタイプというのは、そもそも自分の中に明確な「なりたい姿」や「理想」を持っています。「こういうプロフェッショナルになりたい」とか、「ここで一番の結果を出したい!」といったゴールがあって、そこに自力で向かおうとするエンジンがすでにかかっている状態の人ですね。

こういう人にとって、一番知りたい情報とは、「今の自分に何が足りていないか?」なんですね。要は「どうしてもゴールにたどり着きたい」という気持ちがあって、「そのために足りていない部分があるんだったら教えてほしい」という。要は「不足を埋めたい」と思っています。なので厳しい指摘とか、もしくは場合によっては叱責であったとしても、それを「修正のための貴重なデータ」として受け取るんですね。

なので、叱られても伸びるんです。逆に、こういう人は褒められてもあまり意味がないんですね。できているところを知りたいんじゃなくて、できていないところを知りたいんです。なぜなら、できてないところを補修して、そこに行きたいから。できているところを言われても、何のプラスにもなりません。というのが、なりたい姿とか理想を持っている状態の人ですね。

褒めることは甘やかしではなく「ナビゲーション」

木下:一方で、褒められて伸びるタイプというのは、能力が低いわけでも心が弱いわけでもなくて。彼らは単純に「どっちに向かって進めばいいか?」がわからない状態にいるんですね。要は、なりたい姿や理想がまだない状態。だから、自力でアクセルを踏んでどこかへ向かうことができないし、どこに向かったらいいのかが、わからない状態。

つまり、霧の中で立ち尽くしているんです。そんな状態でですね、「何やっているんだ!」「そっちじゃないだろ!」って叱られたら、どうなると思いますか? ということですね。

霧の中で立ち尽くして「どっちに行ったらいいのかな?」と思って、ちょっと足を踏み出すと「そっちじゃない!」と言われる。それって、さらに石を投げられるようなものですよね。恐怖で動けなくなるか、むやみに逃げ回って迷走するだけという感じになってきます。

ここで、そういう人に対しては褒めるという行為が機能するんですね。つまり、褒められることで「この行動をすると、認められるんだな」とか、「こっちの方向に進むということが正解なんだな」ということがわかります。つまり、褒めて伸ばすというのは甘やかしているのではなくて、行き先を示すナビゲーションなんですね。

だから、前段階として「こっちに向かうべきなんだよ」と教えるのが、褒めて伸ばすという行為になります。なので「褒めて伸びるタイプだから褒める」ではなくて、自分のなりたい姿を持っていない人を導くための最適な手段として「褒める」という行為があります。まずはこの前提の転換が必要になってきます。

――褒めるっていうことが、ナビゲーションなんですね。

木下:そうです。

混乱させるだけの叱責から、安心感のある指導へ

――そうなると、目標がない人に対して叱ることは「単に混乱させてしまうだけ」となりますか?

木下:おっしゃるとおりですね。もう少し具体的に説明します。例えばあなたが、初めて行く土地で地図も持たずに交差点に立っているとします。どちらが北かもわかりません。「どうしようかな?」と思って、ちょっと一歩踏み出してみました。その時に横からおじさんが現れて、「おい、右に行くな!」というふうに怒鳴ってきました。「じゃあ、左ですか?」と聞くと「左でもない!」と言われる。

これでは一歩も動けなくなってしまうんですね。これが目標のない人に対して叱ることだけを行った状態です。これではストレスだけが溜まって、前進する行動が生まれないんですよ。一方で褒める行為は「こっちの道に進んだら、景色がきれいだよ」とか、「君の足なら、こっちの坂道が登れるよ」と、声をかけることもできますね。

なので、その人が動こうとしたら、違う方向に行った時には叱るんじゃなくて「そっちじゃないよ」とか、こっちに行こうとしたら「あ、そっちそっち」「そっちに行ったらこういうのがあるよ」というふうに言っていくことによって「僕は、こっちに進めばいいんだな!」と伝わっていく。要は人って、安心感があって初めて足を前に踏み出せることがあるんですね。

若手社員のストレス耐性を強くするためにすべきこと

木下:よく勘違いされるんですけども、「褒められて伸びるタイプの人たちはストレス耐性が弱い」というのは結果論なんですよ。どちらに行けばいいのかわからない状態で「こっちはダメだ」って道を次々に塞がれると、誰だって心が折れるんですよね。逆に言うと、最初は褒めながら方向性を示してあげて、彼らが「自分は、この道に進めばいいんだ」って確信を持ち始める。

そこからは少々の困難があっても乗り越えられるようになります。つまり、どんどん認めて方向性を示してあげること。結果として、あとからストレス耐性が身についてくるんですね。だから弱いから褒めるのではなくて、強くするためにまずは道を示すために褒める。この順序が極めて重要になってきます。

――「打たれ弱い」って、相手を批判することは何も生まれないとすごくわかりました。ただ、最近の若い人たちって、そういった「なりたい姿」を持っていない、「褒められて伸びるタイプの人が多い」ということですか?

木下:そうですね。今は時代背景的に、そういう人が多くなっているとは思います。例えば我々の世代では、人によって量の差はあれど「ハングリー精神」みたいなものをだいたい持っていたんですけども。(今の若い世代は)ハングリー精神が生まれにくい環境で生まれ育っているんですね。我々、昭和の時代だったりとか平成の初期の時代って、世の中は不足だらけだったんですよ。
「おいしいものを腹いっぱい食べたいけど、値段が高いからなかなか買えない」とか、「おしゃれな服が欲しいなと思っても、高くて買えない」とか。「車が欲しい」とか「家が欲しい」と言っても、なかなかお金がなければ何も手に入らない。満たされないという欠乏感がすごくあったので、だから「お金を稼ぎたいな」とか「そのためにがんばらないと」。

じゃあ「どうがんばればいいか?」というのも、世の中が単純だったから「こうやればいい」みたいな感じがありました。なりたい姿というのは、誰もが標準装備していたんですね。特に本人の意思が強いかは関係なく、普通に生きていればなりたい姿とか目標を持ちやすかったんですよ。だから昔の人はハングリー精神が高かったのではなくて、高くなれたんですね。

現代は低価格で「そこそこの満足」が手に入る時代

木下:しかし「今の日本というので考えるとどうか?」というと、ファストファッションで安くておしゃれな服が買えますよね。100円ショップに行けば生活必需品って何でも便利に揃います。コンビニとかファーストフードや回転寿司に行くと数百円で、そこそこおいしいものって食べられますよね。今言ったようなものって、僕らもそれで十分に満足しますからね。

一方で、スマホが1台あれば世界中のエンタメが、無料だったり安い値段で、ぜんぜん楽しめます。というと、今の若い人は低価格でそこそこの満足が、けっこう手に入るんですね。そこそこの満足というのも、我々自体が渇望していた満足が、もう安い値段でほぼ手に入る状態になっています。

生存に関わるような欠乏がない状態で「さぁ、ハングリーになれ」とか、「野心を持て」と言われても、まぁ持ちにくいですよねという話ですよね。

喉が渇いていない人に「水をほしがれ」と言っているようなもので、それはちょっと難しいよなとわかります。なので、今の若い人たちというのは「こうなりたい」という強烈な欲求がないのは、彼らの意欲や根性がないわけではなくて。

社会が豊かでなかった頃は、何かを目指さなきゃ豊かになれない状態だったし、何かも明確でした。しかし、社会全体が豊かになったことによって、何も目指さなくても「それなりに豊か」なので、目指すこと自体の必要性が薄れているんですね。なので「目指したい」と思っても、すでにそれなりに満ち足りた状態からでは「何を目指したらいいのかわからない」という状態になっています。

でも、本能として「なんとなく、何かを目指したい。でも、何を目指したらいいかわからない」というのが、今の若い世代が置かれている状況なんです。なので、「何を目指すか?」というのは、本人の方向もありますけど、少なくともこっちは「これを求めてますよ」ということを伝えていくために、外側からナビゲートしていく。そのナビゲートの方法が、褒めるという方向づけなんですね。

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