【3行要約】
・部下の成長が思うように進まず、指導に悩む管理職が多い中、従来の指導方法では限界があることが明らかになっています。
・研修トレーナーの伊庭正康氏は、部下が変わらない原因は能力不足ではなく上司の指導方法にあると指摘しています。
・管理職は部下の「行動変容5ステージ」を理解し、各段階に適した指導法を実践することで効果的な育成を実現できます。
なぜ部下は変わろうとしないのか?
伊庭正康氏:研修トレーナーの伊庭です。今日は、何度言っても変わらない部下に対する指導法を紹介します。部下育成が下手な上司が勘違いしてしまうダメな指導法を紹介するとともに、ここを押さえれば指導がうまくなる。もっと楽に部下が変わる。そんなポイントを紹介していきます。
どうでしょうか? 変わろうとしない部下。なかなか成長しない部下。なんでなんでしょうね? 実は部下の能力の問題にすると、その上司は育成が下手くそというレッテルを貼られます。じゃあ、何がポイントなのか? それは行動変容のステージです。ここを押さえるとやるべきことが見える。今日はそんな動画を紹介しますので、ぜひ楽しみにしてください。
(スライドを示して)メニューはこちらです。まずダメな上司の共通点。この3つについて注意をしていきましょう。そして次に、行動変容のステージにおける理論。各ステージごとにNG、OKを紹介します。部下がなかなか変わってくれないという悩みを持っていませんか? だとすれば、ここを押さえてくださいという話をします。
ダメ上司がやりがちな3つのこと
さぁ、ではいきましょう。まず、ダメな上司の共通点3つ。当てはまっていたら要注意です。できない部下、変わらない部下がいたとしましょう。1つ目、その時に「部下の能力が足りない」と言いがち。2つ目、人は変わらないと決めつけがち。3つ目、拙速な変化を求め過ぎ。どうでしょうか? 当てはまるところはないですか?
私は自分の管理職時代、特に最初の頃を思い出すとすべて当てはまっております。わかります。だってねぇ、あのできない、変わらない部下、「なんでやねん?」と思いませんか? 上司のストレスはそこにあるんですよ。でもね、ご安心ください。やることが見えるから、気持ちが相当楽になると思います。
5つで構成される行動変容のステージ
では、いきましょう。行動変容のステージには実は理論があるんですね。行動変容ステージ理論を確認していきます。人が悪い習慣をやめ、良い行動を維持するまでには5つのステージがある。ということは、変わらないあの部下がどこのステージにいるかを押さえておけばいいんですよね。
ではステージを見ていきましょう、まず(ステージ)1から5まで出しました。これはまだイントロダクションです。私が部下だった頃は、ダメな部下だったと思います。なぜか? 営業職だったんですが、どこかで「営業は売れていりゃいいんでしょ?」みたいに思っていて、他のことをかなり大雑把にやっていました。
ですから、いろいろなところから注意を受けます。「伊庭君、提出物の締め切りを守ってね」「わかりました、すみません(でも、お客さま優先)」みたいな感じだったんですね。
上司からも言われます。「おいおい、伊庭よ」「提出物、もっと早くしろよ」と。「わかっています(でも、営業成績のほうが大事でしょ?)」。こんな新人だったんですね。馬鹿ですよね。ですから行動はまったく変わっていませんでした。
ところが変わるんですよ。このステージ5つを見てください。(ステージ)1、無関心期。問題を認識していません。それが先ほどの新人の私です。2つ目、関心期。「そろそろこれ、やべぇな」「直さないといけないな」と考え始める。私はあることをきっかけに「これはやべぇな」と気づかされました。これがステージ2です。
ステージ3、準備期。「じゃあ、こうしていこうかな」。はい、準備です。「じゃあ、こうしていこうかな」。ステージ4、実行期。「よし、これとこれとこれはもう今のうちにやろう」。ステージ5。6ヶ月それが続く。私も最初はダメな部下でしたが、提出物の締め切りをかなり守る部下になりました。時間厳守でございます。今は時間管理研修もやっているぐらいですからね。時間はかなり厳守でございます。
ステージ1「無関心期」は事実の共有と問いかけで自覚させる
なんでそう変わることができたのか。このステージ5つで上司がやるべきことをやってくれていたからなんですよ。さぁ、やるべきこととやってはいけないことを今から紹介していきます。各ステージごと、あなたの部下を想像しながら聞いてください。
まず(ステージ)1、無関心期。「いや、今のままでいいですよね」。やってはいけないことから言いますね。正論で詰める、危機をあおる、「いや、この目標でやってね」と強制する。
私も「営業って売れていりゃいいんでしょ?」に対して正論で何度も詰められました。「このままでは他の人、困っちゃうよ」と、危機もあおられました。目標設定もありました。「提出物を守ってね」。ダメだったら次の週、ミーティングで「ダメですよ」って言われる。(でも)変わらないんですよ。
じゃあ、OKなのは何かというと、事実の共有と問いかけです。実はね、カギは危機感を作ることにあるんですよ。説明より見せることが大事だったりします。これね、危機感を醸成する時に使うテクニックなんですが、いくら説明を重ねても正論を言ってもダメなんですよ。(だから)見せちゃうっていうことなんですね。「この数字、どう見える?」「この状況に対してどう思う?」。こういう場面が必要なんですよ。

私が突きつけられたのが、360度サーベイでした。上司がつけるサーベイと、同僚がつけるサーベイと、私がつけるサーベイにギャップがあったんですよ。私がいいと思っていたことが他の方々は「あり得ない」。そこに定性コメントがあるんですね。「伊庭君はどうたらこうたら、どうたらこうたら」。
それを見せつけられて、「これでもあなたは続けるんですか?」。続けられません。そんなに同僚からクレームがあったら続けられません。さすがに人の子です。「これはやべぇな」と思う入り口に立つわけです。
まず、事実を説明するより、「この状況をどう思う?」と何かしらを見せてあげてください。場合によっては数字でもいいですし、「この状況はこんなに迷惑かかっているよ」「これ、このまま放っておいたらこうなるよ」みたいなことを、見せることをお勧めします。危機をあおるんじゃないんです。「考える時間を作る」です。