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「マネジメントに活かす目標管理制度とは?」&「制度を絵に描いた餅にしない『運用の仕組み』」(全4記事)

部下の挑戦を引き出すには“働きぶり全体”も評価する 目標管理のよくある失敗を防ぐ3つの重要ポイント

【3行要約】
・従来の目標管理制度では数値達成が最優先され、挑戦的な目標設定や柔軟な変更が困難という問題が指摘されています。
・杉山敬太氏は目標達成度と人事評価を切り離し、詳細な等級定義に基づく働きぶり重視の評価制度を提案。
・組織は目標管理をマネジメントツールとして再定義し、パフォーマンス全体を評価できる仕組み作りに取り組むべきです。

前回の記事はこちら

目標の達成度と人事評価を直結させない発想

杉山敬太氏:では、この諸悪の根源を解決するために、どのような制度を入れたらいいかというのが、本日、我々がご案内したい内容となっております。

結論を申し上げると、この諸悪の根源に対応するには、目標の達成度と人事評価を直結させないことが必要です。目標管理制度自体は入れるんですけれども、その達成度で直接、A評価とかB評価とかを決めないということですね。

具体的にはこの後にご紹介させていただきますが、「目標の達成度だけではなくて、期中の行動すべてを評価に反映させましょう」というのが、我々が今回ご紹介したい内容になります。

そうするとどうなるかというと、まず目標設定の自由度が高まります。目標の達成だけで評価が決まるわけではないので、自由に目標設定できるようになります。そうすると、先ほどのような「(目標の達成度を)必ず数値化しなきゃいけないんじゃないか」という問題は解消されます。さらに個人個人のレベルに応じた目標を設定しやすくなります。

そして、目標は自由に変更ができます。これも直接処遇に反映しない仕組みとすることで、期中でも状況に応じて上司が部下にやってほしいことを指示しやすくなる。

働きぶり全体を評価する仕組みの効果

では、具体的にどのようなものなのかという話をさせていただきますと、先ほど冒頭でもお話ししたように、通常の目標管理制度の仕組みだと、評価の対象となるのはあくまでも「目標が達成できたかどうか」が中心となります。

例えば、難しい目標に挑戦して目標自体は未達となった場合、未達なのでランクとしてはC評価になりますよ、というのが通常のよくある目標管理制度です。そうではなく、働きぶり全体を評価する仕組みを入れることによって、これが解消される。

具体的にどういうことかというと、目標自体は未達ですが、この人は期中にすごくがんばり、目標に取り組む中でナレッジを生み出して社内で展開しています。さらに、ふだんから周囲に良い影響を与えています。部下の面倒見もいいです。そして顧客からも評価されています。

この3つが良いのに、目標だけ達成できていないという方ですね。こういう方については仕事ぶりをトータルで評価するので、目標は達成できていなくてもC評価ではないです。B評価とか、あるいはA評価がつきます、というのが働きぶり全体で評価をする制度になります。

等級定義を使った評価の考え方

「じゃあ、いったい何を軸にして評価をするんだ」というところが肝になってくるんですけれども、それは等級定義を使います。等級定義というと、みなさんのイメージとしては1~2行くらいで「何等級の人はこういう人です」とざっくり書いてあるようなイメージかなと思います。

我々が推奨している等級定義は、しっかりと評価の基準として使えるものになっており、すごく具体的に書いています。これが、今回の総合的な評価における肝になってきます。

(スライドを示して)では具体的にどのような等級定義を作っていくのかというと、すごく文字量が多いんですけれども(笑)、これぐらい細かく等級定義を書きます。というのが、ここでご紹介したい内容です。

イメージとして、どのように作るのかというと、大きく2つのパートに分かれており、まずは仕事に求めるレベルを定義します。その等級・グレードに対して、仕事においてどこまでのレベルを求めるかを記載します。

例えば、グレードがプレイヤーの人を見ていきます。人材としては現場のリーダーやトレーナーというような方をイメージしていただくと、この方が期待される職務のレベルは高い業務品質です。なので普通の業務品質やエントリーレベルの行動ではなく、高い品質が求められます。そして業務でどのような成果を上げてほしいかというと、通常のオペレーションももちろんなんですけれども、現場での問題解決も求める成果になります。

それらをやるための能力、ケイパビリティというところで、実務経験や専門知識もしっかりあるというような方が、このプレイヤーというグレードになります。これが仕事に求めるレベルを定義するということです。

プレイヤーの等級によって求めるレベルを設定する

加えて、さらに具体的な行動水準に落とし込んでいった時に、このプレイヤーにどういう仕事の仕方を期待するかを細かく書いていきます。

業務推進においてはこういうことをしてほしい、組織運営においてはこういうことをしてほしい。それから学習とか、日頃の成長を考えてこういうことをしてほしいということも、細かく書いていくんです。

例えば、今回評価をする方がエントリープレイヤーですという(場合だ)と、やってほしい職務のレベル、それから業務の成果、求められる能力・経験ということで評価をします。

これが評価のイメージになるんですけれども、エントリープレイヤーの人なので基幹業務とか、ふだんのオペレーションを中心に回してほしいというのが、この人の評価基準となります。それができればB評価という評価が与えられます。

じゃあ、それよりも上の等級、例えばプレイヤーが上の等級だとします。ここでやってほしいのは、例えばふだんの業務のオペレーションだけではなくて、イレギュラーとか問題解決をしていくこと。それができれば、この人はプレイヤーの役割と言っても遜色ないんじゃないかと、A評価やS評価がつくということです。

なので、その方の等級定義・役割だけではなくて、上の等級の役割もしっかり見ていきます。あとはC評価・D評価がつく可能性もあるので、それよりも下の等級の定義もきちんと見ながら評価をしていかなければいけないということになります。そのためには、かなり細かい評価基準になってくると考えます。

目標管理制度の具体的な運用イメージ

そして最後に、運用のイメージということでお伝えさせていただきます。運用のイメージとしては、先ほどから申し上げているように目標を達成できたかどうかだけではなくて、仕事ぶり全体で評価をするのがこの仕組みです。

なので、最も大事なのは、ちゃんと上司が日頃から部下の働きを把握していることです。これがマネジメントということになりますよね。目標設定したが、期中において部下を放置するのではなく、日々細かいフィードバックをしてあげることが不可欠です。

具体的に申し上げますと、期初で目標設定して期末でフィードバックをしていくまでに、例えば面談を3回重ねます。その中で「目標は今どういう感じですか? 達成できそうですか? 順調ですか?」と。

もしダメそうだったら、2回目の面談で「じゃあ、ちょっと目標を合わせましょうか」ということで目標を修正して、面談の3回目ではしっかりと目標達成できるような状態になっている。最後のフィードバックでは「目標達成できているね」というようなかたちで、目標を調整しながらできるのがこの制度の特徴です。

最終的には目標だけではなくて、等級定義の基準にしっかりと見合った行動が期中でできているか、働きぶり全体を評価するのがこの制度になっております。

ここまで見ていただいてわかるとおり、上司の方にとって運用が非常に大変な仕組みとなっています。ただ運用が大変である一方、適切に上司がきちんと部下をマネジメントできる、部下の状況を把握できる仕組みになっております。

目標管理制度における3つの重要ポイント

(スライドを示して)最後になります。本パートのまとめです。本日、これだけは覚えて帰っていただきたいという内容を、3つお話しさせていただきます。

1つ目が、目標管理制度とは、なんとかして目的や目標を達成することを支援するためのツールです。決して処遇に反映させることだけを目的としたツールではなくて、あくまでもマネジメントとしてのツールになっております。

そして2つ目、意味のある目標管理を行うためには、達成度を直接処遇に反映させないことが重要になってきます。

最後に3つ目は、そのためにパフォーマンス全体を評価できる仕組み。目標の達成度だけではない、パフォーマンス全体を評価できる仕組みを構築することが、目標管理制度をマネジメントに活かすうえで重要になってくるという話でした。

では、前半の私のパートは以上になります。ありがとうございました。

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