【3行要約】・「次回直してきて」と伝えても改善されない――このようなフィードバックの失敗が多くの職場で起きています。
・高松康平氏は、アドバイスとフィードバックの違いを理解せず、思考プロセスへの助言が不足していると指摘。
・上司は思考プロセスの可視化と図解・評価・助言のサイクルを身につけ、部下と共に考える姿勢を持つべきです。
前回の記事はこちら 「課題解決フィードバックの達人」になる方法
高松康平氏:「課題解決フィードバックの達人」になると何が変わるか。まずアウトプットの質。下手くそフィードバックだと、やはり改善されません。みなさんも、そういう光景を見たことはありませんか。いろいろフィードバックをして、「次回ちょっと直してきて」って言ったけど、「あれ? あんまり変わっていないね」と。でも、「課題解決フィードバックの達人」になると劇的にアウトプットの質が上がります。

そして、部下の頭。いろいろ言われて、「混乱しちゃいました」みたいな。違います。「課題解決フィードバックの達人」になると霧が晴れます。これは、誰が一番その効果を感じているかと言うと、手前みそながら私自身です。
私も研修講師の仕事をさせていただいていますが、フィードバックが下手くそだったなと正直思っています。この1、2年、どうやってフィードバックをやるか、いろいろ研究をして、型化し、プログラム化していますが、本当にアウトプットの質が上がりました。フィードバックをした後に「霧が晴れました」と相手の顔がすっきりしたような顔になります。
最近の私の流行語は「霧が晴れる」で、2026年の流行語大賞はこれでいきたいなと思っています。「霧が晴れるフィードバック」。
そして、人材育成につながるんです。下手くそだと学びにつながらない。でも、ちゃんとフィードバックをすると学びにつながります。どう考えるべきかわかるから、学びにつながる。
「仕事を前に進められる1on1」ができる
そして、人間関係。(下手くそフィードバックだと)信頼を失います。「なんなのあの上司」と。私の場合で言うと、「あの講師さ、なんかよくわからないよね」みたいな。でも、しっかりフィードバックすると、「ありがとうございました」と言われます。
私も研修後に受講生とめっちゃ仲良くなれるようになりました。講師としては、恥ずかしい告白ですが、今までって「そんなに距離感縮まらないな」と思ってました。「もうちょっと、仲良くなれたな」「信頼関係を築けたらな」と思っていたんですが、このフィードバックのやり方を変えると、非常に、信頼関係を持てるようになりました。それが「課題解決フィードバックの達人」なんです。
じゃあ、どんな効果なのか? 一般的に1on1というと、経験学習。その人がその経験から学ぶ、そして上司と部下で仲良くなろうと、信頼関係を作るというだけになります。
「課題解決のフィードバックの達人」になれば、仕事を前に進めることができる1on1ができますので、1on1の定義、各社違うかと思いますが、仕事の相談にちゃんと乗れます。そういうこともできるようになった上で経験学習し、信頼関係の構築もできます。最高じゃないですか。
でも、なかなか難しいっちゃ難しいです。どういうことが起きるか、起きているか。我々、いろいろ話を聞いてまとめてみました。
あるある失敗例5選
「先輩、フィードバックもらえますか?」……あるある失敗例を5つご紹介します。もしよろしければ、みなさんの心の中で、「あるある」という事例があれば、ぜひうなずきながら聴いていただけるとうれしいです。
1つ目。一生懸命伝えたが、伝わっていない。こんなことありませんか? メンバーから「ちょっとフィードバックください」と。あなた、上司が一生懸命伝えます。

「がんばって作ってくれたんだね、3ページはここを直して」と。「6ページ目はここを直して。7ページ目はこことメッセージとデータのつながりが弱いかな。11ページ目は……15ページ目は……全体としては、今伝えたことを踏まえて資料を修正してください」。こんなかたちで丁寧にフィードバックをしたつもりだけど、メンバーが直したのを見てもあんまり資料の質が上がってこないことってありませんか?
この上司は、悪いフィードバックではないような気がしないんですが、これはフィードバックではないです。単なるアドバイスです。つまり、アウトプットに対して「こうしたら?」と言うんじゃなくて、フィードバックというのは、どう考えたらいいかというところについてアドバイスをすることですので、これでは、思考の質が実は上がってこないです。後ほど補足します。
2つ目。質問返しで部下に考えさせてしまう。「ちょっと相談に乗ってもらっていいですか?」と。「あなたはどう思う?」って、上司から質問返しが返ってくる。これもたまにあるんじゃないかな。
上司に相談しているのに、質問返しをしてしまう。これがコーチング手法に頼り過ぎてしまう弊害として出ているかなと思います。「わからないから相談しているのに、質問返しはきついわ」みたいな感じになります。そういうものではないです。
「これで合っていますか?」という問いから逃げる
3つ目。ピントのずれたアドバイスをしてしまう。「これってさ、結局こういうことだよね。こういう問題は経験的に」と。部下は「いやぁ、なんかずれているな」と。「相談して損した」と思われてしまう。自分の経験値を語ってしまうため、相手にとって役立つ内容になっていない。これはけっこうあるかなと思いますが、いかがでしょうか。

4つ目。「これで合っていますか?」という問いから逃げる。最近聞かれること、ありませんかね? 「これで合っていますか? これでいいですか?」と。それで上司から「今の時代、答えはないんだよ」みたいな。部下は「うわぁ……」ってきっと思いますよ。上司からの正論マウント。そういう話じゃないんですよ。これでは相手からの相談に向き合っているとは言えません。

そして、こんなことも(5つ目)。フィードバックできる自信が持てない。メンバーから「資料、完成したので見てもらえますか?」と。「あぁ、見るよ」と。送られてきました。「めっちゃページがある。大量じゃん」と。あなたの気持ちは「えっ、30ページもあるの?」「どこから伝えたらいいのかな?」と。

アドリブで、部下の資料にフィードバックするのってやはり難しいんですよ。「どこから言う? どこまで言っていいのかな?」とちょっと困っちゃう。で、褒めちゃうみたいな。これじゃ、いけません。