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営業の生産性を上げる「地に足のついた」AIの使い方〜AI活用できない状況を脱却する”プロセス設計”の黄金ルール〜(全5記事)

業務を効率化する生成AIの活用シチュエーションと“注意点” メールのサンプル作りや新規開拓など、営業における活用事例を紹介

【3行要約】
・営業組織におけるAI活用は効率的な側面がある一方、“本当に顧客の成功につながっているのか”という本質的な問いを見失うリスクがあります。
・『無敗営業』シリーズ著者の高橋浩一氏は、手書きのメモのテキスト化やメールのたたき台作りなど、AI活用が効果的な場面と活用方法について解説。
・ただし、AIの出力結果を鵜呑みにせずに批判的思考を持って検証することが重要だと語ります。

前回の記事はこちら

AIを活用する上で必要な考え方とは

高橋浩一氏:後半の話に入っていきたいと思います。具体的な活用場面ですね。まず私のスタンスとしては、誤解がないように申し上げておくと、AIは使うなという立場ではありません。使えるべきものは使ったほうがいいですし、やはり効率化は必要です。

ただ、私がはっきりと意志として持っているのは、「何のために(AIを使うのか)」というのはすごく大事です。もちろん効率化はされるんですけれども、「それって結局お客さまのためになっていますか?」とか「お客さまの成功を実現するほうに近づいていますか?」という問いを立て続けることが、非常に重要なのではないかなと思います。

私も会社経営をやっている立場ですので、例えば社内でもAIの使い方についてはけっこう議論があるんですよ。なんですが、それ以上に「お客さまの成功について議論するほうが盛り上がっているのか?」というところをものすごく見ています。

今のは大事なのでもう1回言いますね。「AIを使ってこんな便利なことができました」とか、よくあるじゃないですか。それは止めませんし、むしろやったほうがいいです。ただそれよりも、お客さまの成功について議論が熱くなっているほうが大事だということです。

このバランス感を絶対に失わないようにしようということは、かなり強い経営の意志として持っていますし、そこにはけっこう介入をしております。それを前提として、使えるものは使ったほうがいいというスタンスを私は取っています。

営業組織で有効な生成AIの活用場面6選

「じゃあ、どうやってAIを使うの?」ということなんですが、業務プロセス設計の思想として、「誰のどんな業務の力を借りるんだ?」というふうに考えた時にはいくつかあると思います。

私が絶対的に強いなと思うのは、音声や手書きのメモを整えることですね。これはもう本当に、無条件に強いです。グタグダっとしゃべっても、ちゃんと文章を整えてくれるというのはありがたいわけですよ。長文を書く時なんかはものすごく重宝しています。

それから営業組織で有効な生成AIの活用場面は、お客さまにアプローチをする、上司や壁打ち相手として頼る、作戦を立てる、新メンバー向けの教育をやるといったところです。

まずは、営業アシスタントやマーケティングチームの仕事のところです。私は社内にも社外にも文章で伝えることが多いので、特に長文を整えるのは本当にものすごく重宝しているんです。

音声でブワーッとしゃべって、こういうプロンプトを打って「整えてください」というふうにしております。

本当に簡単ですよね。こんな感じできれいに整っていきます。

手書きのメモをテキスト化することで生産性が向上

長文のメールの下書きなんかもいいと思いますし、手書きのメモを整えることもいいと思いますね。手書きしたものを、こうやって「テキスト化してください」とか「まとめてください」というふうに、整えてもらうのもすごくいいと思います。


 あとは、「日本語として自然な文章になるように」とか補足してももちろんいいですが、その後のブラッシュアップしていく過程でどうせ補正してくれるので、あんまり乱れは気にしなくていいかなと思っていますね。

AIから提案されることもありますが、別に気にせずに自分から「これをしてください」というリクエストをしてもぜんぜんいいわけです。ということで、音声とか手書きみたいなモヤッとした情報を明らかにするというのは、AIはけっこう強いわけですね。

具体的な例を挙げると、お客さまをめちゃくちゃ盛り上げるみたいな感情型の営業の人がいるとするじゃないですか。例えば、その人の商談のテキストをバーッと書き起こして、それをまずは1回整える。それをAIに分析してもらってもいいですし、みんなで議論してもいいんですけれども、見てみると発見があるかもしれませんね。

そういう人の言い回しを見るという意味でも、やはり音声とか手書きを整えるのも絶対的に(AIは)強いわけです。手書きを整えるというのも、こんな感じでけっこうちゃんと整理をしてくれます。

長文とか手書きとか音声とか、こういうものに関連する生成は文句なしに便利ですよね。私なんかはけっこう音声派・手書き派なので、はっきり言って生産性はかなり大きく変わりました。

既存顧客へ送るメールのサンプルの作成方法

今日聞いていただいている方の中には、経営者の方やマネージャーの方やリーダーの方がいらっしゃると思うんですけれども、みんなに伝えたい内容とかがあるじゃないですか。でも、うまく言葉にするのが難しいということもあると思います。

今、世の中では「言語化」と言われていますが、本屋さんへ行けば言語化の本はいっぱい売っています。なんですけれども、言語化といった時にこれがちょっと大事なところです。

注意点としては、AIに直接考えさせるよりも、まずは自分で音声の原稿を作ってそれを整えてもらうというアプローチにして文章にすれば、言語化を補うことができるんですよね。ちゃんと自分が考えるということが前提であれば、これははっきり言って革命的だと思います。

次が、既存の接触先に再アプローチをする、メールの文章を作成するということですね。メールの書き方なんですが、AIが書いたメールをお客さんにそのまま送るのはけっこう難しいので、まずは書くべきメールの着眼点を出してもらうのがすごく大事だなと思っています。

「押さえておくべき着眼点をリストアップしてください」というふうに、着眼点を出してもらう。まず、これだけでけっこう教育効果がありますよね。それに沿ってサンプルを作ってもらって、着眼点について修正があれば出してもらえばいいわけです。あるいは、こういう感じでメールのサンプルを作ってもらうこともできます。

お客さまの情報を入れることについて、どこまでの情報をどういうふうに入れるのかは、セキュリティとか組織としてのガイドラインがあります。なので、それを勘案した上で、たたき台を作るレベルでは使えるかなと思いますね。

これはちょっと少し凝った作り方ですが、「お役立ち情報を検索してきて、ご紹介するような感じのたたき台を作ってください」というふうにやっています。ただ、もちろん(AIで作成した)メールをそのままお客さまに送るのはやはり難しいので、あくまでもメールのたたき台を作るところまでかなと思います。

営業の新規開拓に役立つ生成AI活用法

そして、次が「新規のアプローチ先のお客さまを理解する」です。(生成AIの)リサーチはもう圧倒的に強いですよ。「PESTとか3Cの観点を盛り込んで、リサーチのレベルを上げるような表現で」「戦略系コンサルティング会社がリサーチするようなレベルで、徹底的に細かく分析してください」とか。この類いでは、もう人のスピードではぜんぜん勝てない。クオリティも勝てないですね。

ハルシネーションということがよく言われますが、「AIはうそをつく」と言われるやつです。もちろんファクトチェックはやったほうがいいんですけれども、大前提として、ハルシネーションに関するところもどんどんパフォーマンスは改善されています。

なので、出力結果をそのままお客さまに使うとかじゃなくて、自分の頭に情報をたたき込む上での効率化という文脈で捉えたらいいと思いますね。例えばこういう感じで、お客さまが課題に感じていそうなことを具体的に出してもらう、みたいなやりようもありますね。

これはTORiX株式会社をお客さまに見立てて、仮説を立てる際のプロンプトなんですけれども、「お客さまが課題に感じていそうなことを細かく洗い出したいです」という感じで出してもらう方法もあります。

あとは商談の会話のイメージがつかめるように、具体的に言い回しなんかもヒントをもらってもいいかなと思います。

ただ、ちょっとこのあたりからは、私がさっき申し上げたバランス感というものがすごく重要です。「私は社内のメンバーが(AIを)どういうふうに使っているかを見ます」ということを先ほど言いました。例えば、入り口としてリサーチをしてもらうとか、仮説を立てる上でAIに案を出してもらう時に、AIに考えさせて終わりにすると能力も意欲も落ちるんですよ。

AI活用を進めていく上での注意点

ちょっと想像していただきたいんですが、お客さまのところを訪問する前に、昔はWebを見ていろいろと想像力をかき立てられて、柔軟に考えたり人とブレストしたりとか、こうやって事前準備をやっていたわけじゃないですか。

AIを使うとその時間がすごく短縮されますので、効率化の観点でいいかもしれません。ただし、AIが出したものをそのまま鵜呑みにして、お客さんのところに行くというふうになると、「じゃあ、営業の介在価値は何?」という話になっちゃうじゃないですか。

だから、私が「使い方を見ます」と言ったのは、その後を見ているんですね。その後で自分の考えをちゃんとぶつけて、壁打ちをして進化させるということをやっているかどうか。これなしに商談に行ったら、本当に意味がないわけです。

それは、AIとやってもいいし人とやってもいいんですが、AIが出したリサーチの結果を読んで、事前準備をした気になって行くというのは絶対にNG。これは能力の観点でも、意欲の観点でも、成果の観点でもNGだというふうに、私は自分の社内には線を引いています。ここらへんは各社さんの考えももちろんあるので、バランス感覚の上でくみ取っていただきたいなと思っています。

繰り返しになりますが、ただ単純に効率化すればいいというふうに考えるのは、私は危険ではないかという立場を取っています。本当にそれはお客さまを成功させることにつながっていますか? そして、それに向かってメンバーはハッピーに働けていますか?

あとはAIに関しては、認知的オフローディングとか、内発的意欲の減退というリスクは当然あります。これをどうやって防ぐかというと、批判的思考がキーポイントです。だから、私がさっき「ローパフォーマーにはそんなにAIを使わせないほうがいい」というふうに言ったのはこれなんですよ。

ローパフォーマーが薄っぺらくAIに何かを出してもらって、わかったつもりになってお客さまのところに行くと、能力も落ちるし、意欲も落ちるし、パフォーマンスも落ちるし、もういいことがないんですよね。なので、ある程度はAIに対して逆突っ込みができるようになってからでないと、個人的にはあんまり意味がないかなと思っております。

要するにどういうことかというと、AIが出してきたアウトプットに対して、「いや、それはこの観点が抜けていますね。こういうことを考えなくちゃいけないじゃないですか?」って、逆に突っ込めるような状態じゃないといけないんです。

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