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営業の生産性を上げる「地に足のついた」AIの使い方〜AI活用できない状況を脱却する”プロセス設計”の黄金ルール〜(全5記事)

営業スキルを向上させる効果的なAI活用方法 AI導入で陥りがちな“落とし穴”には要注意

【3行要約】
・営業組織において、AI活用による効率化が進むものの“誰がどう活用すべきか”という視点が欠けがちです。
・『無敗営業』シリーズ著者の高橋浩一氏は、AI活用で大幅にパフォーマンスが向上する営業パーソンがいる一方、メンバーのタイプによっては別のアプローチが必要だと指摘。
・企業は営業パーソンのタイプ別に活用方針を変え、AI活用の推進だけではなく、創意工夫を促す組織文化の構築が重要だと語ります。

前回の記事はこちら

顧客との関係構築にプラスに影響する要素

高橋浩一氏:今後の見立てです。これは2,676人の方々に聞いたんですが、営業とお客さまとの関係構築において何がプラスに影響するのかを聞いてみた時に、上位の回答はわりと動きのスピードとか質に関するものなんです。ということは、このへんはまさにAIによってかなり加速するゾーンですよね。

だから、私がさっき「思考寄りの営業のパフォーマンスが上がりやすいんじゃないか」というふうに言ったのは、この傾向で見ると、動きのスピードや動きの質はお客さまとの関係構築にとってすごく大事だということなんですね。だから、AIを味方に付けられるとものすごくパフォーマンスが上がりやすいということです。

2つ目が、時間の切り売りです。(お客さまへの提案を作るのに)明らかに時間をかけるとか、小さな仕事を手伝う。これはどっちかというと、ローパフォーマーの方々が奉仕をするみたいな感じで、関係構築するというところになるのかもしれません。

3つ目の「感情訴求」は下のほうではあるんですが、もちろん回答がゼロではないです。こういうことが関係に寄与するお客さんは当然いらっしゃいます。ですので、むしろ人間臭さで勝負をするということはあり得るが、全体の傾向で言うとやはり少数派ではあるんですよね。

さっき私がこういうふうに評点を付けたのは、お客さまとの関係構築において、右上にいる人(思考寄り×ハイパフォーマー)はものすごく有利だということなんです。

「営業スキルの高さ」と相関する4つの因子

ちょっと別の角度から、今度は組織展開みたいなことを考えてきます。私は東京学芸大学で研究をやっていて、営業スキルの高さと関係する4つの因子というものを出しました。

「強みが活きる経験」「試行錯誤の経験」「やる気への刺激」「内省と学習の支援」というものがあって、だいたいの相関についてはこれを見ていただければと思うんですけれども、0.30を超えていると中程度以上であるということですよね。

いろんな要素を出していきまして、相関を調べていきました。この4つの因子を見ていった時に、よくAIと関連付けて語られるのは「営業の型」というものがありますね。型があっても、育成がうまくいかないケースって正直あるかなと思っています。

どういうことかというと、AIを使って型を浸透させるんだといっても、スキルを伸ばしていく上で強みが活きる経験ってやはりすごく大事なんですよ。そうなった時に、何でもかんでも「みんな同じようにやれ」というふうにやると、やはりうまく型にはまらないわけですね。

あと、ハイパフォーマーって基本的にけっこう個性豊かじゃないですか。「なんかあの人は自分勝手に、属人的にやっていますよね」という中で、「じゃあ、みんなこれをやれ」みたいなことを押しつけようとしてもうまくいきにくいということです。

あと、やはりAI時代に「これが正解だ。このとおりにやりなさい」みたいなことをやっていくと、当然ですが試行錯誤は減ります。

やる気への刺激ということで、さっき私が「こういうものがありますよ」と紹介したアカデミックな研究論文で、「内発的動機の減退」というものがありました。これは要するに、「AIに代わりにやってもらう」みたいなテンションでやっていくと、どんどんやる気が下がっていくわけですね。

そして、内省と学習の支援。例えば今だと、上司がフィードバックする代わりにAIがフィードバックをするようなツールがあります。私は別にそれをまったく否定するつもりはないんですけれども、上司が指導とか内省の促進をやらなくなるのは、すごく危険だなというふうに思っているわけですね。

AI活用によって伸びる営業のタイプとは

ということで組織で言うと、こういう人たちはけっこう型に落とし込みやすい、こういう人はちょっと型に落とし込みにくい、というのは傾向としてあるわけですが、右下の人たち(感情寄り×ハイパフォーマー)のやっていることを無理くり型に落とさなくてもいいわけです。

まず、その恩恵を受けるためにはどうしたらいいかという話なんですけれども、ここらへんのバランス感覚が非常にポイントにはなります。赤枠のゾーンの人たち(思考寄り×ミドルパフォーマー・ハイパフォーマー)って、AIをうまく使うとものすごく伸びるわけですよ。

型の3要件である、「具体的なサンプル」と「チェックポイント」と「パフォーマンスを練習するロールプレイ・テスト」みたいなものをうまく活用していきます。

どうやったら営業の型とスキルの高さを両立できるのか? ということなんですけれども、私の仮説はこうです。まず「強みが活きる経験」に関しては、型を作ることはぜんぜん問題ないんですけれども、(型作りは)最低限の基準であるということです。

「この一定の基準をクリアした人は、別に無理にこのとおりにやらなくてもいいよ」と、はっきり言い切ることがポイントですね。だから、型は最低限をクリアさせるための武器なんだということです。これを「みんな同じようにやれ」というふうにすると、強みが死んでしまいます。

フィードバックをAIに頼るとスカスカの営業組織に

「試行錯誤の経験」というのも、型はゴールではなく出発点であるというふうに言い切ってしまう。だから、「これをもとに、みんなで創意工夫をしてさらに進化させてくれ」と言い切ることがポイントですね。

だから、みんなが同じようにやらなくてもだんだんよくなっていきます。そうしたら、また別の新しい型を用意すればいいということですね。みんなに本当に同じことをやらせようとすると、試行錯誤は減ります。だから、型はゴールではなく出発点です。

そして、最高基準の型をみんなで実行するのではなく、あえて型の亜流を社内で共有することが積極推奨される文化にする。ここは試行錯誤にちょっとつながるんですけれども、「もうこれが最高なんだ。これをみんなでやりなさい」というふうにやるよりは、「これは出発点だ」というふうにするんです。

「これを使ってこんなことをやってみました」「あんなことをやってみました」って、だんだんと型からズレていったりするわけじゃないですか。そういう時に、「おいおい、何をやっているんだ! 型どおりにやらなきゃダメじゃないか!」って言ったら、やる気が減るんですよ。人ってそういう生き物ですから。

そうじゃなくて、「あっ、なんかいい感じに崩れてきたぞ」でいいわけです。そうしたら、また次のステージに向けた型を用意すればいいわけです。ですから、大きく振り子運動を回していくような感じでしょうかね。

あとは、上司の「突っ込んで考えさせる力」をものすごく強化するということが必要です。これをやらないでAIフィードバックに頼ると、スカスカの営業組織になってしまいます。上司がまったくレビューしなくて、AIがフィードバックしてくれるみたいな、ちょっとディストピア的な感じの世界観になってしまうわけですね。

営業組織全体でAI活用を進めていくためには

ということで、じゃあどうやっていったらいいのか? の結論なんですけれども、青色の人たち(思考寄り×ミドルパフォーマー・ハイパフォーマー)は大いに伸ばしたらいいと思います。社内の先進事例を作って展開する。

あと、緑色の人たち(感情寄り×ハイパフォーマー)には、AIを使わせるというよりも、材料を提供してもらう。「あなたたちが飛び抜けているのは何か理由があるんじゃないか?」という、エッセンスを研究するということですね。それを他の人に展開します。

黄色の人(思考寄り×ローパフォーマー)には、オンボーディングに積極活用します。この人たちに無理に「AIを使え」と言っても、パフォーマンスは上がらないんですよ。なので、これは本当に落とし穴に陥りがちなんですが、無理くり「AIを使え、使え」というふうにやるよりは、考える力をちゃんと伸ばしたほうがいいということですね。

そして、赤色の人たち(感情寄り×ミドルパフォーマー・ローパフォーマー)は、けっこうバランス感覚がすごく大事なところです。AIは魔法の杖ではないので、「とにかく何でもかんでも全員が使いなさい」というよりは、やはり注意深く進めるべきゾーンはあります。

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