【3行要約】・コミットメントや責任感が重要と言われるPMですが、その抽象的な概念をどう実践するかが課題となっています。
・記事の中では、PMには相手を巻き込むことが重要であり、それこそがコミットメントの証だと提示します。
・PMは先天的な才能ではなく、自分のストレス対処法を知り、言葉の厳密な使用を訓練することで成長できます。
前回の記事はこちら 上位群の要素をどう読み解く?
久津佑介氏(以下、久津):この後の時間は、この内容を踏まえて、1個1個テーマを選んで……特に今、松栄さんがいらっしゃるので、各社実際どう考えているのか? どうしてもテキストでの回答になると、「それっていろんな捉え方があるよね」というのもあるので、「じゃあ、具体的にどう考えているんだっけ?」みたいな話をしていければなと思っています。
椅子が1個空いているのがずっと不自然だったと思うんですけど、今回回答していただいた方の中から、サプライズゲストとしてもう1人登壇していただこうと思います。
根津陽氏(以下、根津):あらためまして、マネーフォワードの根津と申します。マネーフォワードの中でも、主にビジネスセグメントの「マネーフォワード クラウド」という法人向けのバックオフィスSaaSの領域でVP of Productを務めています。よろしくお願いします。
(会場拍手)
横道稔氏(以下、横道):根津さんには特に、回答してくださったn=1を深堀るという意味でいろいろ話をしてもらおうと思います。
久津:マネジメントも実際にされているお二方なので、具体的にどうなのかみたいなところと、横道さんは俯瞰していろんな企業さんを支援されているので、どういうパターンが多いのかみたいなところを、その視点でいろいろお話いただければと思います。
最初のテーマとしては、(スライドを示して)やはり上位陣、上位群としてこういう傾向が出ましたと。ざっくりサマリーすると、ハードスキルとかそういうことよりも、スタンスだったり姿勢とか、どういう考え方なのかとか、コミットメントとかアウトカム志向とか、そういうところが軒並み上位に来ているという結果になりました。これをまずどう読み解くかっていうところになります。

例えば、一番上の「コミットメント・責任感、やり抜く力」をピックアップしていくと、実際、「言うは易し」みたいなところがあって、実際どういうところを見てこれを判断しているのか、評価しているのかと思うんですけど、松栄さん、どうですか?
松栄友希氏(以下、松栄):はい。実際どういう感じで考えて、何を見ているかみたいなところをお話すると、前提として、機会のアサインをする時、そのスキルに十分足りているっていう状態ではなくて、パニックゾーンギリギリのアサインをしていることがほとんどです。
そうなった場合、パニックゾーンギリギリなので、アサインする側としても、やはり成果がちゃんと出るかっていう問題と、その人がちゃんと動けるか、簡単に言うと潰れてしまわないかっていうところも同時に見ることになります。
「あれどうなってる?」と聞かなくても行動できる人が第一条件
横道:その時に、「責任感が強く、やり抜く力」っていう話が今出ているんですけど、まず本人が能動的にわからないことを、「こう思うんですけど、これで合っていますか?」って私に言って来られる人でなければ、私が小まめに見にいくことになってしまうんですよね。私、先ほど10人いるって言ったんですけど、10人の中の1人を小まめに見にいくほど時間がとれないっていう前提に立っています。
なので、私が小まめに「今、あれどうなっている? これ、どうなっている?」って言わなくても、自分で必要なことをやってみて、その立てた仮説を私に当てに来る行動ができるのが、第1条件になるところがあります。
その時に、だいたいよく間違っているんですよ。そこが重要じゃなくて、もっと重要なことがあるっていうフィードバックって、何回も返します。それが1回とかではなくて、例えば10回返すこともある。だから、10回返しても前に進めない場合ももちろんある。
でも、そこに対して毎回、学んだことを前向きに捉えられる。間違っていたことをリスクと感じない、やる目的のために自分は前に進んでいるっていう考え方ができないと、やはりしんどいです。
さっき、自分の出世欲のところはあんまり重視されていないってあったんですけど、自分が偉くなりたいとかじゃなくて、ちゃんと思考として、「社会のためにこれがしたい。お客さまのためにこれがしたい。そのために自分は何回間違っていても、何回恥をかいても、気にしない」っていう人のほうが、やはり機会としてはすごく渡しやすい。
最後までやり切れるPMの特徴
横道:そういう人って、そこが目的なので、最後までやり切れるんですよね。新しい機会でやり切れないと、途中でその人が例えば、潰れてしまった場合って、そこからのリカバリーがすごく難しいんですよね。もう1回、なんだったらやり直しになってしまうので、そこも含めて、最後までがんばれることは重視して、アサインしているっていう状態です。
久津:ありがとうございます。今の話は、完全に上の3つが、連動しているかなと思います。顧客価値、顧客アウトカムでモチベーションが外にあるところで、がんばり切れるのがセットになっているっていうのが1個キーワードかなと思ったんですけど、根津さんとしてはこのへんはどうですか?
根津:私のケースをn=1としてお話させていただきます。もともと自分がプロダクトの責任者として担当していた役割を、別の立場を担うに当たって、そのポジションを後任に渡すという事例でした。
なので、意志を持って渡したというよりは、事業の組織体制の変更に伴って「渡さざるを得なかった」という側面があります。何か一定の計画を持って、「今だったらこの子ならいける」というよりは、さっきの松栄さんの話にあったように、ちょっと足りないこともわかっているんだけど、もうやるしかないという状況が前提としてありました。
ただ、その際も「今のこの子のコミットメントやマインドセットを見ていても、一定いけるよね」という前提を持って渡したのは確かです。
もちろん、壁打ちの場や、何かあった際にエスカレーションと受け取れる場など、レポートラインをちゃんと用意することで、本人の主体性を維持しつつ、周囲でカバーする体制で渡しました。なので、おおむね感覚は一緒でズレはなく、同じような形でやっていたと思います。
「コミットメントが高い」とはどういうことか?
松栄:「コミットメントって何だ?」っていうの、すごく曖昧だなと思うんですよ。「コミットメントはありますか? ありませんか?」って何も言えないじゃないですか。そこはやはり一定測っていて。
例えば、うちは今従業員が1,500名ぐらいいるんですね。そして毎月たくさん人が入って来るので、社内の人でも知らない人がたくさんいるし、知らないSlackチャンネルがいっぱいあるんですよ。
そういう時に、うちの会社では「突撃力」って言ったりするんですけど、必要なチャンネルで知らない人に「こんにちは! 初めまして!」って言って、「こういうことを今やろうと思っていて、ここについて話を聞かせてください」っていうのを20人回れる人は単純にコミットメントが高いです。
それは顧客に対しても同じですね。例えば、本当はビジネスのこの人を介さないとこの会社には連絡できないとかあります。エンタープライズとかだったら特に。だけどそういうことじゃなくて、「これがしたいから、それをさせてください。どうやったらできますか?」ってやれる人のほうがやはりコミットメントが高いです。
横道:ここだと、越境とか仕事、行動が早いみたいなところが入っていて、そういうことに関連する感じですよね。
松栄:そうですね。越境力も基本的には2つあると考えていて、1つが、一般的に言われるような他の職種をカバーできるっていう意味の越境。もう1つは、今の突撃力にほぼ近くて、他の人の領分なんだけどそこに対して「こんにちは」っていけることを考えています。
数人しかいない小さいスタートアップであれば、全社の他の職種をカバーできることのほうが大事だと思います。でも、SmartHRみたいにある程度規模が大きいと、後者の、とりあえずその専門スキルを持っている能力の高い人に声をかけて、その人を仲間にできて、その人のパフォーマンス分を自分の成果に持って来られる力のほうが圧倒的に大事です。だって、専門の人にやってもらったほうがクオリティは確実に高いので。
これを、どれだけスピード速くできるか。相手の都合もあるんですけど、相手に、「それは今忙しいのでできないです」って言われて諦めるんだったら、コミットメントが低いんですよね。それをどうやって越えるかも考えて行動できる。
その時に必要であれば私を巻き込んでもかまわない。「組織的に難しいから上から言ってくれませんか?」って私に声をかけるんだったら、それはそれで正しいと思うので、そういったことができるっていうのがやはりコミットメント。気持ちの問題というよりは、どれだけ行動ができるかがコミットメントだと思っています。