先天的な性質なのか、後天的に伸ばせるのか?
横道:このへんって、この結果の上位、他のものも含めてなんですけど、言ってしまいそうになるのが「先天的な性質なんじゃないですか?」みたいな話に捉えてしまう傾向もあるかなと思っていて。そういうところはどう思いますか?
つまり、これが伸びていったケースがあるのかとか、どう伸ばせばいいのかとか。今回根津さんをお呼びしたのは、アサインにすごく不安があった。そういうのも聞いているんですけど、成果が出たっていう顕著な例だったんですよ。
そういうことってやはりないかもなって思うところもあったけど、(成果が)出た。それは何か変化があったのか、周りの環境なのかとか、そういうのも含めてお二人に聞いてみたいと思います。
根津:先程の「突撃力」に近い話なんですけど、もともと自分がその責任者のポジションにいて、そこの役割を担っていたので、後任の方にとっては、そういった経験がない状態でした。正直「ちょっとどうなるんだろう?」と思っていた部分もあったんですが、たまたま背中を見てくれていたのかわからないんですが、いざ渡してみると、同じような動きをしてくれたというのがあります。
さっきのコミットメントという観点で、どのSlackチャンネルにもやたら出現する人っているじゃないですか。「この人、このチャンネルにいないし、メンションもしていないんだけど、やたらSlackに『横からすみません』って入ってくる」みたいな。
あれはさきほどの突撃力もそうだし、情報感度の高さもあると思っています。私が担当していたのは、主にバックオフィス系の会計というコア領域だったので、他プロダクトに対する連携が多く、周囲で話されている情報が実は自分に巡り巡って大きく関連する話っていうのは多かったと思います。
そういった情報を自分がキャッチをして、都度チーム内のミーティングなどで「このチャンネルでこういう話があって...」とよく共有していたんですけど、同じような動きを取ってくれたっていうのがありました。
たまたま、ふだんの自分とのコミュニケーションでよく同期できていたことでうまく渡せたというか乗り切ってくれたという感じはあります。
もともとの「タフさ」はそれほど関係ない
松栄:さっき言ってくれていた、「もともとの性質じゃん」っていうのは、私はあんまりそう思っていないです。人に話しかけるのが苦手なタイプとかはもちろんあるし、へこみやすいとかももちろんあるんですけど、結果として見えているものは行動だけなんですよね。それをやったか、やらないか。
その一つひとつはスキルだったりするんですよ。どういう話しかけ方をすれば相手が受けとりやすいのかとか、誰から話しかければ受けとりやすいのかって、前提の知識を知っている上でのコミュニケーションだからスムーズにいくとかもあります。
一方で、例えば私とか、打ち合わせの時に久津さんも言っていたんですけど、そんなにメンタルが強いほうじゃないんですよ。
レジリエンスみたいな話も出てきて、もともとのタフさってそんなに関係ないなと思っています。結局、そういうことを自分で無理してやった時、ストレスが溜まります。そのストレスの解消法を自分が知っているだけなんですよ。
私だったら、すごく甘いものを食べたくなる頻度が高くなったら、「あっ、たぶん私は今、ストレスを感じている」を自分で把握できるとか、「じゃあ、そうなった時にどうやったら並行してストレスを解消できるか?」っていうすべを自分と向き合って知っている。
私の場合は、漫画とか小説とかそういうので、今のこの世界じゃないところに1回思考を飛ばすとすっきりするとかもあるんですよね。
仕事で成果を出すために自分がどうやったらそれができるかっていう、自分をうまく扱う工夫と、その仕事をやる時のスキルがあれば、アクションはやはり返ってきます。自分のもともとの性格がこうだからこれができないんだって思うのは、ちょっともったいないとは思っています。
自分の特性や環境要因を理解するのが大事
横道:ここが僕もすごく一家言(いっかげん)があって、行動遺伝学だと、今かなりこういうのって解き明かされていて、遺伝率と環境要因率っていうのを、遺伝率を出して、遺伝要因と環境要因っていうのを分けるんですね。
こういうリーダーシップに関わるものって遺伝率が異常に高いものってあんまりないんですよ。でも、逆にまったく関係ないものもあんまりないんですよ。
なので、自分が遺伝的に持っている特性とか幼少期の環境要因みたいなものがどういうものなのかを理解して、後からの環境に対処できるっていうのが基本的な考え方になるんですよね。
ちょっと自分の話ですみません。今レジリエンスの話をしてくださいましたけど、コミットメントの話も、事前ミーティングで話していて、責任感があるみたいに見える人って、実はポジティブなものじゃないこともすごく多いなと思うんですよね。
例えば、僕とかもそうで、「責任感がある」ってずっと言われ続けてきたんですけど、何が根源だったかというと、日本人らしいですけど「迷惑をかけたくない」だったんですよ。
でも結果的に責任感があるって見て、やり遂げているんだったら、それもそれで1つの方法だと思うんですね。
ただ、それだと持続性がなかったりもするので、これ、(スライドを示して)映しているのは、外発的動機なのか内発的動機なのかっていう軸と、それが自己批判的なのか自己肯定的なのかっていう話で、いろんなコミットメントのドライバーが変わるなと思っていて、それをプロットして……というのです。
PMは言葉を曖昧に使ってはいけない
横道:もう1つこの領域で、さっきの冒頭の話とも重なるのが、その向き先が自分に向くのか外に向くのかみたいなものも非常に大きな分岐で、それが赤と青で書いてあります。
なので、どの軸であってもコミットメントは発揮できるし、ただそれが自己向きになると多くのケースで任されないし失敗するというケースが多いので、この赤を青に変えるだけで、大きな特性、この軸自体が大きく変わる必要もないなっていうのは思ったりしますね。
松栄:思考力のところも、なんとなく「もともと地頭がいい」みたいに言ってしまいがちだけど、そうじゃないとはすごく思っています。
例えば私がSmartHRに入って、すごく学んだこと。うちのCPOの安達(隆)が、すごく優れているところなんですけど、言葉を曖昧に使わないことです。
「あなたが指しているこの言葉はこういう意味ですよね? こういう意味を言うならAっていう言葉じゃなくてBっていう言葉を使うほうが適切ですよね」っていうのを直す人なんですよ。何かの説明の時に、「前提としてこういう条件があった上での話を今していますよね」を確認するんですよね。
それはなんでかっていうと、多くの人を巻き込むPMっていう職種の中で、ちょっとの認識のずれが後になったら大きくなる。だから、本当に言葉を厳密な意味で使うとか、中途半端な意味の幅がある状態で使わないっていうのは、それって思考力なんですよ。
「この時、的確な表現って何か?」って、思考力で、ただそれって訓練なんですよね。私もSmartHRに入って、安達に言われるので(笑)、それを訓練した。そうすると、例えばドキュメントがわかりやすいとか、ドキュメントを読んだだけでわかりますっていうふうになっていく。
思考力を構成しているものが、もともと頭がいいみたいに思ってしまう必要はないかなと思っていますね。