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100億達成は、管理職で9割決まる ~「宣言」を「達成」に変える、管理職育成のポイントを解説~(全4記事)

メンバーを育成できる上司が指示出し前に部下にかける一言 忙しい管理職でも育成を回せる現場の仕組み

【3行要約】
・管理職の育成力不足は多くの企業で深刻化しており、部下が育たず現場が疲弊する「負のループ」が問題となっています。
・プレイヤー業務に追われる管理職が増える中、人事と現場の対立構造も生まれ、根本的な解決策が求められています。
・PDCAの学校代表の浅井隆志氏は、評価制度に「育成」の項目を組み込み、短時間の定期面談や権限委譲の線引きを明確化することで、この悪循環を断ち切れると解説しています。

前回の記事はこちら

「優秀な人材をください」と言う管理職、「現場で育てて」と返す人事

浅井隆志氏:今日は管理職の育成について、どちらかというと大きなくくりの話をしましたが、もう少し踏み込んだ事例もご紹介します。

製造業の企業さまで、管理職がプレイヤー業務で手いっぱいになり、部下の育成まで手が回らないという状況がありました。現場が疲弊していて、「育成どころではない」という状態です。

ご相談をいただいて分析すると、部下が育たないから管理職がプレイヤー業務をやらざるを得ず、そうすると管理職はさらに忙しくなり、忙しいから育成ができないという、まさに負のループでした。

その結果、人事と管理職が対立する状況にもなっていました。「優秀な人材をください」と現場は言い、人事は「優秀な人材は簡単には来ません。現場で育ててください」と返す。こうした構図です。

結局、いろんな業務に追われ、重要業務である育成が後回しになる。「時間ができたらやろう」となり、いつまで経っても状況が変わらないのです。

メンバーを育成できる上司が指示出し前に部下にかける一言

そこで取り入れたのが、管理職教育です。

現場で育成を行うことを徹底しました。もともと現場では「これをして」「あれをして」と指示出しが中心でした。指示自体は悪くありませんが、指示を出す前に必ず一言、「君ならどう思う?」と問いかけることを文化として取り入れました。

基本は3分、内容によっては5分ほど考えさせます。答えが出ない場合は、その後に指示を出します。延々と考えさせるのではなく、一定時間考えさせる。まずはそこから始めました。

それから面談です。「面談をやっていますか」と聞くと、「半期に1度、1時間半とか2時間半やっています」という企業もあります。しかし、半年前のことを振り返りながら面談ができるかというと、正直忘れています。私はこれはあまり意味がないと思っています。

それよりも、週に1回、5分から10分でいい。長くても10分でいいので、週に1回、1対1で面談をしてください。短時間でも定期的に行う。細かく指示を出し、細かく相談を受ける。この積み重ねを現場で実施しました。

さらに、評価制度も見直しました。管理職の評価に「育成」を組み込んだのです。これまでは業績だけの評価でしたが、個人の成果と全体の成果という2軸に変更しました。

部下がどれだけ育っているか、部下の進捗度が管理職の評価に直結する仕組みにしました。そうすると管理職は、「育成をしないと自分が評価されない」と意識するようになります。評価制度として組み込むことで、育成を行動に落とし込ませました。結果として、非常に成果が出た事例です。

「ここまでは自分で考えなさい」と線引きを明確にする

もう1つ事例をご紹介します。50億円を超える規模の企業さまで、いわゆる指示待ちの状況に陥っていました。

この企業では、管理職の方が非常に丁寧で、私の言葉で言うととても真面目な方が多かったのです。教えること自体はもちろん大切です。ただ、結果として部下が指示待ち状態になっていました。

ここで誤解してほしくないのは、「教えることが悪い」という話ではないということです。企業のフェーズによって、どこに向かっているのかによって、丁寧に指導すべき時もあれば、自主性を促し、考えさせるべき時もあります。

「教えるべきだ」というのは半分正しく、半分誤りです。「考えさせるべきだ」というのも半分正しく、半分誤りです。フェーズによって変わります。

この企業では、やや口を出し過ぎる傾向がありました。そこで、「ここまでは自分で考えなさい」という線引きを明確にしました。

「ここまでは聞きに来ないでください。必ず自分で判断してください。ただし、報連相はしてください」というかたちです。

小さな権限委譲を現場で実践したわけです。結果として、これも非常に良い成果につながりました。線引きを明確にしたことが大きかったのです。

新任の管理職が「降りる」と言いづらく“退職という選択”に

3つ目にいきます。次世代リーダーが育たないというケースです。かなりの規模で、利益率も良い企業さまなので十分ではないかと思っていましたが、会社として100億円を目指す中で「管理職になりたくない」という方が非常に多かったのです。これはなかなか根深い問題があります。

管理職になりたくない問題は、この企業だけでなく、サービス業の企業にも多く見られます。余談ですが、以前、携帯電話の販売を15店舗ほど展開する企業で「店長になりたくない」という声が多くありました。店長はとにかく忙しく、給料が少し上がるだけではあの苦労はしたくないというのです(笑)。だから「管理職になりたくない」と。

また、みなさんが知っているような大手IT企業でも、若手から「現状でいいです」「管理職になって責任を負いたくないです」という声が出ています。これはけっこう多い悩みです。

根本的な原因の1つは、管理職が大変そうに見えることです。現場で管理職が「大変だ」と口にしてしまっている可能性もあります。この意識から変えていく必要があります。

こうした企業に対しては、いきなり管理職に昇格させるのではなく、管理職の練習をさせるほうがいいと考えました。いきなり任せて大変になり、「やっぱり辞めたい」となっても、役職をすぐに降りるとは言いづらい。結果として会社を辞める選択になってしまうこともあります。

そこで、「役職を降りるのは恥ではない」という文化をつくったうえで、管理職のプレ制度のようなかたちを取り入れました。試しに経験させ、合わなければ戻れるという仕組みです。この企業には非常にマッチした取り組みでした。

制度設計によっても意識や取り組みやすさは変わります。役職は一度上げたら降ろせないという固定観念がありますが、柔軟に考えていただきたい。役職を下げるとモチベーションが下がるのではないか、給与が下がると問題があるのではないか、という考え方もあります。

だからこそ、「この役職はいくら、下がればこの水準になる。これはルールとして当然のことだ」と最初から明確に説明しておくことが重要です。そうしないと、能力が伴わない人が上に居座り続けることになります。

逆に、若手でも抜てきされる可能性があり、適性がなければ下がることもあるという緊張感は、私はあったほうがいいと考えています。すべての企業に当てはまるとは限りませんが、一定の健全な緊張感は必要です。

育成を評価に入れると管理職が動き出す

最後に、人を育てる意識がほとんどない企業の事例です。

管理職自身が教育を受けた経験がなく、「仕事は自分で考えて覚えるものだ」「痛い思いをして身につけるものだ」という文化が根付いていました。

そこで、先ほどと同様に、育成を評価制度に組み込みました。業績が100パーセント達成しても、評価は70点まで。残りの30点は育成スコア。育成しなければ満点は取れないという仕組みに変更しました。

制度設計の際には、管理職も巻き込みながら一緒につくったことがポイントです。不満が出ないように、当事者として関わってもらいました。

その結果、「教える」という行為の重要性が浸透しました。この企業では、シニア社員や引退後の嘱託の方が持つ技術が重要でしたが、「自分で覚えろ」という文化がありました。そこを評価制度に組み込み、技能伝承を評価対象にしたことで、技術の継承が進みました。

100億円達成企業を目指すうえで、まず管理職が動けない理由の1つは、役割が明確になっていないことです。

だからこそ、社長や役員が日常的に管理職に対して役割を伝えることが重要です。あるいは職務規程のようなかたちで明確に言語化することも有効です。

また、管理職の仕事はプレイヤーとは別次元ですから、知識やスキルの強化が必要です。社内でできるなら社内で、難しければ外部も活用して、教育は行うべきです。

さらに、マインドの問題があります。「忙しい」「現場が回らない」という理由でプレイヤー業務に戻ってしまうのは、会社の方針や理念に対する重要度が十分に高まっていないからです。そこは対話を通じて伝えていくことが重要だと考えています。

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