【3行要約】 ・多くの企業で階層的なリーダーシップによる組織運営の弊害が表面化し、全員参加型の新しい組織づくりが課題となっています。
・オルフェウス・プロセスは、共通目的・協同意志・意思疎通の3要素を軸に、状況に応じて全員がリーダー経験を積む仕組みです。
・株式会社O:(以下、オー)の三島氏は、組織は従来の固定的役割から脱却し、ファシリテーターなど5つの流動的役割で自律型組織への変革することを提言しています。
前回の記事はこちら バーナードの3要素から読み解く組織運営の基本
三島拓人氏:でも、「この説明だけ聞いても、みんなができるわけではないじゃん」っていう話になりますので、そこをもう少し掘り下げていこうと思います。
その前に「バーナードの3要素」という理論が出てくるんですけども、組織がワークするためには3つの要素が必要であるという理論です。

2人以上であれば組織なんですけども、2人以上人がいる時に、(スライドを示して)まずは「一緒にやりましょう」っていう共通の目的がないとその組織はワークしない。2つめに協同意志。お互いにその共通目的を達成しようという意志がないと、そもそもうまくいかないっていうところでございます。
最後に意思の疎通、対話ですね。情報の交換をしないと、どこかで失敗します。この3つがうまく回っているのが、組織の基本原則になります。非常にシンプルなんですけども、ありとあらゆる組織にそのまま使えるものです。オルフェウス・プロセスはもともと楽団なので、共通目的は「いい演奏をする」「演奏会を成功させる」っていうところがあるんですけども。
リーダーの役割とメンバーの役割を分ける
このオルフェウス・プロセスでは、リーダーとメンバーで重要視するポイントが異なります。リーダーが組織の共通目的と協同意志をどういうふうに醸成していくかっていう話と、メンバーが協同意志を保ちつつ、どうやって意思疎通をして合意形成をしていくかが、一種のルールになっているような感じです。
これはもう普通の組織では当たり前じゃんっていう話なんですけども。一番違うのは、普通の組織ってリーダーがすべてのメンバーと意思疎通をしないといけないと思うんですね。ここで少し冷静に考えてみましょう。メンバーが26人いるとして、自分がリーダーで、(ほかの)25人と均等に意思疎通ってできますかね? やっぱり時間的に難しかったり、しゃべるだけで1日終わってしまいます。
というのは、この役割において協同意志。これに関して「一緒にやろう」「よろしいか」っていう話をして、その時にメンバーで「よし、これだったらやっていける」ってことを話しあうことが一種のルールになります。
実は本を読むと「そういう組織を作っていく必要があるよね」という考え方や作り方がちゃんと書いてあるんですけども、今日はその説明までする時間がなさそうなので、リーダーの役割とメンバーの役割を大きく2つに分けることを覚えていただければと思います。共通するのが協同意志。協力しあうということに関して、これはもう絶対に外せません。
従来型とオルフェウス型リーダーシップの決定的な違い
(スライドを示して)こちらが、これまでのリーダーシップとオルフェウス型のリーダーシップの違いになります。オルフェウス型リーダーシップでは、リーダーとは状況に応じて交代しながら組織を支える役割であって、全員が経験すべき学習機会と捉えます。個を組織の核にしないことが、持続性を高めるカギとなっております。

定期的に交代して全員がリーダーになるというのが前提なので、リーダー経験者しかいないんですね。だからリーダーの苦労を知っているので、みんなリーダーに協力して動くことがポイントになっています。
ほとんどの会社って、やっぱり課長は課長の仕事をするんですけども、一方で、オルフェウス・プロセスでは基本的には課長の仕事を細分化していきます。
課長は何をしなきゃいけないのかっていうのを分けて、「じゃあ、今日は課長のファシリテーターとしての役割をAさんがやってください」「Bさんは外部との交渉のリーダーをやってください」みたいなかたちで課長の役割を分担して、一人ひとりがリーダーの役割を1つずつ担い、それに対してメンバー全員が協力していく。
けっこうめんどくさいんですけども、これが回り始めていくとめちゃくちゃ強い組織になるという考え方ですね。いわゆる学習型組織。何か勉強していってレベルを上げていきたいとか、中小企業とか、クリエイティブな組織はオルフェウス型リーダーシップが非常にマッチしていると思います。
組織全体が学習して、リーダー経験を通じて成長していくかたちですので、時間の経過と共に組織が強くなっていくのが一番の強みで、今の時代に向いているかなと思います。
固定リーダーから全員リーダーへの転換
そのリーダーの役割があるんですけども、例えば、会社の社長がいろいろやろうと発信した時に、調整役としてプロジェクトリーダーをやって、若い人のメンターもやって、外部とのコーディネーターもやって。しかも、誰かが何かをやりたいって言ったらフォロワーもやらなきゃいけないわけなんですね。

これを本当に1人でやるとその組織って詰んでしまうんですけども、このオルフェウス・プロセスは楽団なので、それをやられると困っちゃうっていう話です。リーダーがやるべきこと、今回はわかりやすいように5つしか書いてないんですけども、それを全部バラバラにしていって、全員にリーダーをやらせます。
内容をまとめたり意思決定する人とタスクを進行する人を別々にするんですけども、そこに関しては、リーダーが権限を持っているかたちですね。このファシリテーターとかプロジェクトリーダー、コーディネーターみたいに、リーダーシップを順繰りに回すようなかたちで一通りやっていくと、全部できるようになるというお話になってます。
オルフェウス・プロセスを運用するための5つの役割
次に、オルフェウス・プロセスを現場で運用するための具体的な5つの役割を深掘りしていきたいなと思います。このモデルではリーダーシップを固定の特権ではなく、状況に応じて誰もが担う役割と定義します。それがこの5つになります。

1つめが役割を決めるだけではなくて、対話を促し意思決定をサポートする議論の伴奏者のファシリテーター。2つめが、命じるのではなくて専門知識を活かして実務を導く、現場のナビゲーターになるプロジェクトリーダー。3つめが管理をするのではなくて、次世代リーダーを育てて知識を循環させる継承のプロデューサー、メンター。
4つめに、情報を独占するのではなく外部と透明な情報共有で連携し、調整を行う信頼の橋渡し役というコーディネーター。そして5つめが、漠然と従うのではなくて、リーダーの補佐をしながら全体を高めるという、自律的な参謀のフォロワー。
特にこの組織の持続性とか人材育成、変革活動を戦略の中心に置いている企業にとっては、このリーダーの流動性が強力な武器になります。
ここで重要なのは、5つの名称に固執するのではなくて、自社の状況に合わせて必要な役割が適切に機能して循環する仕組みを作ることです。それが自律型組織を成功させる真のポイントになります。
組織マネジメントにおけるハードとソフト
ここで、組織マネジメント概論というものがあります。こちらは組織マネジメントの全体像を構造的に理解・整理したものになります。基本的に組織とは、外部環境の変化に適応して、経営戦略と組織作りを融合させてビジネスモデルを作って儲ける仕組みになります。

組織にはハードとソフトがあって、構造化する部分のハードと運用の部分のソフトがあります。
ハードというものが、組織構造だとか人事評価だとか評価機能。これが組織文化となり、業務(効率)を底上げする効果になって、これがうまく機能していくとバフがかかって生産性が上がるという仕組みですね。
ソフトのほうは、マネジメントで(業務の)再現性とリーダーシップで適応性を高めることで、知識、技術、経験(値)を高めていく。これは組織の中で減らない財産ということで、企業の競争力は人材であるというのがソフトの考え方になります。
オルフェウス・プロセスはここ(人材)を持続的に成長させるためのメソッドになるので、担当者の世界観次第っていうところが正直あります。人事や上司が優秀であれば成立しますが、能力がないと成立しないところがあるんですけども、オルフェウス・プロセスの場合は、能力がまったくない限りであればなんとかなるというのがベースになりますので、その強みをうまく活用していきましょうというお話になります。