【3行要約】
・コーチングは組織に効果的と言われるが、実践では頓挫するケースも多く「なぜ効くのか」の本質的理解が不足しているのが現状です。
・株式会社コーチェット代表の櫻本真理氏は組織の「心理的リソース」という概念に着目し、これが有限の資源であることを指摘しています。
・櫻本氏は、組織のリーダーは「心理的リソース」を成果につながる活動に配分できるようにコーチングを活用し、チームの生産性向上に役立てようと提言します。
「コーチングが組織に効く理由」を正しく理解する
櫻本真理氏:櫻本です。今回は「コーチングはなぜ組織に効くのか」というテーマで、30分ほどお話をさせていただきます。

「コーチングが『心理的リソース』を最大化させ、チームの成果を生み出すメカニズム」について、考えていきます。コーチングを組織導入するとよいと言われて、気になっている方も多いかと思います。じゃあ、なぜそれが本当に組織に効くのか、(あるいは)それが効かないのはどんな時なのかを見ていければと思っております。
まずは簡単に自己紹介をさせてください。株式会社コーチェットという会社を経営しております、櫻本と申します。私自身はもともとメンタルヘルスケアのバックグラウンドから、健やかな組織を作るためにはリーダー育成がとても大切なことだと考えて、2020年にコーチェットを設立しました。

(スライドを示して)コーチェットはどんな会社かというと、こんなサービスを提供しています。「リーダーが変われば、チームが変わる」ということで、チームの「なぜかうまくいかない」ということをマインド・スキルの変化で乗り越える、マンツーマンのコーチングプログラムです。

イメージとしてはリーダー向けのライザップのようなものです。リーダーがプレイヤーとしてではなく、チームとして成果を出すことができるようなマンツーマンのコーチングプログラムを提供しております。
これまでに、変化の大きい環境に置かれたたくさんの企業の経営者・リーダーの、成長・変化をサポートさせていただいております。特徴としてはスキルだけではなく、マインド面での変化を促していくところにあります。
このプログラムを提供する中で私たちがやってきたことの1つとして、「コーチングの組織導入」というものがあります。
コーチング研修が頓挫するよくある理由
コーチングの組織導入には多くの方が関心を持つ一方で、なかなかうまくいかなくて途中で頓挫してしまうこともあるんですね。「研修をやって終わってしまった」とか、「結局は現場で実践されない」ということが起こります。
そもそもコーチングに関心が持たれ始めたのはもう数十年も前からです。エビデンスとしても、たくさんの文献で「チームの成果に大きな貢献をする」と言われているわけですけれども、日本の組織の中ではそこまで広がってこなかったのです。
それが10年ほど前に、リーダーシップにおけるコーチング力の重要性が改めて注目されるようになりました。Googleの「プロジェクト・オキシジェン」で「最高のマネージャーとなるための8つの習慣」の一番大事な習慣が「よいコーチであれ」ということであると言われてから、1on1のブームとともに再度注目が集まってきた経緯があります。

(スライドを示して)実際に、新任管理職研修に取り入れたい内容の1位は「コーチング」だったという調査もあって、たくさんの企業の方が検討されてきたことかと思います。
コーチングが現場でうまくいかないのはなぜか
ただですね、コーチング研修をやってみた、コーチング的な文化を作ろうとしてみた。でも「うまくいかない」という声をたくさん聞くことも事実です。
マネージャーの立場からは実践されない。「コーチングなんて忙しくてやってられませんよ」「そんな面倒くさいコミュニケーションをやってられません」というふうに言われてしまったり。
現場メンバーとしても、中途半端なコーチングスキルを実行されて「自分で考えて」とかって言われて「とにかく苦痛でしかありません」「コーチングなんかじゃなくて教えてほしいんですけど」というような声を聞くこともあります。
人事の方も効果測定がなかなかうまくいかずに、意味があったのかどうなのかで悩まれるケースも多くあります。

では、ここでいったん立ち止まって考えてみてください。そもそも組織においてコーチングを導入すると、なぜ成果につながると言われているのでしょうか?