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コーチングはなぜ「組織に効く」のか。コーチングが「心理的リソース」を最大化させ、チームの成果を生み出すメカニズムとは(全3記事)

“主体的に動けない部下”はなぜ手を止めてしまうのか チームの成果を左右する、心理的リソースのマネジメント [2/2]

コーチングに関する“生産性を犠牲にする”という誤解

よくある勘違いがこういうものです。「コーチングは優しいコミュニケーションだから、メンタル不調とかを止められるんじゃない?」とか「ハラスメントを止められるんじゃない?」とか。「いろいろな質問をするから、気づきを促す技法として役に立っているんじゃない?」とか「人を尊重する関わりなんじゃない?」。

こうした勘違いのすべてが、生産性とコーチングがトレードオフかのように見えている原因になっていると思われます。

このような優しいコミュニケーションや、丁寧に気づきを促したり、尊重をしたりすることで、そもそもリーダーがしんどくなってしまったりとか、成果が出ないような組織になっていっているんじゃないか。そういう声も聞こえてくる。実際に間違った導入の仕方をすると、こういう感じになってしまうんですね。

ですから、なぜコーチングが組織に効くのかを正しく理解した上で、人事の方はもちろんですけれども、実践する現場のリーダーも「何のためにこの技法を使ってるんだっけ」と考えていく必要があります。

教えてしまえば早いのに、傾聴とか承認とか質問とか、なぜそんな面倒くさいことをやっているのかというメカニズムを理解できなければ、それは表面的なスキルを振りかざしているだけになってしまうわけです。

「心理的リソース」という観点から見るコーチングの意義

(スライドを示して)そこで、今日お話しをしていきたい中心的な部分はこちらの内容です。「組織においてコーチングを導入する本質的な意義とは何なのか」ということ。これに対する答えは「組織の『心理的リソース』の消耗を防ぎ、成果を出すために最大限活用する」。このためにコーチングが役に立つからであると申し上げます。

この「心理的リソース」という言葉、ほとんどの方々が初めて聞く言葉だと思います。「心理的安全性」とか「心理的資本」などはご存知の方もいらっしゃると思いますけども、それとはまったく違う概念です。

ここで、もう一度考えていただきたいと思います。チームは決して「楽をしている」わけではない。みんなそれぞれがんばっているんですよね。でも、なかなか成果につながらないんです。こういうリーダーからの相談、人事の方からの相談をたくさんいただきますが、こんな時に何が起こっていると思われますか?

なぜチームはがんばっているのに成果が出ないのか。それはもしかしたら、チームの中で「見えない資源の無駄遣い」が起こっているかもしれない、という視点があります。

チームマネジメントに欠かせない「見えない資源」

「チームマネジメントの仕事とはそもそも何か」と考えてみましょう。その答えの1つは限られた資源、つまりリソースを最大限活用してチームの成果につなげること、アウトカム(成果)を生み出すことがチームマネジメントの仕事と言えます。

この限られた資源とは、まずはお金ですね。限られた予算をどう配分するのかという話もあるでしょう。それからその予算を使って獲得している工数やスキルを、どんなふうに役割分担をして、タスクを配分して、最大限の成果につなげるか。それから材料や資材を使うところもあるでしょう。あるいは情報が大切な資源であるチームもあるかと思います。

限られた資源を最大限活用してチームの成果を生み出す。この仕事の中で、実はほとんどのチームで軽視されているもう1つの資源があります。これが「心理的リソース」です。

心理的リソースとは、人が思考・判断・衝動を制御するために必要な「心のエネルギー」と言い換えるのが一番イメージしやすいかなと思います。「めんどくさいけど、やるぞ」と主体的に動くためには、この心のエネルギーが必要になります。そして、この心のエネルギーが枯渇していると、例えば工数やスキルが十分にあっても成果につながらないことがあります。

そして情報があってもうまく使えない。材料・資材を無駄遣いをしてしまうことがあるかもしれない。そして無駄遣いをしてしまえばお金がかかってくる。そういうかたちで、ほかのあらゆる資源の無駄遣いにつながってしまう可能性があるんですね。

心のエネルギーは限りある資源と考える

この心のエネルギー、みなさん考えたことがあると思うんですね。「今、ちょっと心の余裕がないんだよね」とか「今は精神的に消耗しているんだよね」。

こうした表現をされるということは、心理的リソースが限られた資源であることを、無意識のうちに知っていると言えるわけです。

ただ、実際には組織において心のエネルギーって、あたかも無限に出てくるべきものかのように扱われていることが多いです。

例えばちょっと元気がない人がいれば「あいつはやる気がないんだ」という表現をしたりしますね。「やる気がないんだ」というのは、あたかもやる気を意志の力で無限に出てくるものかのように扱っていることでもあります。

でも、心理的リソースはあくまで有限の資源なんですね。使えばなくなるし、しっかりと休めば回復していく。そして、増やすような取り組みをすることもできる。これは積極的にマネジメントすべきチームの資源である、ということの自覚が足りないチームが多いように思います。

例えば、資料修正というタスク1つを取っても何か間違いが起こっていた時に「なんであいつはこの間違いに気づいて修正しないんだ。やる気がない」とか「スキルがない。能力がない」と言われたりします。

でも実際には「課題に気づく」。資料の内容と顧客ニーズの不一致を認識したり、その課題自体が重要なものかを判断する。そして「解決策を考える」。どのように修正すべきかを検討したり、必要な時間や労力を見積もって、できるかできないか、自分がやるべきか(を考える)。

そして「行動の判断をする」。自分がやるべきなのか、ほかの人がやるべきなのか。そしてやったことによるリスクと、生み出される価値のバランスを考える。

そういうことに心理的リソースを費やして、それらをすべて乗り越えてなお「面倒くさいけど、やる価値がある。よし、やろうか」という心理的リソースが残っていれば、実行に移すことができるわけですね。

やる気がないのではなく心理的リソース枯渇の問題

でも「やる気がない」というケースでよくあるのは、この最初のステップのほうで、もう心理的リソースが枯渇してしまっているわけですね。実行に至るまでに残っている心理的リソースが十分ではない。

そうした時に人は「やらなきゃいけないとは思っているけど、やれない」。つまり、主体的に動けない。課題に気づいているのに動けないということが起こるわけです。

チームの中で何に心理的リソースを使っているのか次第で、成果の生まれ方は大きく変わってきます。イメージしていただきたいんですけれども、例えばある課題を解決すべきかどうかというシチュエーションの場合。

「これ、上司に相談すべきかな、勝手にやったら怒られるかな。なんだかちょっと機嫌が悪そうだなあ」……こういうステップで心理的リソースを消費してしまうチームは、成果が出ないことは想像に難くないですね。

一方で「顧客改善のために何ができるかな?」「困っているメンバーがいるからどうサポートしようかな?」。こうした価値が生まれることに心理的リソースを配分できているチームは成果が出るはずです。

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