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クラシコム青木耕平 × freee川西康之「“健やかさ” と “急成長” 異なる山を登る2人の対話」『freee 成長しまくる組織のつくりかた』刊行記念イベント(全6記事)

クラシコム・青木耕平氏が語る「仲直り」の経営哲学 スケールが求められる資本市場との向き合い方 [1/2]

【3行要約】
・青木耕平氏はフルリモートで働ける環境を整備することで、優秀な人材を活用する組織づくりを実践してきました。
・多様なステークホルダーとの信頼関係構築のカギは「上場しても自律性を保つ株式構成」と「透明な株主還元方針」だと語ります。
・明確な株主還元アルゴリズムを設定し、低いバリュエーションから着実な成長で株価を倍増させる経営手法で、新たな企業価値創造を実現しています。

前回の記事はこちら

フルリモートだからこそマネージャーを続けられる人がいる

川西康之氏(以下、川西):ちょっとお話が戻るんですけど、女性の管理職の割合が非常に高い、女性社員の割合自体がそもそも高いという話がありましたけど、経営の言い訳にしたくないワードの1つとして、ダイバーシティ、多様性みたいなお話がありまして。

freee社は、残念ながら女性管理職ってまだまだ割合も低いですし、それを大きい課題として捉えているんですけど、多様性みたいなものって経営上どのような位置付けと言いますか、認識をしていらっしゃるのか。

むしろそんなに意識していなくて、スタート地点から妹さまの状況もあって、自然とやってきたんだよねみたいな話なのか。どういう認識でいらっしゃるんですか?

青木耕平氏(以下、青木):そうですね。多様性っていう考え方はなかったんですけど、女性のビジネスパーソンっていうのが、我々にとってはすごくブルーオーシャンだったんですよね。

川西:それはたぶん社会的には今もそうだと思います。

青木:20年ぐらい前とかだと、まず産休からいい感じで復帰できるような状況じゃなかったりして。「えっ、なんでこんな人が就職に困っているの?」みたいな。

川西:めちゃくちゃ優秀な方が(笑)?

青木:「産休に入っていただけのことですよね?」みたいな人がもうゴロゴロいたんですよ。今でもけっこういらっしゃると思います。

川西:今もいっぱいいますよ。

青木:僕らの会社って、今ほぼフルリモートなんですね。だから逆に言うと、産休に2回入ってもマネージャーを続けられるんですよ。

ところが、フルリモートじゃなかったら「マネージャーを続けられません」ってほぼみんながたぶん言ってきただろうなという感じがあって。

「制約はあるがすばらしい人材」の戦力化のほうがやりやすかった

青木:僕らの場合は大きな責任を担うための効率の良い道具を与えられやすい業態だったっていうこともあって。

そういう意味では、どちらかというと一生懸命男性を採用しようとするよりは、僕らに入ってくださっている女性の社員……。女性と一括りにしてもいろいろなニーズとかがありますけど、特にご家族の事情とかご自身の事情で、働く時間とか移動できる距離とかに制約があるだけで、基本的にはやる気も能力もすばらしいみたいな人材を活かせる環境を作れている会社が、意外となかったので。

我々のような弱者で始めている事業としては、そういう方たちをきちんと戦力化していくことにフォーカスするほうがやりやすかったですし、その第1号として、妹が活躍できる場を作るっていうことで、準備が最初からけっこうできていたこともあって、積極的に採用した結果として(そのような状態になっている)。

なんですけど、8対2ぐらいの割合なので。6:4ぐらいまでになると男性が来るようになると思うんですけど、ぜんぜん男性が応募してこないんですよ。驚くぐらい割合が少ない。

川西:それはなんでなんですか? 不思議ですね。

青木:いやぁ、なんでなんですかね? うーん、男性に人気ないんじゃないかな。

(会場笑)

川西:なるほど(笑)。

青木:はい、そういう感じですね。

スケールが求められる「上場」にわざわざ踏み込んだ理由

川西:弱者の戦略というか、そういうものを徹底してこられて、ビジネスもずっと黒字で、人材採用もうまくいっているという中で、もう聞かれ過ぎているかもしれないですけど、みんなうまくいっている中でなぜ上場されたのかは、やはり今日聞きたいなと思っていて。

青木:なるほど。

川西:要は、わざわざあまり親和性の高くないルールがはびこっている世界に飛び込んでいかなくても……。資本市場のルールの半分外でまわっているとしたら、わざわざよりスケールが宿命づけられるところ、フィールドに行かなくてもいいんじゃないのかというのは、直感的に感じているところなので不思議なんですけど。

青木:ありがとうございます。大きく2つの理由かなと思います。まず第1の理由としては、未上場の会社をやっていると、イグジットという言葉があるじゃないですか。

川西:うん。ありますね。

青木:例えばIPOとかM&Aとかが、一般的にイグジットの選択肢って言われますけど。承継とか、倒産とか、清算も全部イグジットですよね。

川西:そうですね(笑)。

青木:そう考えると、実は「イグジットするか? しないか?」じゃなくて「どのイグジットが自分たちにとってハッピーなのか? 健やかなのか?」ということを選択することになります。そうすると、仮に「IPOしないとすればじゃあM&Aするのか?」というと、僕は当分はやりたいので。でも、M&Aしたら僕は絶対にやる気がなくなっちゃうから。

川西:わかる(笑)。

青木:だからM&Aではないと。「じゃあ承継にするか?」というと、僕には今大学生になる息子がいるんですけど、上場の準備を始めたのが2017年で、彼は当時小学生か中学生だったんですよ。そうした時に「いや、コイツが継ぐということしか選択肢がない状態で会社を作るって、ありえないよね」と。そう考えると承継は消すしかない。そうなった時に選べるのが、後は倒産、清算、IPOだったんです。

「(その3つの中だとしたら)IPOしかないよね」というのと、経営を引き継ぐことを考えても、例えばプライベートの会社の経営を誰かに頼むとしても、やはり頼まれるほうもあまりうれしくないというか。

川西:まぁ難易度が一気に(上がりますよね)。

青木:そうですよね。公開会社のほうが「やりたい!」という人がけっこう多いですよね。

川西:はい。

青木:だからそういう意味でも「扶養親族じゃない人間が経営を引き継げる可能性を作る上でも、選択肢は1択だな」みたいな。

川西:へー。ゴーイングコンサーンであるために、ゴーイングコンサーンが求められるところのルール、プロトコルにいったん乗りますよというノリですよね。

青木:そうですね。

利害が異なる人たちを1つの輪に閉じられたほうが、作品としてかっこいい

青木:ただ、実は僕らって、流動株式が33パーセントしかないんです。

川西:そうなんですね。

青木:66パーセントをまだ創業者が持っているので。というのは、IPOする前に1回も資金調達をしていない中でやっているので、株主が3人という状態で上がったんですよ。

川西:それでもよく、東証も「いろいろなやり取りがあったんじゃないかな?」みたいな(笑)。

青木:そういう意味では、別に上場したからといって意思決定にすごく大きな影響があるとかは……。もちろんプレッシャーはありますし、いろいろなご意見をいただくことはありますが、基本的には自分たちのミッションをちゃんと愚直に追い求めるということを、少なくても自分がブレなければ続けられる環境でもあったので。そういう意味でも公開会社にしたというのが、まず1つですね。

もう1つは、先ほどもちょっと話していたことなんですけど、他のプレイヤーも、自分たちっぽいことをただただ守るみたいなことに、興味はあまりないんですよね。むしろ、より遠い距離の人と、何か合意することができるポイントを見つけられて。例えば要素が2個しかない中で小さい輪を作るって、けっこう簡単じゃないですか。

でもこの要素が増えて、例えば5要素で輪っかを閉じるとか、10要素で閉じるとかのほうが難しくなる分、その輪っかが1つの作品だとすれば「どっちのほうが、作品としての価値が高いか?」といえば、「利害が異なる人たちが1つの輪に閉じられたほうが、作品としてかっこいいよね」というのがあったので。

社会の中で資本市場とか、投資家の人たちというのは、重要な役割を担った主要な場所なので。そこに対してきちんとインターフェイスを持って「その人たちと我々はどうやったらフェアにつながることができるのか?」ということを、普通に試してみたかったというのがありますね。

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