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クラシコム青木耕平 × freee川西康之「“健やかさ” と “急成長” 異なる山を登る2人の対話」『freee 成長しまくる組織のつくりかた』刊行記念イベント(全6記事)

クラシコム・青木耕平氏が語る「仲直り」の経営哲学 スケールが求められる資本市場との向き合い方 [2/2]

フェアな基準を提示することで、投資家ともフェアな関係性を築く

川西:どうですか? 手応えというか、その後は。

青木:いや、ぜんぜんできるくないですか(笑)? という感じがあって。それを実験するために、例えば株主還元方針を、最初の決算発表の時にもうアルゴリズムとして出して。

川西:へー。

青木:「僕らはこのアルゴリズムに従って還元していきますので、恣意的には決めません」みたいな。

川西:「こういう利益が出て、こういう感じだと、1株あたりの配当金がこうなりますよ」っていうのを……。

青木:僕らがやったのは、まず僕らの保有現金の目標水準を決めて、これを超えたらフリーキャッシュフローの半分を配当に回すという、けっこうシンプルなもの。

目標水準は、広告費を抜いた直近の販管費の2年分です。これを超えてから生まれたキャッシュフローは、株主のみなさんに還元しますっていう、もうシンプルなルールです。

こうすると、資金使途が高い時は配当しないでいいですし、保有現金があるレベルを割っていれば、それを充当に使えます。なので、投資の自由度も担保できた上で、僕が「今年は多くします」「今年は自分の都合で少なくします」とかも別にやらずに済むので。非常にフェアじゃないですか。

だからそういうフェアな基準というものを投資家のみなさんにご紹介して、最初から投資する。「これで投資する前提でやってください」みたいなことをやることで、「もうちょっとフェアな関係性みたいなものを築けないか?」とか。

あとは「(資本市場は)そもそも大きくなることを宿命づけられている」みたいなこともよく言われていて、「なんで宿命づけられるのか?」を考えたんですけど、それは偏に、IPOする時にバリエーションが高過ぎるからなんですよ。

川西:先ほどから耳が痛い話ばかり言われる(笑)。

青木:僕らは逆に、低いバリエーションを受け入れたので。

川西:それも株主が……。

青木:少なかったというのもそうなんですよ。なので僕らにとっては、資本市場って実はそんなに自分たちに合わない場所ではなかったんですよね。

川西:最初から「できない約束はしていない」ということですよね。

青木:そういうことです! できる約束だけをしているので。その上で、低いバリエーションを受け入れてIPOをしていると自分たちとしては思っています。もちろん評価は分かれると思いますけど。だからこそ着実な成長で説明がつくはずなんです。だからPERはぜんぜん上がってないんですよ。

川西:なるほど。

目指しているのはインサレーション的なこと

川西:でもそういう方針だったら、たぶん一定にならざるを得ないんですよ。けっこう収斂していくんですけど。

青木:そうなんですよ。だから株価は2025年の1年で倍になっているんですけど。PERは上がっていないので。そういう意味では、投資家の方と発行体と、片側では顧客と社員とという、そのステークホルダーの間の大きな輪っかをきれいに閉じるという流れ、インサレーション的なことをやりたかったんですよね。でもそれは「できてます!」とはまだ言えなくて。

川西:でも、今の時点でできているじゃないですか。

青木:やろうとしているという感じですね。

川西:へー。これがいかにすごいかを私が説明する会にまたなっていますけど。

青木:いえいえ!

川西:東証は今、「一定規模以上の上場レベルじゃないと、上場の維持をしないようにしましょうね」ということで、その基準を時価総額100億円とかに定めていて。いったんその100億円以上・以下というのが1つのラインだとすると、余裕で超えていらっしゃるので。

新ルールにおいても成立している基準の中で、今みたいな新しい資本市場と、ある種ケアのチャレンジがうまくいっているというのも、なんかおもしろくて。

抽象化すると、どういうビジネスで、どういうケースだとこれが当てはまるのか、そしてこういう会社はどうやったら増えるのかというのを私は研究していきたいと思いまして(笑)。

仲直りが好きだから、いろいろなところと仲直りがしたい

青木:単に仲直りがすごく好きなんですよ。仲直りって、めちゃくちゃうれしくないですか?

川西:まぁ、はい。

青木:昔、10年前にちょっと揉めた親友と久しぶりに会って飯を食ったら、「なんか仲直りできた」と。それは人生の中でもっともうれしい出来事の1つだと思うんですよね。

そういう意味では、それも経営のテーマで。例えばそれって、労働者と経営者とか、顧客と会社とか。あるいは、投資家と発行体。常に牽制し合うという意味では、ある意味、仲違いしているみたいなことが、いろいろなところであると思うんですよね。うまくはできてないんですけど、いろいろなところで仲直りしたいなと思っていて。

なので、この上場自体は、僕の中では投資家と発行体の仲直りにチャレンジしたいという。僕らのIPOの時もそうでしたけど、やはりほとんどの投資家の方が「コイツは詐欺師かもしれないな」という目で見てくるというか。

川西:(笑)。

青木:言っていることに片目を瞑って「(話)半分以下で聞いておこう」みたいな雰囲気に。

川西:投資家の方からすると「何を言っているんだ?」という(笑)。

青木:なるじゃないですか。だけど、本来は同じ船に乗って、同じ目的に向かって助け合う間柄、当事者のはずなので。でもいろいろな事情とか、これまでの経緯とかがあってそうなっちゃっているから。それに対して「仲直りみたいなことを、どうやったらできるかな?」みたいにけっこう考えて。でも投資家の方々からは、「本当ぜんぜんだよ」みたいな。

川西:(笑)。

青木:(そう思うことも)あると思うので! だからそれを望んで、それを一生懸命にやりたくて経営しているという感じですね。一番自分にとってはうれしいことなので。

川西:なるほど。いやぁ、もう本当に勉強になりっぱなしなんです。

青木:いえいえ。

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