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クラシコム青木耕平 × freee川西康之「“健やかさ” と “急成長” 異なる山を登る2人の対話」『freee 成長しまくる組織のつくりかた』刊行記念イベント(全6記事)

マネージャーに対する「経営からのケア」として重要な2つのこと マネジメント層の過重負担を解消する仕組みづくり [1/2]

【3行要約】
・マネジメント層は組織の要でありながら、過重な期待と負担に直面し、適切なケアが不足している現状が多くの企業で見受けられます。
・川西氏と青木氏は、マネジメントエクスペリエンスを高めるために、マネージャーへの役割分担やHRBPの活用などの支援モデルを実践。
・マネージャーに「適切な道具」を提供し「勝てない戦いからの撤退」を支援することで、組織全体の成長を促進できます。

前回の記事はこちら

3人に1人の割合でマネジメント業を担う社員がいるfreee社

川西康之氏(以下、川西):簡単におっしゃいますけど、成長を抑えるっていうのは、会社をやっていて難しいことの1つだと思うんですよね。freee社は逆に、拡大したいというある種組織の本能を全開にして、資本主義市場から資金を調達し、物量作戦みたいなかたちで拡張してきているところもある中、その拡大のスピードに負けない、それで組織がバラバラにならないように、言葉を借りると、ほどけないようにカルチャーを強化しながら、もうなんとかやっている感じなんですけど。

青木耕平氏(以下、青木):freee社さんって今、社員の方は何人ぐらいいるんですか?

川西:今2,000名ぐらい。

青木:すごい。うちが100人ぐらいだから、20倍ぐらいいるっていうことですよね。そのぐらいになってくると、いわゆるマネジメント層って何人ぐらいでやっているんですか?

川西:freee社では「ジャーマネ」と呼んでいるんですけど。

青木:ジャーマネ(笑)? ジャーマネ層?

川西:いわゆるフロントラインのマネージャーと呼ばれるような人たちは、5、600人ぐらいですかね。

青木:600人。けっこういるんだ。

川西:事業部長レイヤーみたいな人たちが100人超ぐらいいます。

青木:100人。じゃあ700人ぐらいは、何らか中間マネジメント(の人たち)でいるっていうことですね。

川西:そうですね。

青木:ということは、3人に1人ぐらいはマネジメントの役割を果たしているっていうことですか?

川西:していると思います。

青木:へぇ、おもしろい。

川西:1個当たりのチームは大きくないですね。

青木:それ、けっこう珍しくないですか?

川西:そうですね。なので、果たしてそれがいいかどうかはアレなんですけど。今はスモールチームでやっているんですけど、チームの凝集性みたいなことを考えると、それこそAI活用の時代はむしろ鍋ぶた型と言いますか、ヘッドがたくさんの人を見るほうが効率的だという話もあるので。

青木:なるほど。

川西:我々の組織形態として今後どうしていくのかとかは、考えていかないといけないなと思っているところです。

青木:でも、そこはけっこう特徴的じゃないですか? 他社と比べてもそのマネジメント比率って……。

川西:比較的大きいと思います。

青木:大きいですよね。要するに4人とか5人ぐらいまでのチームでギュッとやって、それぞれを分権していくというか、分業していくみたいな感じなんですね。

川西:急拡大している中で、1人のジャーマネ、マネージャーがたくさんの人を見るっていうのは、やはり無理があるところもあったので。

青木:いやぁ、確かに。

川西:そこを慎重にやっているというところもあります。

マネジメントのサポートを横から行うチームの存在

川西:直接のマネジメントじゃなくて、横からのサポートみたいなことをするチームだったり、役割の人たちも一定数いて。

青木:横からっていうのはどういうことですか?

川西:全体的に言うと、このジャーマネという人たちって、これまではいろいろなことを押しつけられるというか。押しつけられるわけじゃないんですけど、期待されてしまって。どの会社もそうだと思うんですけど、管理職の方って、自分のチームの成果を上げることも求められるし、育成することも求められるし。

青木:あぁ、確かに。

川西:そこを含めて、そういった育成と成果を出すための心理的安全性、チームとしての調和と言いますか、チームの状態を良くする役割も求められて、多くのことを求められ過ぎている……。

青木:確かに。

川西:昔のfreee社、それこそ1,000人以下ぐらいの時のfreee社だと、全体の勢いと入社してくれる方の能力に依存してなんとか持っていたんですけど、1,000人を超えてくるとそれがどんどん難しくなってきて。そもそも無理なことをお願いしていたんだなということで、ちょっとずつ分解していこうというのがあって。

育成というところでも、技術を育成するというのはサポート可能なので、セールスの技術を教える人にはセールスの技術を教えるチームというものを別に立てて、技術を教える人に特化した人が技術を教えてくれたりとか。

あとは育成という観点で、キャリアの悩みみたいなものとか、異動とかそういったものは付きもので、直属のジャーマネ、上長だけと相談していると煮詰まりやすいというか、その上長には数字責任があるので、メンバーには異動してほしくない。

青木:確かに(笑)。

川西:健やかに一生懸命がんばってくれるインセンティブしかないんですけど、そのメンバーは、「いやぁ、ちょっと別のこともチャレンジしたいな」と。「自分のキャリア的にちょっと別の領域でやってみたいな」みたいな時に、この関係だけに依存していると、どんどん関係性、心理的安全性みたいなものが良くなっていかなくて。

これまではそれもジャーマネに「いや、お前が高い視座を持てばこれは解決できるだろう」って言って。

青木:できるだろう(笑)。

川西:自分のチームのことで、そういう……。

青木:自分で考えろみたいな。

川西:なんか「痩せ我慢をすることがfreee社のジャーマネには求められるんだ」みたいな。思いっきりケアを要求してきたんですよ。

ケアを要求してきたんですけど、これは駄目だということで、インセンティブ構造から外れている、HRBPと呼ばれる人事・キャリア面のサポートするような役割の人たちを置いて、そのジャーマネをサポートしていくことをしていて。

青木:おもしろい。

川西:横から成長なりをサポートする役割を置いています。

マネージャーを孤立させない

青木:そこはもしかして共通点かもしれないですね。僕は、僕の直下にスタッフ部門として、人事企画室を持っているんですね。

基本的にはマネジメント層のロールをいつでも受けられるレベルの人をそこには置いていて、この人たちが、マネージャーのいわゆるピープルマネジメントにおけるさまざまな難しい課題に、相談に乗るとかじゃなくて、一緒に対応するっていう……。だからHRBPだと思うんですけど。

川西:あぁ、そうですね。

青木:例えば実際の評価、僕らはキャリブレーションって呼んでいますけど、ロールを決めるのが難しいとか、あるいはその内容を相手にどうやって伝えるのかみたいなことも、なんなら面談に同席して一緒にやるみたいな。

あるいは、何かトラブルがあった時には一緒に矢面に立って解決する。

組織を良くする上で重要なのって、やはりマネジメントエクスペリエンスをどう上げるか。マネージャーになるってことが楽しくて幸せなことにならないと、誰もマネジメントをやりたくない組織になっちゃうっていうことで、どうやったらマネジメントエクスペリエンスを高められるかを考えると、やはり一番はマネージャーを孤立させないっていうことだなと思っていて。

当然、管掌役員がマネージャーを見ているんですけど、先ほど言ったような細々なよろずの悩みごとみたいなものまで全部見ていたら、今度は役員が役員の仕事ができないよねって。だけど、実はマネジメントで一番難しいのって、ピープルマネジメントじゃないですか。

川西:そうですね。

青木:正直、別に事業の執行のマネジメントなんて、そんなにムズくないっていうか、できるから引き上げているのであって。

そうすると、やはり一番ストレスにもなり、一番難易度も高いピープルの部分を……。実はマネージャーっていうのは、ペアプログラミングとかモブプログラミングと同じようにやる組織のシステムだと捉えればということで。

僕の直下の人たちがそれを手伝うことによって、各マネジメントのやり方、手法とか粒がそろって均質なマネジメントのレベルに引き上げられるので。

御社でもやられているHRBP的な取り組みとかって、先進的なところは今どんどんやられていると思いますけど、すごくいい発明だなって思いますよね。

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