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クラシコム青木耕平 × freee川西康之「“健やかさ” と “急成長” 異なる山を登る2人の対話」『freee 成長しまくる組織のつくりかた』刊行記念イベント(全6記事)

「契約だけ」で成り立つ組織は生産性が低くなる 青木耕平氏・川西康之氏が語る「ケアの循環」が生み出す自発的な貢献 [2/2]

関係性を良くするすべての取り組み・活動である「ケア」

青木:何から話していくのがいいですかね?

川西:私、先ほど紹介された『立体と断面』を拝読しているので、聞きたいことがたくさんあります。もしかしたらみなさんを置いてけぼりにするぐらい聞きたいことがたくさんあるんですけど。

青木:ありがとうございます。

川西:まず「ケアの循環」っていう概念がすごくおもしろいなと思って。ご覧になっていらっしゃらない方もいらっしゃると思うので、少し紹介していただいてもいいですか?

なぜ興味があるかというと、一般的なビジネスの考え方と少しずれるというか、考え方がちょっと独特なところがあって、なんかおもしろいなと思って。

青木:うれしいです。ありがとうございます。組織を動かす大きいOSみたいなものが、大枠で2つあるかなと思っていて。

1つは、契約を土台にしたサービスっていう組み合わせ。つまり、「あなたにはこういうことをお願いします」「じゃあいくらください」「わかりました。あげるのでこの仕事をしてください」と。これは契約を土台としてサービスを提供してもらう考え方ですよね。

一方で、今お話しいただいたケアっていうものは、例えば僕と川西さんがもともとめちゃくちゃ仲がいい友だちだったとして……というか、今日から友だちになりましょう。

川西:ぜひ(笑)。

(会場笑)

青木:友だちだったとした時に、僕らの関係性がお互いにとって非常に良い間柄、関係性だよねという互恵関係の認識の上に成り立つ、関係性を良くするすべての取り組みとか活動のことを「ケア」って言うんだと思うんですよね。

例えば家族とかも、家族の関係を大事にしたいと思うと、例えば家の中のこととか家族のことを、「じゃあ、これは誰で、お小遣いいくら払うからやりなさい」みたいなことをやらなくても、ある程度、ケアの循環ということでいろいろなサービスが行われている。

一つひとつ「トイレ掃除は何分かかるから時給いくらなので、結局いくらです」みたいな見積もりをして、「はい、やって」とかでやっていくと、非常に効率が悪い。

だけども、互恵関係であることを前提にして、ある程度自発的にいろいろなことに取り組めるような状況が作れれば、非常に生産性が高くなりますよね。

お互いに良いと思える状況を最大化することで自然にケアが発生する

青木:基本的には会社のベースは営利企業ですし、雇用契約という契約を土台にしているので……。土台の部分は先ほど申し上げた契約とサービスで成り立っているわけですけれど、たぶんこれだけだと生産性が低いと思うんですよね。

だから、この契約とサービスという枠組みがありつつも、そこから自然とケアの行動が出てきやすいように……。ケアって、実は要求したらどちらかというとハラスメントになっちゃうんですよ。

川西:そうですよね。わかります。

青木:なので、ケアを要求しないでケアが生まれてくるには、「この関係性がいいね」ってお互いに思える状況を最大化することで、自然と生まれてくると考えているので。

どちらかというと組織の個々と会社、あるいは構成員同士の関係性を非常に健全なものにしていくことによって、2段階になるというか、契約とサービスの関係の上に互恵関係とケアが乗っかることによって、1人のスタッフなり、1人の構成員から生み出される生産性が最大化するんじゃないかと。

ケアの「循環」が起きる流れ

青木:で、循環って言っているのは、基本的には経営、例えば執行役員がケアをしっかりする、執行役員が自分の管掌のマネージャーの面倒をしっかり見る。マネージャーがスタッフの面倒をしっかり見たら、スタッフはきっとお客さまとか、あるいはお取引先さまみたいなステークホルダーとか、社外のステークホルダーをケアするようになる。そうすると、結果的にお客さまとか、僕らでいうとBtoBのクライアントが会社をケアしてくれるんですよね。

例えば、どうしてもいろいろな原材料(の価格)が上がったりとかしていて、値上がりしちゃうんですということを丁寧に説明した時に、それでもお買い物し続けてくださるっていうのは、ある意味では契約とサービスを超えた、お客さまからのケアだと思うんですよね。

なので、そういうかたちでお客さまのケアが経営に返ってくる。そうすると、経営はさらにまたみんなをケアできるっていう、この循環を回していくこと。

ちょっと長くなっちゃいましたけど、そういうことを僕が書いたというか、インタビューに答えるかたちで作ったZINEの中に書いてあったのを引用してくださった……。

関係性が良い状態であれば、キャパシティ内のケアは発揮しない方が難しい

川西:いやぁ、本当におもしろい考え方だなと思ったんですけど、アレですよね、経営者が従業員にケアを要求するとなると、「あなたにとって会社ってすごく大事な存在なんだから、もっとがんばってよ」「ちょっと大変だけど、6時まで残業もしてよ」みたいなものは、明らかにパワハラになるから要求できないけど、お互いが信頼関係を結ぶことによって、自発的に努力とか、創意工夫みたいなものが生まれるような関係になるっていうことなんですよね。

青木:互恵関係の中で、自分が無理をしないで相手とかその場に貢献できることを見つけた場合、やらずにいるほうがムズくないですか?

すごく極端な例で言えば、大好きな恋人がいたとして、その人が「あの本、読みたいな」って言っていたと。たまたま本屋に行った時にその本を見つけたとしたら、買って帰らないほうがムズいですよね。「これ、あったよ」って言いたいじゃないですか。

川西:はい(笑)。

青木:そういう意味では、ケアって自分のキャパシティを超えたものを要求するとなると難しいですけど、キャパシティ内にあるケアのリソースっていうのは、関係性が良ければ良いほど、発揮しないのはすごく難しいんですよね。

自己開示・率直なフィードバックがないとケアは循環しない

青木:ただ一方で、このケアって先ほど言ったように関係性の中で自然と生まれるものなので、やってほしいこととやってくれることが食い違う問題があるんですよ。契約とサービスだったら……。

川西:定義されているものを……。

青木:定義されているものをやってもらえるから、すごく再現性が高いんですよね。なんだけど、ケアはややもすると食い違うので、日頃から自分が何をしてほしいとか、どう感じているかをお互いが自己開示し合う関係性がなければ、結局勘違い、「なんか察してよ」みたいな変な感じになっちゃうんですよね。

だから、率直にコミュニケーションするカルチャーと実はセットじゃないと(いけない)。ただ優しい文化だと、実はこのケアって回っていかないっていうのが……。

川西:その率直なコミュニケーションっていうのは、時に厳しいフィードバックみたいな。

青木:そうです。

川西:「こういうことを期待しているけど、こういう期待に届いていない」みたいなこととかも、率直に言い合えるということですね。

青木:うちは相当ソリッドで、忖度とか躊躇みたいなのは、あまりないかもですね。逆に自己開示とか率直なフィードバックをすごく強く要求しています。それがないと、先ほど言ったみたいにケアが回らなくなっちゃうので。言わない人って、やはり察してほしいっていう要求が強いので。

川西:なるほど。

青木:この「察してほしい」はマジでヤバいです。「察してくれ」っていう人がいた時に、察しないと、ある不機嫌さでそれを表現して、さらにわかってもらおうとする。そうすると、この人がいることで予測可能性が下がっちゃう。予測可能性が下がると、ケアが急に止まっちゃう。なので、予測可能性をまず高めるためにも、自己開示とか率直なフィードバックはすごく大事にしている感じですね。

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