【3行要約】・「やらされ感」を持って仕事をする人が多いが、これは「被害者意識の悪循環」という深刻な問題です。
・国際コーチング連盟認定コーチのあべき光司氏は「アカウンタビリティ(主体性)の欠如が原因」と指摘。
・リーダーは自らがアカウンタブルな姿勢を示し、部下の選択肢を増やす支援をすることが重要です。
本記事では、特に反響が多くあった同イベントの3記事目を再掲します。
同じシリーズの記事はこちら 「なんで私がこの仕事を……」という被害者意識の悪循環
あべき光司氏:じゃあ、次は
『部下を持ったら身につけたい! リーダーのためのコーチングがイチからわかる本』第6章の「アカウンタビリティ」についてです。説明責任という使い方ではありませんよという話を今からします。「主体的に自ら進んで、仕事や事業の責任を引き受けていく意識」をアカウンタビリティと言います。
後でもう少し具体的な例をいくつかお話しをしますが、もう少し別の言い方をすると、「自らの選択肢を増やし続けること」と言っています。
『夜と霧』という本を読まれたことがある方、いらっしゃいます? ユダヤ人の精神科医の方の体験をもとに書かれた本ですね。フランクルさんという方が第二次世界大戦中にナチスに囚われて、アウシュヴィッツ収容所に入れられることになりました。
多くの方は、ユダヤ人の方がどんどん亡くなっていくのを見て、「次は自分やろ。捕まったら殺される」「明日にはガス室に送られるんか」と不安に駆られて暮らしていた。
そんな、本当に明日殺されるかもしれないっていうこの状況を、彼は「壮大な実験場だ」と考えたらしいです。つまり、こういう究極の状況で、人はどういうふうに反応するのかを考えたらしいんです。普通は「もう死んでまう、もう無理や」とか悲観に駆られて、何も考えられない。ないしは自分だけ助かるみたいに思ったりするかもしれませんが、彼はそう思わなかったらしいです。
その結果、彼は戦争が終わってそのまま収容所から解放された。そのあとで、収容所での体験を本にした『夜と霧』という作品が出来上がったんですね。つまり、究極の状況にあったとしても「ここで何ができるのか」と考え「人間観察しよう」と選択したからこそ本が書けたんですね。
これがなかったら、単に「なんでナチスはこんなことするんやろ」「なんで自分はユダヤ人に生まれたんやろ」「なんであの時捕まったんやろ」と後悔をしたり、「俺は悪くないのに。あいつが悪い」と人のせいにしたり。
自分の選択肢を増やしていくことをせずにいたら、こんな本は出なかったですよね。ちなみにアカウンタビリティの反対語が何かと言いますと、「ヴィクティム」(被害)ですよね。「なんで部下が、なんで社長が、なんでマネージャーがこんなことすんねん。俺は悪くないのに」という感じです。
ただ、これを言うと一部の方には反感を買うと思います。あとで説明をしていきますので、最後まで聞いていただけるといいかなと思います。
指示・命令に従う「指示待ち」タイプの6つの言動
じゃあヴィクティムって何かと言いますと、今書いてあるとおり、自分で考えず指示や命令だけに従って、仕事や事業を引き受けていく。「言われたからやりまっせ」とか「ほんまはやりたくないけど。なんでこんなんやらなあかんのやろ」という感じです。

まさに被害者意識の悪循環に陥ると見られる6つの言動があります。「無視する/否定する」「責任を押し付け合う」。「自分の仕事ちゃうのに」。どうしていいかわからなくて「混乱をする」。「自分、そもそもこんなことやりたくなかってん、あいつがやればよかってん」という「言い訳をする」。
ないしは、向こうで困っているのを見て「大変やな」と「様子を見る」。これがまさにヴィクティムです。
じゃあ悪循環から「抜け出しましょう」ということなんですが、それができひんから困っとんねん、ということですので(笑)。まずは「どうやって抜け出したらいいか知らんけど、確かに今、私は悪循環に陥っているな」と気づくことから始まるんじゃないかなと思います。
でも、常にヴィクティムっていうわけではありませんよね。例えば趣味の時にはアカウンタブルで、ガンガンいくけど、仕事の時にはヴィクティムっていう人もいらっしゃいますね。ないしは、仕事の時であったとしても、「あの上司としゃべる時はめっちゃヴィクティムです」という方、いらっしゃいませんか?
ですのでぜひ、「確かにあの部長としゃべっている時、あのお客さんに電話する時ってめっちゃヴィクティムやな」と気づいてもらったら、次はどうしたらいいかがわかると思います。
「やる理由」よりも「やらない理由」を探している
次にいきますね。みなさん、もしくは自分の部下がアカウンタブルかどうかを確認する「アカウンタビリティ・チェックリスト」というものがございます。みなさん、気になっていることがあっても「どうせ誰かがやってくれるやろ」というふうにほったらかしたり、「こんなこと言うても、どうせ部長、なんも動いてくれへんしな」と思ったりしていませんか。
まさに26歳の僕がそうで、「こんな大きな会社で俺の実力を発揮できるわけがない」と思っていました。3つ目、「そもそもこんなプロジェクト無理やねん」という方、いらっしゃいませんか? しかも「評論家、傍観者の立場に立っている」という方、もったいないですね。
そして問題が起きても「自分が正しい」と言って「言い訳をする」。自分の間違いを認めずに言い訳している方、いらっしゃいませんか。
もしくは「やる理由」よりも「できない理由」「やらない理由」を探している方はいませんか。「じゃあどないしたらええねん」という感じなんですけど。相手の行動で「あんなことやってるわ、こうしたほうがいいのにな」と気になったとしても言わない。それで失敗して「ほら見てみ」という人いません? 「最初から言えや」みたいな感じですね。
または、「わかりました。で、私はどうしたらいいんですか?」と相手に決めさせる方。それから、ちょっときつい言い方かもしれませんけれども「あの人から見て、みなさん、そういうふうに見えていませんか?」と考えてみてください。
このチェックリスト、実はもう1個あるんですけど、僕も含めて、めちゃくちゃ耳が痛いです。これをリアルのセミナーでやったら雰囲気がめっちゃ悪くなるんですよ。なんかどんよりするんですけど、それくらいみなさんも思うところがあるんやろうなと。自分も含めて、そう思います。
「私の仕事じゃないから」と断る
2つ目のチェックリストです。何かを注意されたら「いやいや、違うんです」と言い訳から始める。ないしは、「いや、そんなこと聞いていません」「それ、私の仕事ちゃいますから」と、自分から関わりを断ってしまう。「ここまでは自分の仕事、ここからは自分の仕事ではない」と、勝手に二分化して、積極的に向こうに関わろうとしない。
ないしは、「私、こんなにがんばっているのに、周りが理解してくれないんです」みたいな。最後です。「いやいや、前にやったんですけど、うまくいかなかったんですよ」と言い訳をして行動しようとしない人ですね。
さっきの話を覚えていますか? 相手がどう思うかが大事なんですね。みなさんの部下から
、こんなふうに思われていませんか?
そして、自責思考みたいな言葉がありますよね。要は、悪い言い方をすると「全部自分のせいです」という人。いませんか? これってイコールじゃないんです。自責と他責ではなくて、アカウンタブルとヴィクティムというふうに比べましょう。