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これでイイのか⁈「部下への忖度」webセミナー(全3記事)

上司も部下も“自分を守る”から対話が止まる 職場で増えている「被害者意識」とは? [1/2]

【3行要約】
・ハラスメント対策が進む一方で、組織内のコミュニケーションが萎縮し「ハラスメント縛り」に陥る企業が増えています。
・髙桑由樹氏は、多様性重視の時代だからこそ制度整備だけでなく、摩擦を「調整する」対話力が重要だと指摘。
・企業は防衛的な姿勢を捨て、上司と部下が率直に話せる関係性構築と対話スキル向上に取り組むべきです。

前回の記事はこちら

ハラスメントは“起こさない”より“調整する”

髙桑由樹氏:続いて、「ハラスメント」にフォーカスしていきます。まず、「ハラスメントとは何か?」というところを、あらためて確認していきます。

一般的には、人に対するいじめや嫌がらせといった迷惑行為を指しますよね。では、これは「どうして生まれるのか?」というと、主には意見や立場の違い、さらには摩擦、ここから生まれてきます。世代の違いだったり、性別だったり、立場の違いだったり。そういった違いの中で生じるものです。

そう考えると、ハラスメントって、どうしても「悪いもの」「絶対になくさなければいけないもの」と語られがちですけども、人間が自分以外の誰かと関わって働いている以上、考えが違うのは当たり前なので、摩擦は必ず生まれます。つまり、ハラスメントは、ある意味では生じてしまうものなんですね。

となると、「ハラスメントを発生させてはいけない」と、ひたすら予防に注力するよりも、「ハラスメントは起こり得るものだから、それをどう調整していくか」という視点を持つことのほうが、大事になってきます。

「ハラスメント縛り」に陥る組織の背景

ただ、今の多くの組織は、ここで「ハラスメント縛り」にハマってしまっているなと感じています。「それってハラスメントじゃないですか?」とか、「それもハラスメントですよね」といった声が飛び交って、身動きが取れなくなってしまっている。本来は調整すべきものなのに、なぜ、がんじがらめになってしまっているのか。その背景を整理してみたいと思います。

1つには、先ほどからお話ししているように、「多様性が大事だよね」という時代になっているという点があります。これまで以上に、いろいろな意見や考え方が主張されるようになってきています。そうした違いが、あまりにも表に出すぎて「もう一緒に働けません」という状態にならないように、企業としてはハラスメント対策を打つわけです。

ここで、ハラスメント対策を少し整理すると、大きくハード面とソフト面の2つに分けられると思います。

ハード面とは制度の整備です。例えば、ハラスメント相談窓口を設置するとか、ハラスメント防止に取り組んでいる人の評価を高くするとか。あるいは、ハラスメント研修を実施して、「相手が嫌がることはハラスメントですよ」と知識をインプットする。こういったものがハード面の対策です。

一方で、もう1つ重要なのがソフト面です。先ほどお話ししたように、ハラスメントとは調整すべきものなので、そのためには対話が必要になります。自分の意見を相手にどう伝えるのか、異なる意見をどう受け止めるのか。さらには、自分自身の考え方を一度立ち止まって客観視する、いわゆるメタ認知の力を高めていく。こういった対話スキルや思考のスキルを高めていくことも、重要なハラスメント対策だと考えています。

ハード面の対策だけが進むことの弊害

ただ、みなさんご存じのとおり、ハードとソフトがあるとしたら、多くの会社でハードの対策は進んでいます。一方で、ソフト面の対策、つまり対話スキルを高める取り組みを、ハラスメントの文脈で本気でやっている会社はほとんどないと感じています。

そうすると、どうなるかというと、制度の整備ばかりが進んで、「ここから先はダメですよ」といった線引きの話が増えていく。結果として、社内で「ここから先には踏み込まないでください」というメッセージがあふれてしまう。踏み込んだコミュニケーションができなくなり、ハラスメント対策そのものが、組織を分断する仕組みになってしまっている。これが、今の現状だと思っています。

本来、必要なのは「調整」です。そう考えると、右側にあるソフト面、対話スキルの充実こそが、ハラスメント対策として一番重要なはずです。しかし、そこがほとんど手つかずのままになっている。

加えて、日本というのは時代背景的にも、対話に慣れていない社会です。自分の意見をはっきり言うと、「トップダウンじゃないか」とか、「自分よがりじゃないか」と言われてしまう。だから空気を読んで、あまり言わない。そういう文化があります。

本当は一番弱いところなのに、多様性の時代に入って、対話スキルを高めなければならないにもかかわらず、そこに手を打てていない。その結果、組織が分断されてしまっている。これが現状だと思っています。

そう考えると、「このハラスメント縛りをどう解決するか」という話は、制度をどう作るかという問題ではありません。これは完全にスキルの問題です。ただ、そのスキルの向上に本気で目を向けている企業が少ない、というのが現実です。

デンマークに学ぶ対話力を鍛える取り組み

ここで1つ、海外の取り組みを紹介したいと思います。デモクラシーフィットネスです。これはデンマークで生まれた、対話力を鍛えるトレーニングプログラムです。

背景として、デンマークという国は「政治にみんなが参加しよう」という考え方を、とても大切にしている国です。これまでも、参政権の仕組みや、政治の制度について、学校教育の中で知識として手厚く教えてきました。ただ、知識をインプットするだけでは、なかなか政治への関心が高まらないという壁にぶつかった。

そこで「本丸は何なのか」を見ていった時に、行き着いたのが、政治というのは単に「投票する」ことではなく、意見の違う人同士が対話し、調整していく力そのものだ、という考え方だったわけです。

「何かイベントに参加する」といったことだけではなく、「自分はこう思っているけれど、あなたはそう考えるんですね」と、考え方を取り交わす。そうしたやり取りこそが、最小単位の政治だと捉えた時に、やはり対話スキルこそが民主主義を支える、という考え方に行き着いたわけです。

その結果、対話力を高める必要があるとして、対話を構成する10のポイントが整理されました。それらを鍛えるために、短時間でできるワークアウトが用意され、イベントなどの場で、意見交換を始める前にまずそのワークアウトを行い、全員の対話力を高めた状態で話し合う。こうしたトレーニングプログラムが、デモクラシーフィットネスと呼ばれています。

日本よりも対話に慣れているはずのヨーロッパ諸国でさえ、制度ではなく、ソフト面である対話力やスキルに力を入れている。この点は非常に興味深いですし、今回の「忖度問題」を解決するための重要な切り口になると考え、紹介しました。

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