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ハイパフォーマーに依存せず「組織文化で勝つ」5つの鍵〜「普通の人たち」で強い営業チームを作るには?〜(全4記事)

自転車操業から抜け出すためのマネジメントのPDCA 売上目標は達成しても組織が疲弊する原因

【3行要約】
・営業組織では売上などの結果ばかりが重視されがちですが、行動の質を高めるマネジメントが不足している課題があります。
・高橋浩一氏は、「放置プレー」に陥っている営業マネジメントについて、PDCAサイクルの確立が急務だと指摘しています。
・営業マネージャーは、ペースメイキングと決着案件の振り返りを徹底し、自転車操業から脱却すべきだと提言します。

前回の記事はこちら

「行動の質」を高めるマネジメントのPDCA

高橋浩一氏:ということで、行動の質を高めるマネジメントのPDCAに話を移していきたいんですけど、どうやったらさっきみたいな状態ができるかということです。

営業組織というのは、結果に対してシビアですから、売上とか期待収益とかパイプラインのように数字の部分は当然見られます。ただ、結果だけ見て放置プレーになるマネージャーっていうのは、これと、案件一覧だけしか見ていないっていうことが多いわけですよ。

これに対して、私が重視していただきたいのはペースです。ペースメイキングこそ行動の質を高める上でのマネージャーのキーアクションであると言っても差し支えないぐらいですね。ペースというのは非常に重要であると考えます。

ペースというのは、ある一定期間、例えば1ヶ月とか1週間とか見た時に、どのぐらい商談が前進しているかとか、どのぐらい商談が新しく作られているかを見るということです。

このフェーズアップとか新規商談の作成を見るというのがペースで、このペースについてどのくらい、いっていればいいのかという目安があると非常にやりやすいわけです。「月に何件新しく商談を作ろう」とか、「月に何件フェーズをいくつに進めよう」ということです。

そして、商談をピックアップして介入するというのは、大事な商談が停滞している時に、この停滞している商談に対してちゃんと介入するということです。よくここをすっ飛ばして結果と商談一覧だけを見るというマネジメントがあるんですけど、これだと行動の質が上がりにくいです。なぜかというと、もう介入する頃には手遅れだったり危ない状況だったりするわけですね。

「なんでこれ確認していないの?」「なんでこれ聞いてこないの?」「なんでこれ伝えていないんだ」ってなってしまうわけですよ。なので、ちゃんと途中段階のペースを見ましょうと。更に、間際になって慌てないように、上流段階で先を見てアクションをしているかどうか。このお客さま、前に進めているかどうかみたいなことを、見ていくということです。

そして、ちゃんとやっていることがあっているか答え合わせをしていくと。更新されている商談とか、受注・失注パターンを見ていくということです。

自転車操業に陥らないためのペースメイキング

行動の質を高めるマネジメントのPDCAというのは特に、抜けがちなのが(スライドを示して)この2番目と4番目(「内訳やプロセスを分析する」「アクションや優先順位を指示する」)というところです。5番目(「指示に対する実行状況を確認する」)も抜けやすいですね。

1番目と3番目(「受注(売上)の進捗を確認する」「商談をピックアップして介入する」)だけやるのが放置プレーということですね。行動の質をどう上げていくか。それをやっていく上で、実は営業会議とか、いわゆる定例会議ってあると思うんですけど、その定例会議的なものの中に、根本対応と学びを入れているかということです。

例えば売上目標達成率についてチェックをする。これって絶対見ますよね。次、進行中の案件一覧。見ますよね。危ない時は介入すると。ただし、緊張感を保つのと緊急対応だけやっているということで、根本対応はペースメイキング。今どのくらいのペースで案件が進んでいるか、案件が作られているかということ。

学びということでいくと、決着案件を見て、その決着案件がどうだったのかを今後の活動に生かしていくということです。この下半分が非常に抜けやすい。根本対応と学びをPDCAに盛り込みましょうということです。

まず、心理的安全性云々の前に、私が申し上げた順番があるんじゃないかと。行動の質が、一定ベースが高くないと心理的安全性も何もないということで。

だって、しょっちゅう数字に追われていて、危ない組織で心理的安全性とか言えますかということですね。やっぱり、安定して一定の行動の質というのがあってこそ、いろいろ気にせずに言いたいことが言えるとか、やりたいことがやれるということです。

まず、行動の質を上げましょう。そのためには、PDCAの土台を築くということです。具体的には、根本対応と学び、特にペースメイキングと決着案件の振り返りを入れていきましょう。これがないと、ずっと自転車操業になってしまいます。

知っておくべき「PM理論」

そこで、ようやく心理的安全性の話に入れるんですけど、心理的安全性の議論をする時に、知っておいたほうがいいPM理論という知識があります。

PM理論とは、三隅二不二先生という方が提唱しているんですけど、Pがパフォーマンス(業績達成)、いわゆる数字とか業績といったところで。Mがメンテナンス(集団維持)です。刺激とか人間関係の満足度ということです。

PとMが両方満たせるかどうかを見ましょうということなんですけど、Pを先ほどのPDCAでちゃんと仕組みで担保できたら、安心してこっち側(メンテナンス)に力を割けますよね。

要するに業績達成の上で大きな不安定を抱えた状態で、人間関係とか環境投資みたいなことってなかなかできないです。ということで、PとMのバランスを見ていく際にまずPを土台として作りましょう。これがさっきの順序の話です。Pがしっかりできたら次、Mの話にいきますよということです。

そして、PとMと両にらみしながらマネジメントの土台を築いていきましょうという話なんですけど、こちらマネジメントアクションを整理してみまして。(スライドを示して)上のほうにあるのがP寄りで、下のほうにあるのがM寄りです。左から右にいくにしたがって、左が日常的、右が非日常的というようにしています。

商談単位のフォローというのが一番直接的な関与ですよね。商談に同行したりとか、案件の相談に乗ったり、商談レビューをしたりと、直接的に数字に関わるものです。チームミーティングっていうのは、例えば朝礼・夕礼とか、定例会議とか、締め会・キックオフ、これも比較的数字に近いところです。

だんだんM寄りになってくるんですね。トレーニング、ロールプレイをしたり勉強会をしたりすると直接的に数字に関与するわけじゃないけど、後で効いてくるわけです。そして一番M寄りなのが対話の場で、日常会話とか、1on1とかオフサイトというものです。

KPIを達成しようとして確度の低い案件ばかりに…

PM理論に沿って考えた時に、これらのバランスがどうかを見ていきましょう。それを考えていくにあたって組織コミュニケーションのアプローチというものがありまして、診断型と対話型という考え方があります。

診断型というのは、データを集めて分析して、理想の状態に向けて課題解決をする。対話型というのは話し合いを通した集合知や合意形成によって、ありたい姿を実現する。ざっくり言うと、診断型はロジック寄りで、対話型は感情寄りなアプローチなわけです。診断型だと議論が中心になりますし、対話型だとダイアログでメンテナンス中心になるということです。

こういうことを考えていった際に心理的安全性っていうのは、どちらかというとこっち側の話になるんですけれども。この対話にあたっては、氷山モデルというのを意識していただきたいと思います。

(スライドを示して)氷山モデルはこの左半分の出来事、パターン、構造、意識・無意識の前提という階層を意識したコミュニケーションなんです。例えば、失注が増えているという出来事があったとします。この出来事で直接的に「失注が増えているから減らせ!」というコミュニケーションってよくありますよね。

あるいは、インサイドセールスから発生した新規案件の受注率が低いというパターン、傾向があったら「インサイドセールスから発生した新規案件の受注率が低いから、もっと良い商談をパスしなさい」みたいに言いがちです。ただし、こういう直接指示はうまくいきにくいです。なぜかというと、その裏側には、行動とか意識・無意識の前提があるからです。

KPIになっている案件数の目標がインサイドセールス側にある。だからインサイドセールスとしては、KPIをクリアするために角度が低い案件をどんどんフィールドセールスに渡していることがあるかもしれません。こういうことについては、議論をするべきですよね。

あるいはこっち側、意識・無意識の前提で、インサイドセールスが自分の目標を意識しているけど会社の業績を意識していない。これは根っこのところです。ここは対話で深めていく部分です。この無意識の前提に、表面的な介入をしてもうまくいかないので、ちゃんと解きほぐすような深いコミュニケーションが必要になります。

「自分が正しい」と思っているマネージャーには意見しづらい

じゃあどうやったら深いコミュニケーションができるかということで、安全な対話のルールがあるわけなんですけど、上司が部下に対して、命令をするとか一方的に言っているんだと安全な対話ではありませんよね。他者への尊重と関心。相手の話を遮らずに聞くとか、感情のコントロール、攻撃的になってはいけないですよね。一呼吸置く。

そしてオープンに話す。自己開示とか自分をさらけ出す。発言機会が特定の人に偏らないように。例えばマネージャー・メンバーでいた時に、マネージャーだけが一方的に話しているのは安全な対話ではないですよね。そして振り返りをすると。その対話自体に対しての振り返りを行うということです。

このように、安全な対話のルールでお話をしてまいりました。こういうことをやっていこうとすると、マネジメントスタイルにおいて、考えるポイントがあります。

賢者の演出と愚者の演出ということを対比で並べておりますけれども。賢者の演出っていうのは、要するにマネージャーが正しいんだと、こういうマネジメントです。マネージャーはメンバーに対して理解をさせるとかですね、考えを変えさせるとか、育成をするとか責め立てるとか。これはマネージャーが正しいという世界観です。

この賢者の演出モードだと、残念ながら対話が生まれにくいです。ややこしいのは、議論する時にはマネージャーのほうが目線は高いし、情報をいっぱい持っていますから、賢者の演出モードが出やすいわけです。ただ対話において自分が正しいと思っているマネージャーがいたら、当然メンバーは意見、言いにくいですよね。

対話モードにおいて、マネジメントに必要とされるのは愚者の演出ではないかと考えております。必ずしも自分は正しくない、自分の弱みも言う、完璧でない。逆に相手も完璧じゃないかもしれないけど、それも受け入れると。イラっときても反射的に反応しないということです。

このように、賢者の演出と愚者の演出等を踏まえた上で組織を扱っていく必要があるのではないかということです。心理的安全性を対話で築くためには、まず先ほどのPDCAの土台、これがPM理論でいうところのパフォーマンスの分です。これは仕組みで担保する。

心理的安全性というのは、メンテナンスの部分です。こっち側に次に注力していくと。それにおいては、氷山モデルの一番深いところに無意識の前提があり、これがいろんなところに影響を与えていますから、対話でアクセスをすると。

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