【3行要約】
• 営業組織では少数のハイパフォーマーへの依存が課題となっていますが、チーム全体での成果創出が求められています。
• TORiX代表の高橋氏は、結果へのプレッシャーよりも建設的な競争意識が営業スキル向上に寄与すると指摘。
• マネージャーは「行動の質」を高める5つの原則を実践し、心理的安全性と健全な競争を両立させるべきです。
ハイパフォーマーに依存せずチームで成果を上げるには
高橋浩一氏:みなさんこんにちは。TORiX株式会社の高橋浩一です。今日は、組織文化をテーマにセミナーをやってまいりたいと思います。「ハイパフォーマーに依存せず『組織文化で勝つ』5つの鍵~『普通の人たち』で強い営業チームを作るには?~」というテーマです。
最初に簡単な自己紹介をさせていただきます。営業の研修やコンサルティングをやっているTORiX株式会社の代表を務めております高橋浩一と申します。
私は新卒で外資系のコンサルティング会社に入りまして、2年半ほど働いてから、2003年にアルー株式会社という人材教育のベンチャー企業に入社しました。創業から6年間役員を務めておりましたが、3人のメンバーで始めた会社が6年経った頃には70人ほどになりました。自分が担っていたミッションの中で中心的なものは事業の立ち上げと営業の組織づくりだったんですけど、中でも一番苦慮したのは組織文化づくりでした。
やっぱり、当たり前のことを当たり前にやるとか、適度に厳しいんだけど人としての温かさもあるみたいな、こういう人に関する部分って非常に難しいなと思いまして。今日はこの組織文化づくりということをみなさんと一緒に考えていきたいと思います。
私は現在営業の研修やコンサルティングを中心にやらせていただく中で、本をいくつか執筆する機会をいただいております。今のところ累計で22万部で、中でも反響をいただいているのは
『無敗営業「3つの質問」と「4つの力」』と
『営業の科学 セールスにはびこるムダな努力・根拠なき指導を一掃する』です。1万部売れれば「けっこう売れてるね」と言われる世界で、異例の売れ行きをおかげさまでいただいております。
そして2024年からは東京学芸大学で客員准教授という立場で、アカデミックな活動もしていて、研究活動もやらせていただいております。
プレッシャーをかけすぎると、営業スキルが上がらない
今日の本題に入っていきたいと思います。(スライドを示して)「『目標達成意識が強い組織』と『目標のプレッシャーに疲弊する組織』の違いは何だと思いますか?」ということですね。
よろしければこちらをみなさん、チャットのほうに打ち込んでいただけますか。目標達成意識が強いっていうことと、目標のプレッシャーに疲弊する組織。紙一重なところがありますよね。何が分かれ目になるのでしょうかというところです。
実現可能性、達成感、やりがい、前向きかやらされ感か。嘘のない組織、目標、手段と捉えているかどうか。言語化、組織効力感、勝ち癖がついているかどうか。受動的か能動的か、心理的安全性があるかないか。切磋琢磨、足の引っ張り合い。このへん、いろいろとご意見があると思います。
概ね、前向きに迎えているかどうかが非常に大きいんじゃないかなというところでしょうか。
私が以前1,041人の営業の方々に対してとった調査のデータがありまして、(スライドを示して)こちらは何かというと、営業スキルの高さとの相関をとっております。横軸に項目をいろいろと並べていますけど、縦が相関係数です。
相関係数っていうのは統計の用語なんですけど、ざっくり言うとこの棒グラフの高さが高いほど、営業スキルの高さと関係しているとお考えください。
非常に興味深いデータが、チーム内のライバル意識というのは相関が高いです。チーム内のライバル意識が強いほど営業スキルが高いし、営業スキルが高いほどチームのライバル意識が高いとも言えます。
一方で、結果のプレッシャーと指摘。「目標達成しろよ!」という結果に対するプレッシャーと「まだ足りないじゃないか!」という指摘ですね。これは逆に、営業スキルの高さとはかなり相関が低いということになります。
スキルが低い人はプレッシャーをかけられるし指摘されるだろうっていうのはわかるんですけど、結果のプレッシャーと指摘をするということは、営業スキルの高さに対して相関が低いわけです。プレッシャーをかけて指摘をすると、営業スキルが上がらない可能性が高いということでしょう。相関っていうのはそういうものです。
でもこれ、なんか似てますよね。健全なライバル意識と、結果のプレッシャーと指摘で、何が同じで何が違うのかということです。
長期目線で取り組もうとしても、短期目線のプレッシャーに引っ張られやすい
これは、心理的安全性とライバル意識の両立ということで、まずここに掲げていきたいと思うんですけども。(スライドを示して)左側、建設的な競争意識っていうのは目標が共有され、公正で透明性のある評価基準があり、内発的動機への刺激があり、互いに切磋琢磨する関係。建設的な競争意識、チーム内のライバル関係。なんか良さそうな感じがしますよね。

ただし右側、破壊的な競争意識っていうのは、過度な成果主義的ゼロサムゲーム。例えば成果を上げたノウハウみたいなものを共有すると、敵に塩を送るみたいに社内で考えがちだったり。あるいは評価基準が不透明または不公正、外発的動機に頼ることによる疲弊。売上達成したら大きなインセンティブがあるけど、達成しないと給料が上がらないみたいな。あるいは負の感情を誘発する関係ですね。左と右と、対照的に並べてみました。
当然、今日ご参加されているみなさんはこの左側(建設的な競争意識)を作りたいと思われていると思うんですが。私が今日お伝えしたいメッセージというのは、この文化を作るのに順番があるんじゃないかという話です。
順番というのが今日の大きなテーマです。心理的安全性ですごく大事だと言われるんですけど、心理的安全性の前に1個、これが必要ではないかと。というのが、なぜこの好循環が回りにくいのかとスライドに書いてあります。
(スライドを示して)ダニエル・キムという方が提唱している成功循環モデルというのがあります。関係の質、思考の質、行動の質、結果の質と。チームメンバーの関係が良いとその思考の質も上がり、思考の質が高まると行動の質も上がり、行動の質が高まると結果の質も上がると。結果の質が上がると関係の質が良くなるということなんですけど。

これをやろうとすると何が難しいかっていうと、長期目線で取り組むことに対して、短期目線のプレッシャーに引っ張られやすいわけです。直近の業績向上というプレッシャー、まさに今、こういったプレッシャーを突きつけられている方もいらっしゃるかもしれません。