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<奥伝>『評価運用道場2025』 ~公平と納得を両立する、評価運用の極意~(全5記事)

「語りの勝負」になる評価会議から脱却する方法 「根拠の審査」として機能させる調整会議のつくり方 [1/2]

【3行要約】
・評価制度は組織の公平性を支える重要な仕組みですが、部門間の対立や不適切なフィードバックにより機能不全に陥ることがあります。
・評価調整会議では「誰をA評価にするか」ではなく「A評価の要件を満たしているか」という視点で、エビデンスに基づく議論が必要です。
・上司は「会社の代弁者」を超え、評価結果を部下の成長機会に変換する役割を担い、次につながる具体的な期待と支援を示すことが重要です。

前回の記事はこちら

評価の公平性と納得性を確保する「評価調整会議」

相坂幸子氏:次に、評価調整会議についてです。この評価調整会議も、みなさんしっかりとやられていらっしゃるかなと思います。目的としては、部門・評価者間のバラつきを是正して、評価の公平性と、あとは本人に説明できる納得性を確保する会というかたちになっています。

(スライドを示して)実際のイメージとしてはこのようなかたちで、組織構造によって変わってきますけれども、課内から部門内、それから全社の中で評価の目合わせをしていくわけですね。評価の目合わせというところでいきますと、実際には評価を決定することだけではなくて、人事情報の共有であったり、評価スキルの向上を図る場として活用していけるとベストなのかなと思っております。

ただ、目に見えない部分の情報などは、共有も難しいところもあれば、「なかなかそこまでいかないよ」という会社さまも多いのではないかと思います。

評価会議の内容が「語りの勝負」になってしまう現象

これはケース5として、評価会議でのシチュエーションの話になります。

(スライドを示して)実際には営業・開発管理部門の部長が集まって、例えば支店があれば支店内の評価分布と原資配分を調整する場合に発生しやすいケースとして、下に書かせていただいております。

例えば営業部長からすると、「うちは数値で勝っているのに、A評価の枠が少ないのは納得いかないよね。うちは支店の稼ぎ頭だよ?」みたいな。一方で開発部長の気持ちとしますと、「売上だけで測られると不利。なぜならうちは開発だから、すぐに売上どうこうではない。品質・障害対応とか、技術負債というところの解消は数字にならないよね。不利だよね」とか。

あとは管理部門の方々でいくと、「守りの仕事なので実際に目立たないんだけれども、ミスがあったら支店は止まっちゃうよね。安定運用が評価されないと、モチベーションが下がって、メンバーのモチベーションが下がると、生産性も落ちてしまうよ」というような声。

(こんなかたちで)評価会議に出ている人事の方々のお気持ちのところでは、会議が配分交渉になりがちで、エビデンスが薄いと、語りの勝負になってしまうといったようなケースです。

最終的に人事が矢面に立つことになってしまうことも

「じゃあ、これは誰が悪いのか?」っていうと、誰が悪いわけでもなく。この原因を細分化してみました。こういった会議の時に、声の大きい部長が勝つ、政治的に見られがちというところがあるんですけれども、考えられる要因・原因としては、焦点の設計。

固定原資なので、この配分をするというところですね。それのエビデンスが不透明であったり、「誰が・どんなふうにがんばったんだよ」みたいな物語化をしてしまうと、エビデンスが不足していく。

部門長にしてみると、このA評価枠が無くなっていくと、来期の人員の士気だったりとか、モチベーションがダウンしてしまったりというところで、事故リスクが上がってくるという大きな不安があるものですから、さらに、配分交渉になりがちになっていく。

なので、この原因をまとめていくと、配分と異なる職種の成果の判断材料が標準化されていなかったり、エビデンスが不足していたり。期初の目標設定のすり合わせが不足している。こういったことが同時に起きてくると、結果として不信であったり、部門対立が起こってしまったり。

ともすると最後は、私もお話をいただいたことがあるんですが。「もうこれ以上は決められないよ。人事が最後に決めて」というようなかたちで、人事が矢面に立つような場になるというところもあります。ここでの問題をしっかりと考えて、来期のところに活かさないと、また来期も同じようなことで揉めていくかたちになっていきます。

物語化せずにエビデンスをもとに評価をする

じゃあどういったことを会議の議題にしていけばいいのかというところなんですが、冒頭にお話をさせていただいた等級定義が、ここでも1つ指標として出てくるんですけれども。「基準というところに照らして、それがどうなのか?」というところを見ていく必要があります。

この評価の会議の時になると、「誰をA評価にするのか?」みたいなところに話の焦点がいってしまって、「その人がA評価の要件を本当に満たしているのか?」というところに話の焦点がいかない場合がまぁまぁあります。なので、「この要件に照らして、合っているのかどうか?」というところをしっかりと見ていく。

それを見ていくためには、エビデンスが必要になってくるわけですね。このエビデンスがもし不足していた場合、この会議体というのはなかなか進まずに、先ほどもお話ししたような物語化になっていってしまう場合があります。

なので、この(会議の)場は、実際には決めきらずに持ち帰ってもらって、追加で出していただくような対応をすることもありますし、(そう)していただくことも検討していただいていいのかなと思います。

部門者の説明の共通尺度というところが、なかなか難しいところがございます。先ほどの等級定義の状況によっては、こういったところからも、職種別に分けるようなケースも出てきます。人事のみなさまにおかれては「この評価調整会議の中で、どういったところを前準備されていますか?」というところ(が重要)なんですけれども。

1つの例としては、事前に資料をいただいていることが多いかと思いますので、評価・評点のバラつきをグラフにして、「評点が高いところは業績が良かったのか、それとも管理職の甘辛が出ているのか?」といったところを確認して、会議に臨まれるとよろしいかなと思います。

評価の基準が部門間でズレていないか

ケース6として、評価会議の中でありがちなんですが、営業部はA評価が続出、管理部はB評価が多発というようなかたちですね。指標の難易度も違うのに、同じものさしなので評価会議が荒れるといったようなケース。こういったケースも実際には発生してきます。これについても、目標設定時に「どこまで詰められるのかな?」というところがポイントとなってきます。

もし仮に難易度が違うのであれば、その難易度をどこまで……。先ほど難易度系数を掛けるようなお話をしましたけれども、実際にそこまで詰めきれているのかというところですね。

部門事情が違いすぎて、(同じ)評価軸を入れてしまう。根拠が薄い評価が並ぶみたいなことになってきますと、説明責任が取れないという不安が出てくるので、やはり事実と基準の確認を会議体の中でしていく必要があります。

評価3の定義が部門間で整っているかを確認する

(スライドを示して)ここで、少し考えられる要因というのを3つほど上げさせていただきました。一番大切になってくるのは、この評価3の定義というのが、部門でズレていないかどうかを見ていただくのがいいのではないかなと思います。これはなかなか……。正直難しいと私も思っています。

実際にコンサルタントの立場で目合わせ会議などにも参加させていただく時にも、ここのところがしっかりと詰めきれていないと、問題が深刻化するケースがあります。ですので、ここの3の置き方をしっかりと押さえるわけなんですけども。この評価の2から3、評価の3から4の境界というところですね。

いろいろな部署のところでここの例示を挙げていただきながら、しっかり揃えていくことをされるとよろしいのかなと思います。ともすると、評価会議が「交渉の場」になりがちなんですけれども、しっかりと評価3の定義で話をしていけると、交渉から、いわゆる根拠の審査になってきます。

ここに(ついて)「どこまでそういったスタイルにできるのか?」というところが、人事のPMOとしての役割なのではないかなと思っております。

(スライドを示して)この下にも書かせていただいたのですが、この表3、標準のアンカー例を作っていくところが大切になってきます。こういったことができて、いわゆる根拠審査の場になってくると、結果として下に書かれているような、評価会議の論点が部門の線引きから根拠の質にいったりとか。営業管理をいつでも説明できる評価となって、納得・信頼が回復したり。あとは部門間の甘い殻が見える化されて、是正が期待できるというようなことがあります。

やはり評価のアンカー3を作るところのポイントが、本当に難しいので。そこのところは人事の方も現場に入り込んでいただきながら、他部門との調整役というところを、しっかりと役員の方々を含めて行っていただくと、評価制度の質がグッと上がってくるのかなと思います。

フィードバックへの納得感は「予見性・具体性・一体性」で生まれる

最後にフィードバックです。フィードバックについては、各社さまがいろいろなところでフィードバック面談、研修などを行われているかなと思います。

(スライドを示して)1つポイントは書かせていただきましたが、人事制度に全員が全員納得していただくということは、ほぼほぼ無理だとは思っているんですけれども、とはいえ、できるだけみなさん納得をして、モチベーション高く業務に取り掛かっていただきたいというところが心情だと思います。

その時には、ここに書いた予見性、具体性、一体性というところがベースになって、ここにお示しをしているような内容を捉えていただくといいのかなと思います。

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