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埋めただけで終わらない! ビジネスモデル・キャンバスを徹底活用する方法(全4記事)

ビジネスモデル・キャンバスを「埋めるだけ」ありがちな失敗パターン ビジネスモデル構築でつまずく企業の共通点と改善策 [2/2]

要素の粒度が粗いケースが多い

小山龍介氏(以下、小山):まず1つは、今日お話ししたいなと思っているのが、この要素の粒度。この粒度の質問がよく出るんですが、「どのぐらいで書けばいいんですか」みたいな。一見、本当にテクニカルな話に聞こえるんですけれども、実はかなり本質的な話です。

埋めるだけで終わっているケースをよく見ると、粒度が粗いケースが多い。例えば、製造業でビジネスモデルを書くとき、活動のところに「製造」と書いてある。それはそうです。製造業は、製造しています。しかし問題は、それを多品種少量生産でいくのか、それともかなり絞り込んで、それを大量生産でコストダウンしていくのかという、その製造方法だとか製造プロセスであり、さらにそれが全体のストーリーにちゃんと寄与しているのかが重要なのです。それなのに、ただ「製造」「アフターサービス」と書いちゃう。

その粒度が、どうもその人が見ているビジネスのセンスにかなり一致していて、どの粒度で世の中のビジネスを見ていることがあからさまになってしまうところもあるんですよね。

なので、そこでフィードバックするのは解像度を上げていこうということ。昔のブラウン管ではなく、デジタルテレビ、4K・8K。この解像度を上げていくことによって、実はその勝ち筋だとか、そういうところが見えやすくなるからです。

岩泉謙吾氏(以下、岩泉):どうなんですかね。そうすると、使うのが難しいという反応もなかったりしますか?

小山:解像度が粗いとむしろ、「埋めるのは簡単だけど、それに何の意味があるんだ」みたいなことを言われることが多いですね。

岩泉:そうですね。我々はコンサルタントとして、実務で使ったりお客さまと伴走させていただいたりする時には、やはりビジネスモデル・キャンバスの1項目を埋めるための分析が必要になるんだなと思っていて。

今お話にあったとおり、知っていること、わかっていることをポンと埋めていくと、なんとなくビジネスモデルになるみたいなツールだと勘違いされるケースは確かに多いなと思っています。圧倒的優位とは何なのかを分析した上で、初めて埋まるなと思っているので。

中川:そうなんですよね。あと残酷なぐらいその人の解像度が見えるのは本当におっしゃるとおりかなと思っていて。あれは1個を埋めるのに本当に腰を据えて分析しなきゃいけない枠組みとしての整理であって。あれを埋めてビジネスモデルを作るツールじゃないというところは、意外とわからない人はわからないというのも、一方ではあるので。

どこまでの解像度でという以前に、やはり気づきがないと、そこの解像度で見ていかなきゃいけないんだとはならないという。なかなか難しさはあるなというのは、実際に使っていても思いますね。

ミドルマネージャーの存在が肝になる

小山:そうですね。この解像度が、同じ会社の中にいる社員の中でも、製造部門の人は営業の解像度が粗いんですよね。営業の人は製造現場をやはりあんまり知らないとか、R&Dの人が実は製造のことをあまり気にしていないとか。やはりその職種によって実は見えている世界が違うんですよね。

よく例え話にありますよね。真っ暗な部屋にゾウがいて、それぞれ触っているところが違って、違うものが見えているみたいな。そういうことと同じことがビジネスモデルにも起こりうる。

その点で、これは全体像……先ほどオントロジーを紹介をしましたが。やはりこのビジネスモデルの全体像を共通の言語で、営業もエンジニアも研究者も同じ立場で議論でき、そのことがある種の経営目線の視座を得られる最短距離の方法として、ビジネスモデル・キャンバスがあります。このツールで全体を議論することは、会社のビジネスモデル理解の近道だという感触があります。

なので、やはり作る時に各分野の専門家をある程度集めて、多様なメンバーで作るのも1つのポイントかなと思っています。

岩泉:共通言語化するというのは、なかなか古くて新しい課題ですね。そのたたき台としてビジネスモデル・キャンバスを使うのは非常にいいアイデアだなと思っています。あとはやはりそこにうまくファシリテートする人がいないと、各所各部からいろんな言語でいろんな見え方でモデルが語られるのかなと。そこも非常に重要かなとは思っております。

中川:やはりそういうのは、経営層というその大上段で見ている方が、ファシリテーションとしてまとめていくような営みをやっていかざるを得なくなるんですかね。

小山:これは日本の企業においてはやはり、ミドルマネージャーの活躍の場面だと思うんです。先ほどの図の中で、やはり経営戦略、プランニングのレベルで考えている経営陣は、現場とはかなり距離ができます。なかなか現場が見えてこない。そうすると、現場の見えている日本企業の真ん中にいるミドルマネージャーが強い。

日本企業において、社長が方針を言って、優秀なミドルマネージャーが実現するパターンがあります。今はビジネスモデルを設計できるミドルマネージャーが現場と戦略をつないで実現を果たしていく、そういう時代になってきたのかなと思います。

ミドルマネージャーに要求されるスキルがかなり高くなっている

小山:その観点で言うと……ちょっと話はずれるんですけれども、実は最近、オープンイノベーションとか、外のベンチャーや企業と一緒になって、あるものを実現していくと言った時に、経営陣からこんなふうに言われるんですよ。ミドルマネージャーに「M&Aを提案するぐらいのことを考えろ」と言うんですよ。

ミドルマネージャーからすると、いや、自分の会社でなんとかするのは、今までの前提条件で、M&Aで会社を買ってくるみたいな発想はまったくなかった、と。

でも、今はそういう時代なんですよね。リソースを外から取ってきて実現させていく。今はミドルマネージャーに要求されているスキルがだいぶ高くなってきていて、昔みたいに社内の最適化だけではなくて、そういったビジネスモデルを扱える人を経営陣も望んでいる。

そういう人たちがその後の次期経営層の次世代リーダーとしてピックアップされていく。私も現場でそういった教育に関わる中で、そういう構図をよく見ているという感じですね。

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