【3行要約】 ・管理職の負担が課題になる中、合同会社Growth Goals 代表の山田氏は、短い会話を積み重ねることで部下との信頼関係を築く「10分間マネジメント」を提唱します。
・多くの上司は部下との対話を効果的に構造化できず、部下から本音を引き出すことができていません。
・山田氏は「共感的に聞く」「参画を促す」「マネージャー側の気持ちを共有する」など6つのスキルを実践することで、部下の自律性を高める対話の場を作ることができると提言します。
前回の記事はこちら 1回10分間で仕組みを回すためにすべきこと
山田弘志氏:インタ・アクションマネジメント(IM)は、うまく話す技術ではありません。理解を確認し、進め方を提案することで対話を前に進めるための構造なんです。そして、この構造を10分間で回せるかたちにしたものが10分間マネジメントになります。

つまりこのタスクニーズを解決する順番、ヒューマンニーズを解決する順番を同時に進めていく。この型通りに進めていくことで、10分でヒューマンニーズとタスクニーズ、両方が満たされる状況が作れることになります。
(スライドを示して)あらためて、タスクニーズを確認していきたいと思います。部下の側から見た時に、上司の側から見た時に、それぞれあると思うんですが。

部下の側から見た場合は、意思決定をしたい。今ある対立を解決したい。解決策を講じたい、問題を解決したい。仕事のやり方を考えたい。
フィードバックを提供するというのは、部下の側から「報告をしたい」という場合のフィードバックですね。変更の実施計画を立てたい。部下の側には常にこういったニーズがありますよということです。
では、そういったタスクニーズに対して、つまり仕事を前に進めたい欲求に、上司はどう答えるのかを整理していきます。
結論を急がず、事実と認識を共通させる
(スライドを示して)これは先ほどの表の中にあった外側の流れをもう一度説明しているものなんですけれども。

まず、オープニングにあったと思いますが、ここでやることは1つ、話し合いの目的を明確にすることですね。そして、なぜこの話が重要なのかを共有します。目的が共有されることで、対話は雑談ではなく、前に進むための時間になります。
次に状況把握ですね。ここでは、状況や任務についての情報を集めます。同時に、問題点や懸念点を明確にします。ポイントは、評価や結論を急がずに事実と認識を揃えることです。ここが、先ほどお話しした、現場からどれだけ正しい情報が取れるか。部下が本音で話せる、現場の真実がつかめられるかが大事になってくるということです。
その上で進むのが、選択案作りになります。ここでは上司が答えを出すのではなく、アイデアを引き出し、話し合い、必要な経営資源や支援を整理していきます。ここで初めてどうやればできそうかという建設的な議論が生まれていきます。
次が合意決定ですね。不測の事態への対応も含めて、取るべき行動を具体的に決める。誰が何を、いつまでにやるのか。ここを曖昧にしないことが実行力を高めます。
最後はクロージングですね。達成状況をどう測るのか、評価方法を確認し、計画の重要ポイントをあらためて強調します。あわせてやる気や納得感を確認して終わるんですが、この一連の流れの全体を通じて支えているのが、下にある2つの行動になります。
1つは理解を確認することですね。理解の相違があると、いつまでも空中戦になってしまいます。ですから、早い段階で(相違を)明らかにし、お互いが共通の理解を持てるようにしていきます。
もう1つは、進め方を提案することですね。目的に沿って効果的な話し合いができるよう、上司が進行役として関わっていきます。これがタスクニーズに応えるインタ・アクションマネジメント(IM)の基本形です。そして、この構造を10分で回せるかたちにしたものが10分間マネジメントになります。
人間としての欲求を示す「ヒューマンニーズ」
そしてヒューマンニーズですね。これもあらためて見ていきたいと思うんですが、人としての基本的なニーズということになります。話を聞いてほしいとか、理解してほしい、尊重してほしい、価値を認めてほしい、信頼されたい・したい、意義ある参画をしたい、意味のある行動をしたいということですね。そして支援をしてほしい。そういったものが人間の欲求としてあるということです。

ここからは、ヒューマンニーズ、人としての欲求にどう応えていくかを整理していきます。大前提として、これは優しくする話ではないということですね。人が自分で考え動くための必要な条件をスキルとして定義したものになります。

まず1つめは、自尊心を大切にするところですが、これは、部下の自尊心を大切にすることです。ポイントは、具体的かつ誠実にということです。曖昧な褒め言葉ではなくて、事実に基づいて価値を認める。これが自尊心を守る基本です。
自尊心は守る、高める、いろんな関わり方がありますけれども。「いいね」だけでは、なかなか自尊心は満たされません。どんな「いいね」なのかをしっかりと伝えてあげるということになります。
理解しようとする姿勢が部下の共感を引き出す
2つめは、共感的に聞き、反応することです。これは同感であるとか同意するということではないです。大切なのは理解しようとしている姿勢を示すことですね。ここで人は「あ、話していいんだ」「考えていいんだ」と感じられるようになります。
3つめですね。相手の気持ちと、その背景にある事実を言語化することです。感情や事実だけでは足りないですね。両方を言葉にすることで、対話は落ち着き、建設的になっていきます。そして協力を求め、参画を促します。この時に重要なのが問いかけです。質問をしてアイデアを引き出す関わりです。
答えを与えるのではなくて、考える余地を残す質問を投げかけます。これが当事者意識を引き出すポイントです。あなたならどうしますか。この状況において、どんな方法がいいと思いますか。しっかりと自尊心を認められ、信頼や共感をしてもらった。その上で問いかけられる質問に自分の言葉で答えてくれるようになります。
主語は「私は」「僕は」になりますね。この時点で相手にボールが渡るということです。自分の仕事という認識を持ってもらえるんですね。
上司の本音を伝えることが信頼を生む
そして5つめですね。自分の考えや感情、判断の根拠を共有することです。このインタークション・マネジメント(IM)で僕が一番重要だと思っているところは、この共有というところです。これは、なかなか日本のマネジメントの考え方ではないです。上司が本音を伝える。上司が何を考え、なぜそう判断したのかを開示することで信頼が生まれてくるんですね。
この時に会社の方針であるとか、状況についてもはっきりと伝えていきます。重要なのは正しさだけではなくて、誠実さです。部下がしっかりと自分に本音を話してくれる。それに対して上司もしっかりと本音で答えていく。この共有がとても重要になります。
この上で最後に、責任は本人に持たせたまま、相手がボールを持ってくれて、(考えや感情を)共有している。その上で側面から支援するという関わりです。
この場合は助けすぎず、放置しないという、このさじ加減がすごく大事なんですが、支援のレベルを明確にすることで自律を促します。「ここまではやるけれども」と言った時に、じゃあ、それ以外は自分がやらなければいけない。自分がやるんだ。やりたいんだ。そういったマインドに変わっていく。この働きかけが、それを現実にできるということです。
これらはすべて、相手のヒューマンニーズを満たすための具体的なスキルなんですね。相手が「自分は価値ある存在なんだ。理解されているんだ。この場に参画しているんだ」と感じられる状況を作っていく。10分間マネジメントは、この機会を毎日の対話の中で意図的に作ります。だから信頼が育ち、自律が生まれ、行動が続くということなんですね。
(スライドを示して)あらためて、この表を見ていただくと、今のことがすべてこの1枚の中に入っています。
型として覚えていくので、例えばオープニングで、しっかりと目的を説明しながら、自尊心を認めていく。状況を把握する。この時には共感の姿勢を示して、相手の本音を聞き出していく。選択案作りの時には、しっかりと問いかけて、相手の参画意識を高めていく。
合意決定の時には、しっかりと自分の本音、会社の考え方も伝えていく。その上で支援・クロージングという流れで伝えていくことになります。これを型としてしっかり覚えて、実践していきます。