【3行要約】 ・チームリーダーは組織のビジョン実現に向けて孤立しがちですが、理想と現実のギャップを言語化することで効果的な導きが可能になります。
・キャリア開発支援を行う4designs株式会社の森隆剛氏は「Lead the Team」の考え方を提唱し、関心テーマを選んで理想と現実を明確化するアプローチを推奨しています。
・リーダーは当事者意識を持ち具体的なアクションを決めると同時に、組織も伴走1on1など5つの制度を設計し、リーダーの孤立を防ぐことが重要です。
前回の記事はこちら チームの理想と現実のギャップを言語化する
森隆剛氏:そして最後、3つ目のデザインは「Lead the Team」です。先ほど私から「リーダーとしてどうありたいのかを考える必要がある」とお話をさせていただきました。

最後にもう1つ、リーダー自身がどんな会社やチームにしていきたいのかというビジョンを持つ必要があります。
先ほどの丸が2つ重なっている図でも言いましたように、「自分がチームとしてどんなビジョン・ミッション・バリューを持つのか?」と「組織としてのビジョン・ミッション・バリューが何なのか?」。この重なりの部分を言語化することによって、リーダーもメンバーも迷うことが少なくなります。
そして、「その目指している状態に対して、今、自分のチームがどんな状態にあるのか?」。ここもリーダー1人で考えるというよりは、メンバーの人と一緒に今のチームの状態や理想を考えます。「そこのギャップを埋めるためにはどのような行動をするべきなのか?」に対しても、なんとなくチームをデザインするのではなくて、そこに対してしっかりと言語化する必要があると考えております。

とはいえ、チームリーダーの方にいきなり「どんなチームにしたいのか?」と問いを投げかけても、なかなか難しい質問かなと我々も考えております。
(スライドを示して)そこで重要なポイントとしては、1番の「組織の関心テーマを選ぶ」。すみません、全部をお話しすることはこのセミナーではできないんですが、これは我々のワークショップでも実際に提供しているコンテンツでございます。
取り組みたい関心テーマを選ぶ
今、「心理的安全性」「人材育成」「挑戦風土」「風通し」「ワークライフバランス」の5つを赤丸でピックアップして掲載しています。これは「本来、組織を構成する上で大事な要素とは何なのか?」のうちの5つをピックアップしております。他にもたくさんあるとは思いますが、我々がワークショップを実施する際には、これプラス5個で10個ですね。
例えばのパターンとして「組織をより良い風土にしていくためには、こういう条件が必要ですよね」みたいな項目をバーッと並べていきます。その中で「チームリーダーが自分ごととして関心を持てるテーマはどれなのか?」を選んでもらいます。
例えば、あるチームリーダーは「いやぁ、自分自身は挑戦ってすごく大事だと思うので、自分のチームはもっと挑戦できるようにしていきたいんだ!」と思うのであれば、挑戦風土を選んでいただきます。別に複数選んでいただいてもいいです。
「やはり、ワークライフバランスって大事だよね。チームとしても、ワークライフバランスを大事にできるチームにしたいんだ」という人であれば、ワークライフバランスを選んでいただきます。
ご自身が選んでいただいたテーマに対して、例えば挑戦風土でいくと、先ほどお見せした図の「このチームで、すごく挑戦できている理想の状態ってどんな状態ですか?」というのをチームで言語化します。そして、そこに対して「じゃあ、今の我々の挑戦風土ってどんな感じなんだろうな?」というところを言語化します。
「ここのギャップを埋めるためにチームとして何をするか?」ももちろん大事なんですが、やはり「リーダーとして、ご自身がどんなアクションを取っていくのか?」を言語化すること。それはチームのみんなが求めていることでもありますし、チームのみんなが目指したい状態でもあるからです。
そこに対してリーダーがどんどんアクションを取っていくと、先ほどお見せした有能感や自主性などに対してもダイレクトにアプローチできるアクションになってきます。
当事者意識を持ってリーダーとしてのアクションを決める
今申し上げましたように、ばくっと「どんなチームにしたい?」という問いを投げかけると、非常に抽象的になります。なので、セグメントを切って、ご自身が最も関心を持てるところで、まずは理想と現状を可視化して具体的なアクションを描くことが非常に有効なアプローチだと考えています。
(スライドの)2番の「正解を求めない」は、先ほど申し上げましたとおりです。
そして、3番の「当事者意識の最大化」です。やはり、自分が関心を持てるテーマですと、自分自身もやりやすいです。やりやすいということは、成果にもつながりやすいです。自分の関心から選ぶことで熱量が生まれ、そして成果にもつながっていきます。今、申し上げましたように「リーダー自身がどのテーマに対して関心を持つのか?」をデザインしていくのが非常に重要なポイントかなと思っております。
その上で、「リーダーとしての(自分の)アクションを決める」というところです。こちらはやや抽象的な言葉が並んでおりまして、後ほど「具体的に何ができるのか?」を別スライドに示します。
例えば「権限」。自分ができることは何なのか? あとは、「関係性でできること」。誰を頼ったらいいのか? そして最後に、「日常の声掛け・問い」です。こういった、「日々、誰とどんなコミュニケーションを取ることで目標を達成しやすくなるのか?」を、ちゃんと具体的なアクションとして落とし込んでおくことで迷わない。
目標を決めた後に「じゃあ、結局、具体的に何をするんだっけ?」となってしまうと、目標は決めたが2ヶ月経っても3ヶ月経ってもぜんぜん進捗していない状況って、リーダーにとっては非常にストレスかなと思います。
ですので、次にどんなアクションができるのかについて、自分でできるところと頼らなきゃいけないところをデザインすることが非常に重要かなと考えております。「最終的にはどこにヘルプを出すか?」とか「誰を押さえておくべきなのか?」というところです。
リーダーから始めてメンバーへと学習風土を広げる
最後に、このようなかたちでリーダー自身が動きやすいかたちをデザインすることによって、リーダー自身が主体的に学び、行動する。そして、そうなることはそのまま組織にとってもプラスになりますし、その姿勢はリーダー1人ではなくて周りのメンバーに伝播していきます。
つまり、例えばチームメンバーが4人の場合、(リーダーが)1人でがんばっている状態から、4人が「学び行動する個人」になります。そうなった場合、組織に対する大きなインパクトが生まれます。
「学び行動する個人」は、どのようなキャリアになったとしても、どんな組織でも学びます。ここに書いていますが、「キャリア明確性の高い個人はどんな組織でも学ぶ」といった研究データもございます。その一部署でのリーダーとしての体験が、次の部署でのリーダーとしての経験にも活きてきます。
というところでまとめますと、「Lead Self」「Lead Others」「Lead the Team」というかたちで、ソフト面ではリーダーをトレーニングしていくことが非常に有効であると我々は考えています。
リーダーを孤立させないための5つの制度デザイン
続いてハード面の話をさせていただきます。こちらはご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、我々はいろいろな会社さまのご意見をうかがう中で、いろんな事例を聞いてまいりました。実際にサービスとして提供していることもございますし、あとは他社さまで実証されていて、うまくいった事例等もございますので、そちらのご紹介をさせていただきます。
大きく5つの(制度を)デザインしておくことが、我々の中では有効と捉えております。(スライドを示して)まず①が、「初リーダー90日間・伴走1on1」ですね。リーダーを1人にしないということです。②が「斜めメンター」です。こちらに関しては後ほど説明を差し上げます。
③が「判断フレームの共通化」です。とはいえ、具体的なスキルやフレームがあるほうがリーダーとしても動きやすいというところは、我々ももちろん承知をしております。なので、具体的にどんなフレームがあるのかを、後ほどご紹介差し上げます。
そして④が「同期リーダー」です。つまり、同じ苦しみを持っているであろうメンバーたちから「リーダーとしてどのようにその悩みを乗り越えているのか?」について聞くということです。つまり、上からや下からではなく、横からのアプローチも有効にデザインすることによって、リーダーの方が苦しくならないような構造・仕組み化をすることが可能です。
最後に、⑤には「行動フィードバック」と書いています。こちらは「リーダーに、どのようにプラスのフィードバックをしていくのか?」というデザインでございます。
90日間の伴走・1on1で不安を言語化
では、順番にいきます。まず①の「初リーダー90日間・伴走1on1」です。特に、リーダーになった直後ですね。この(スライドの)右下には、「着任直後の『リアリティ・ショック』の緩和」と書いてあります。特に気をつけるべきは、異動してすぐの時です。やはり、ここが一番ギャップが大きいところですので、小さな苦しさや不安も逃さずに拾っていくことが非常に大事です。
具体的に何をやるのか。もう実際にやっている会社さまもいるとは思うんですが、私は特に、最初の3ヶ月間は月に2回以上の定例1on1が効果的だと考えております。
その目的は何なのか? この(スライドの)下の「役割」というところです。特に大事なことは、不安の言語化・思考整理です。答えを出すことは特に重要ではなくて、「今、何が苦しいのか? 何に対して不安を持っているのか?」の言語化が非常に大事です。
人間の性質として、自分が言語化したことと理想の状態にギャップがあれば、脳は勝手に「どうつじつまを合わせるのか?」と考えようとします。脳は整合性を取るという特徴があるからです。
ですので、先ほどお見せしたスライドのように、理想を描く。そして、現段階での不安点やうまくいっていないところを描く。そして、「ここのギャップをどう埋めていくのか?」は、基本的にはリーダーの主体性に任せる。また、そこで不安が出てきた場合にはしっかり話を聞いていく、というところです。
先ほど言った「自律性」というところの有能感を創出するためには、自分で選択して動いているという感覚が非常に大事です。あくまでも、この1on1の目的は答えを出すことではなく、不安の言語化・思考の整理に留める。前提としては、しっかりとチームやリーダーとしての理想を描けている状態を作っておくというデザインが有効かなと考えております。