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これでイイのか⁈「指示を待つ部下」webセミナー(全4記事)

なぜ上司は“良くないとわかっていながら”指示を出してしまうのか “部下の挑戦を評価しない上司”が生まれる背景

【3行要約】
・「指示を出し過ぎは良くない」とわかっていながらも指示してしまう上司の行動パターンが、組織運営の課題として注目されています。
・部下育成よりも目先の成果を重視する文化や、挑戦に不寛容な組織風土が、自分でやりたがる上司を生み出している現状があります。
・管理職は部下の自律性を高めるため、明確な目標共有と失敗を恐れない環境づくりを通じて、指示に依存しない組織文化を構築すべきです。

前回の記事はこちら

なぜ上司は“良くないとわかっていながら”指示を出してしまうのか

髙桑由樹氏:ここからは、「指示する上司の心理背景」を見ていきます。多くの上司の方は、「指示をし過ぎたら良くない」ということ自体は、薄々わかっていると思います。それでも、つい指示を出してしまう。それはなぜなのか。そこを掘り下げていきます。

「なぜ上司は指示を出してしまうのか」。これも深く見ていくと、大きく2つの原因があります。

1つ目は、「自分でやりたがる上司」です。これは、部下の成長よりも、目先の業務を優先してしまうケースです。

部下育成が大事だということは、みなさんわかっていると思います。「部下育成をしなくちゃいけない」「重要だ」という認識はある。ただ、部下育成は手応えが見えにくい。成果が出るまでに時間がかかります。だから、「待っていられないから、自分でやってしまう」という心理が働くわけです。

さらに、管理職は会社から「部下を育ててください」と求められていますが、先ほども言ったように、部下育成は結果が見えにくい。「どこまでやれば、どうなれば、上司として評価されるのか」という評価基準が曖昧なまま走っているケースも多いと思います。

そうすると、「部下育成をがんばっても評価につながらないなら、もう自分でやったほうがいい」という考えになってくる。結果として、「自分でやりたがる上司」が生まれてくるわけです。

もう1つが、「挑戦を評価しない上司」です。なぜ、こういう上司が生まれるのかというと、上司自身も「失敗して評価を落としたくない」と思っているからです。そうなると、部下が「今度これをやってみたいんです」と言ってきても、「余計なことをしなくていい」と止めてしまう。

上司自身が失敗を恐れている。その背景には、会社全体として、挑戦することに不寛容である、あるいは挑戦に慣れていないという組織のあり方があります。つまり、「自分でやりたがる上司」と「挑戦を評価しない上司」。この2種類の上司が生まれてくる背景には、「失敗せずに、正しくやること」を重視する組織カルチャーが横たわっている、ということです。

会社として“部下を育成できる上司”を増やすには

では、「この問題をどう解決していくのか」というところを考えていきます。ここでは、「指示出し上司を卒業するために」という観点でお話しします。

これまで原因をいくつか挙げてきましたが、まず1つ目は、「部下育成に手応えを持てる状態をつくる」ということです。そのためには、部下の成長ステップを明確にすることが重要です。

成長の段階を明文化し、見えるかたちにする。そうすると、上司も「ちゃんと進んでいるな」と実感できますし、部下自身も「前に進んでいる」という感覚を持てるようになります。

2つ目は、管理職の評価基準に「育成」をしっかり組み込むことです。「部下を育ててください」というメッセージを明確にするだけでなく、「誰が、どのレベルまでできる状態を目指すのか」というところまで落とし込む必要があります。

評価基準にはウェイトがありますから、その中で育成にきちんと重みを置く。そこに会社としての意思を示すことが大事だと思います。

3つ目は、会社として、組織として、「新しいことに挑戦する」姿勢を持つことです。これは、新規事業を立ち上げるといった大きな話でなくても構いません。例えば、新しいお客さんを探しに行ってみるとか、新しい商品を提案してみるとか、そういったレベルでもいいと思います。

新しいことに取り組むと、必ずしも最初からうまくいくとは限りません。そうすると、結果だけでなく、そこに至るプロセスに自然と目が向くようになります。挑戦する過程そのものにスポットライトが当たりやすくなるわけです。そういった意味でも、挑戦を後押しする活動は重要だと思っています。

この1つ目と2つ目で、上司が部下を後押しする環境が整っていきます。そうすると、部下ができること自体が増えていきます。そして3つ目で、組織全体としてチャレンジを後押しできるようになる。結果として、部下が自由自在に動ける環境がつくられていく。このような環境をつくっていくことが、全体としての大きな方向性だと考えています。

指示なしで動ける部下を育成する6つのポイント

では、ここまでを踏まえたうえで、より具体的に「どのように解決していくのか」を見ていきます。3番目が「指示なし部下の育成ステップ」です。

ここでも、今回ご参加いただいたみなさんに問いを投げかけました。「あなたの部下が、今すぐ指示ゼロで動けるようにするには、どうしたらいいでしょうか?」という問いです。あえて「今すぐ」と書いたのには理由があります。

例えば2年、3年と時間をかければ、その間に部下は成長しますし、結果として指示がなくても動けるようになるかもしれません。ただ、それは上司の打ち手というより、部下の成長に委ねた話になります。上司がコントロールできる範囲で、「今すぐ何ができるのか」を考えないと、根本的な解決にはつながらない。そういう意図で、この問いを投げかけました。

つまり、部下の成長を待たずとも、「上司のやり方次第で、どうすれば指示ゼロに近づけるのか」という問いです。こちらについても、さまざまな意見をいただきました。整理していくと、スライドの6つのグループに分かれてきましたので、順に見ていきます。

まず1つ目は、「上司から部下への情報提供」です。目指すべき明確な目標や完成イメージを共有すること、仕事の全体像をきちんと伝えること。そういった情報共有が大事だという意見です。

次に、「部下自身で考えることを手伝う」という視点です。例えば、「上司として、どんなサポートがあったらいいと思う?」とか、「どうしたらできそうかな?」といった問いを、部下に投げかける。指示を出してしまうと、部下は考えるプロセスを飛ばしてしまいます。あえて考えさせることに意味がある、という意見でした。

3つ目は、「失敗を怖くないものにする」です。結果がどうであれ、まず行動したこと自体を評価する。「動いたね」「行動したね」と声をかける。そうすることで、挑戦へのハードルを下げていくという考え方です。

そこから派生して出てきたのが、「仕事を渡す」という話です。いきなり大きな仕事を任せるのではなく、失敗しづらいように仕事を小さく切り分けて渡す。失敗して萎縮してしまうのを防ぐための工夫として、こうした意見もありました。

「指示ゼロ」は部下の成長ではなく、上司の設計で決まる

次に、「部下の育成プロセスを設計する」という視点です。部下が1人でできるようになるまでのプロセスを明確にすることや、最初は上司とペアになって覚えていく、といったやり方です。

そして、「上司が一歩引く」という意見もありました。つい「こうしたほうがいいんじゃない?」と口を出したくなる場面で、あえてそれをしない。「今回は指示を出さないから、自分でやってみて」と、先に宣言してしまう。上司自身が姿勢を変えるという話です。

他には、かなり極端な意見ですが、「自分が異動する」というものもありました。上司が異動して頼れる人がいなくなれば、部下は自分でやらざるを得なくなる。環境を強制的に変えるという意味では、1つの考え方だという意見でした。

最後に「自分で考えるメリットをつくる」という視点も出てきました。処遇の改善ですね。考えて動くことで、自分の実入りや処遇が良くなる。そういう構造をつくると、部下としても自分で進んでやりやすくなるよね、という意見です。

本当にいろんな意見が出ましたし、どれも有効だなと思います。ただ、ここに挙がったものだけが正解というわけではありません。まだまだ、会社ごとに、組織ごとに、いろんなアイデアが出せると思っています。

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