【3行要約】
・多くの管理職が部下の主体性不足に悩む中、指示待ち部下の典型的特徴が6つのパターンで現れています。
・髙桑由樹氏は、スキルがあっても指示を待つ部下の背景に上司の働きかけがあると分析。
・組織文化と上司の関わり方を根本から見直し、部下の自律性を引き出す仕組みづくりが求められます。
「指示待ち部下」の6つの特徴
髙桑由樹氏:それでは「これでイイのか⁈『指示を待つ部下』」というテーマで進めていきます。今回は、「自分ごと感」が弱い部下に対して、どう当事者意識を高めていくのか、という話です。
今回のセミナーでは、「指示待ち部下」にフォーカスしますが、「指示待ち部下」と一言で言っても、実際にどんな言動を指しているのかは、人によってイメージが少しずつ違うと思います。まずはそこを揃えるところから始めたいと思います。
スライドには「こんな部下、いませんか?」と書いています。よく見聞きする言動を、いくつか挙げてみました。

例えば、①手が空いているのに、自分から仕事を探そうとしない。②会議や打ち合わせで意見を求められても黙っている。③「言われていなかったので、やっていません」と説明する。④問題が起きていても、指摘されるまで報告しない。⑤「前からこうなので」と、現状を前提に話す。⑥自分の担当範囲を「言われた作業」だけに限定して捉えている。こういった6つを挙げてみました。
どうでしょうか。みなさんの会社に、こういった部下はいらっしゃいますか。今回は「指示を待つ部下」をテーマに、「こうした言動が散見される部下を、どう問題解決していくか」を深掘りしていきます。
指示待ち部下の割合は5割ぐらい
ちなみに、今回のセミナーに参加いただいたみなさんには、最初に問いを投げかけました。先ほど挙げたような指示待ち部下が、組織の中でどれぐらいの割合でいるのか、という問いです。
すると「3割ぐらい」「5割ぐらい」といった声があり、人によっては「7割ぐらいを占めている」といった意見もありました。押し並べて言うと、だいたい半分ぐらい、5割ぐらいが「こういった状態だ」という話でした。
ですので、会社や組織において、インパクトの大きい問題だとあらためて感じた次第です。今回はこの問題を解決していくわけですが、まずセミナーのねらいをご案内します。
理想とするのは、「自ら考え、自ら動く状態」です。この状態を実現するには、要素が2つあります。1つは自分で考える力。もう1つは、自分ごととして捉える姿勢。この2つです。
スライドには「スキル」と「スタンス」と書いています。

今回は、この後者、スタンスのほうです。自分で考える力を持っているのに、できるはずなのに発揮しない。そうした人が、指示を待つ部下に該当すると思います。まさに姿勢、スタンスですね。部下のスタンスを高める方法を、ここから深掘りしていきます。
今回のプログラムは、4つの構成で進めていきます。1つ目が「部下が指示を待つ理由」です。部下が、どんな気持ちで、どんな考えで指示を待っているのかを見ていきます。
ただ、指示を待つ部下がいる一方で、その反対側には、指示を出す上司がいます。部下だけでなく、上司の側もあわせて捉えないと、この問題の全体像は見えてきません。そこで2つ目として、「指示する上司の心理背景」を見ていきます。
この1つ目と2つ目で問題を把握した上で、解決策に進むのが3つ目の「指示なし部下の育成ステップ」です。そして4つ目が、「自組織をどう変えていくか」。この4つの構成で進めていきます。
部下が指示を待つ4つの理由
ではまず、「部下が指示を待つ理由」についてです。ここでも、今回のセミナーに参加いただいたみなさんに、「どうして部下は指示を待つのでしょうか?」という問いを投げかけました。指示待ち部下の姿を見ると、どうしてもイライラしてしまって、「なぜなんだろう」と立ち止まって考える余裕が、なかなか持てないことも多いと思います。
今回は、あらためてじっくり考えてもらう機会になったのではないかと思っています。いろんな意見をいただきましたが、大きく整理すると4つに分かれましたので、順に説明していきます。

まず1つ目は、「やる気はあるが、やり方がわからない」というケースです。例えば、仕事の全体像が見えていない、役割分担が曖昧で、何をすればいいのかわからない、といった状態です。これは、ある意味では「致し方ないな」と感じる部分でもあります。
2つ目は、「スキルはあるが、失敗したくない」というケースです。失敗して怒られるのを避けたい、あるいは、トライしても給料が変わらないので、率先して動いてもやり損になってしまう、やる必要がないと感じている。そんな意見もありました。
3つ目は、「スキルはあるが、上司に対する反発がある」というケースです。例えば、「どうせ上司は自分を見ていないから、やっても無駄だ」と感じている。あるいは、以前、せっかく提案や意見を出したのに、上司にひっくり返されてしまった経験があって、「どうせやっても無駄だ」と諦めの気持ちが生まれている。上司に対する思いが背景にあって、指示待ちになっている、という意見です。
そして4つ目が、「そもそも、自分の仕事だと思っていないのではないか」というケースです。これは、「今まで自分がやり過ぎてしまっていたのかもしれない」と、上司側が振り返るような意見もありました。その結果、部下が自分で考えることに慣れていない。そうした背景があるのではないか、という意見も出ていました。
なぜ自分で判断して動ける仕事なのに上司の指示を待つのか
いろんな意見が出てきましたが、ここから指示待ち部下の問題の原因をひもといていきます。大きく分けると、原因は2つあります。

1つ目は、「スキルが足りないから、指示を待つ」というケースです。先ほども出てきましたが、仕事の全体像が見えていないから、聞かざるを得ない。あるいは、習熟度が足りず、1人では仕事を回せないので、力を借りるしかない。これは、ある意味では致し方ない部分だと思います。
もう1つは、「自分でできるのに、指示を待つ」というケースです。ここが「なんでだろうか?」というところですよね。これを、ものすごくシンプルに言うと、「上司が指示を出すから、部下は指示を待つ」という構造になります。
本当は部下自身が、自分でやりたいと思っている場合でも、上司が都度、指示を出してくる。そうすると部下は、「ここまでやりました」「できました」と報告して、上司の歩調に合わせて仕事を進めないといけない。つまり「指示を出されるから、指示を待つようになる」という構造が生まれます。
「指示待ち部下」が増えた理由は“上司の関わり方”
大きく2つの原因がありますが、問題として捉えるべきなのは、やはりこの2つ目だと考えています。

そこで、この「上司が指示を出すから、部下は指示を待つ」という点を、もう少し掘り下げていきます。
よく考えてみると、人は本来、「自分で決めたい」「自分で考えたい」という欲求を、本能的に持っています。自分で決めてやってみて、「自分には能力がある」と感じたいし、周囲からも認められたい。そうした基本的な欲求を持っているはずです。
それにもかかわらず、現実には「上司が指示を出すから、指示を待つ」という状態になっている。これは、部下が好き好んで指示待ちをしているというよりも、今の環境に適応した結果として、「指示待ち」という行動を選んでいる、と捉えたほうが正しいのではないかと思います。
ということで、指示待ち部下の問題は、「指示する上司の問題である」というふうに見えてきます。となると、この「指示をする上司」そのものに向き合わない限り、この問題は解決しないということになります。