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「語られた戦略」を「語れる戦略」へ──共通言語をつくるPdMの試み(全2記事)

現場と経営のズレを生む“腹落ちできない戦略” 社員の違和感を解消する「戦略の再編集」で起きた変化

【3行要約】
・戦略は経営層から「語られた」だけでは不十分で、組織メンバー全員が「自分の言葉で語れる」ようになって初めて実行力が生まれるという課題が多くの組織に存在しています。
・コドモン社では「どこにズレがあるか」を発見する読み合わせから始め、疑問や違和感を安全に共有できる場づくりを重視した戦略浸透に 取り組んでいます。
・戦略浸透にコストをかける理由は「誠実さ」と「組織の価値観」にあり、メンバーが自分の言葉で語れる組織を目指すことが、最終的に プロダクトや事業を推進する力になると考えられています。

前回の記事はこちら

どこにズレがあるかを発見する場をつくる

重山由香梨氏:後半に入っていきます。まず私たちがやったのは、「理解できているか」ではなくて、「どこにズレがあるか」というのを発見する場を作りました。対象はマネージャーとテックリードを27名集めたんですけれども、戦略資料を一緒に読み合わせしながら、疑問とか違和感とか解釈の差を、すべてMiro上にばーっと洗い出していきました。

ここで大事にしていたのは、「理解できていないことを否定せずに、安全な空気を作る」というところです。やはりこのメンバーたちが戦略の主な話し手になっていくので、そこを実現していくためには、メンバーたちが言いたいことをこの場で言える雰囲気にすることが、とても重要かなと思っています。

自分の言葉で戦略を語れるようになる準備をする

(スライドを示して)続いてこちらは、読み合わせのステップを具体的に書いていくかたちになります。まずやることはいちばん根幹にある部分で、「どう感じたか」を全部洗い出してもらうところです。

戦略に対して腹落ちしない理由の多くが、実はロジックではなかったりしていて、「なんとなく納得感がない」「違和感がある」みたいな言語化しやすいモヤモヤだったりするので、そこを全部出し切ってもらう。これを飛ばしてしまうと、後でどんなロジックを積んでもかみ合わなくなってしまうので、最初にここを徹底しました。

続いて視点を少し広げて、「これを全体に伝えるなら、どこが詰まりそうか」というところを議論していきます。おもしろいのは、「自分だったら理解できるけど、組織に伝えるとしたら、ここがネックになるんじゃないか」みたいな他者観点が出てくるところです。このステップで、個人の理解と組織としての理解が整理されていきます。

3つ目は、「もし自分が話すならどう話すか」を考えてもらうステップになっています。これはまさに今日のテーマでもある、「語られた戦略」から「語れる戦略」への根幹に当たる部分になります。

人って、聞いた説明をそのまま話すわけじゃなくて、やはり自分の中で咀嚼して、自分の言葉に組み替えていく時間が必要かなと思います。なので、このステップでみんなが自分の言葉で語る準備ができていきます。

最後に、これまでの3ステップで出てきた観点をもとに、開発部向けに伝わる順番に再編集していきました。ここは情報整理ではなくて、イメージでいうと物語の編集に近いような作業になるんですけれども、「どの順番なら腹落ちするか」「どこに補足が必要か」「どう書けば認識がずれにくいか」みたいなところを意識しながら、戦略資料の補足版を作りました。

ここで再編集した内容を、開発部全体に共有会と質問会として実施しました。ここでのポイントは2つで、1つ目は先ほど読み合わせで気づいたズレを反映すること。2つ目は、その場で出たズレにも、一つひとつ向き合うということです。

Slidoで質問を集めて、1時間以上、30個以上の質疑に時間を使いました。その時間の中で、正直「どういう回答をすべきかなぁ」みたいなものも出てきていて、途中でマネージャー同士で、ちょっとアイコンタクトを取って相談するみたいなことであったりとか。

あと、回答の流れで参加しているメンバー同士で議論が白熱してくることもありました。なので、主催者側もそうなんですけど、参加してくれているメンバーにとっても、とてもエネルギーを使う時間になったかなと思います。ただ1つ、「モヤモヤを持ち帰らせない」ことをゴールに置いて実施しました。

振り返ると、このプロセスの本質は本当にシンプルです。読み合わせはズレを発見する装置で、共有会はズレを回収して組織のストーリーに統合していく場所です。「戦略そのものは変えずに、伝わる構造に変えることができたな」と感じています。

戦略を自分の言葉で説明できる人が増えた成果

その結果、少しずつではあるんですけど、組織の地盤に変化が出てきました。まず、開発部の共有会に参加した9割のメンバーが、「納得できた」と回答してくれました。また、戦略とか施策の関係性を自分の言葉で説明しようとしてくれる人、説明できる人が増えてきました。

一つひとつは派手な成果ではないんですけれども、説明できる人が増えるというのは、組織の地盤を変えていくんだなと実感しています。とはいえ、ぜんぜんここで終わりではなくて、そんなきれいな話ではありません。

今、継続して向き合っていくテーマとしては、1つ目は「North Starの再定義」です。前半にもあったように、コドモンって複数の領域を抱えているので、構造的にどうしても個別最適と全体最適がぶつかりやすい状況にあります。なので、最適な方向を維持しながら、全体として同じ方向を見るために、北極星をどう設計していくかというのは、引き続き議論が必要かなと思っています。

もう1つは「指標の再構築」で、複数のプロダクトとか複数の事業を運営されているとわかると思うんですけども、やはり(それらを)横断して見た時に、(指標が)北極星だけだと、私たちが何に向かっているかがずれやすいところがあると思っていて。

せっかく再編集プロセスで認識を合わせたので、やはり指標としてそろえていく、共通言語として作っていくのが必要かなと思っています。戦略浸透に加えて、こうした構造そのものを整えていくことにもチャレンジしています。

戦略の浸透にコストをかける理由

最後になんですけど、「なんで、ここにこんなに時間をかけるの?」と思っていらっしゃる方もいると思うんですけど、その話をさせてください。私にとっては、2つの理由があります。1つ目は、誠実でありたいから。コドモンのカルチャーデッキに「誠実であろう」という行動指針がありまして、私はそれがすごく好きなんですけども、(この取り組みは)そこにもひも付くものになっています。

戦略ってもちろん顧客のためではあるんですけれども、同時に一緒に働いてくれている仲間のためでもあると思います。ズレを放置するということは、さまざまな場面で負債を積み重ねていくことと一緒だと思っています。なので、誠実であるために、やはり前提をそろえる努力は続けたいなと思っています。

2つ目なんですけども、これはプロダクトマネージャーというかマネージャーとしての意志です。読み合わせとか対話って、本当にこの再編集プロセスを見ていただいてもわかるんですけど、本当にコストも時間もかかっていて、それでもそこに時間を投資するかどうかっていうのは、「私たちはどんな組織でありたいのか」という価値観に直結するかなと思います。

ズレを放置する組織でいいのか、それともメンバーが自分の言葉で語れる組織を目指していくのか。難しいかもしれないんですけれども、私は後者を選びたいなと思っています。

ミッションのために組織をアップデートし続ける

コドモンは単なる業務支援SaaSの会社ではなくて、子どもを取り巻く環境そのものを良くしていきたい会社です。本当にまさに今、向き合っていることでもあるんですけども、やはりすごく大きなミッションを掲げているので、どうしても事業フェーズや環境の変化に合わせて、私たち自身の価値観やスタンスをアップデートするタイミングが出てくるかなと思います。

そのプロセスは、先ほどご説明した再編集プロセスのように、どうしても時間もコストもかかるものなんですけども、これを一つひとつ積み重ねていくことこそが、最終的にプロダクトや事業を推進する力になるんじゃないかなと感じています。

「戦略は『語られた瞬間』ではなく、メンバー一人ひとりが自分の言葉で『語れるようになった瞬間』に、組織の力になる」。最後のスライドはめっちゃカッコつけちゃって恥ずかしいんですけど(笑)。やっていることは本当に簡単でシンプルだと思うので、すぐにでも採り入れやすいかなと思います。今日の話がみなさんの組織で、その一歩を作るヒントになればうれしく思います。

すみません、最後になるんですけど、コドモンがプロダクトマネージャーの採用を強化しておりますので、カジュアル面談、もしご興味を持っていただいた方は、ぜひお声がけいただければなと思います。それではご清聴ありがとうございました。コドモンの重山でした。

(会場拍手)

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