【3行要約】・生成AIの活用がキャリア研修に変化をもたらす一方、思考力低下のリスクも懸念されており、適切な設計が求められています。
・栗原和也氏は「現代版プロティアン・キャリア理論と生成AIは相性が良く、変化に適応するアダプタビリティを強化できる」と指摘。
・効果的な研修には「まず自分で考え内省する時間」と「その後のAI活用」のバランスが重要で、個々の考えに寄り添った支援が必要です。
前回の記事はこちら 研修設計に「生成AIをどう組み込むか」
栗原和也氏:ここまでAIによる変化に少し触れてまいりましたが、実際に研修の中でどう組み込んでいるのかというところも、背景から踏まえて、ちょっと確認をしていきたいと思います。
今後のキャリア設計のヒントということで、私たちは、キャリア研修も提供させていただいているのですが、大きな転換点としては、地図を渡す、もしくは地図を作る研修から、コンパスを授ける研修になるんじゃないかと考えております。
つまり、変化が激しくなってきているので、提供しているキャリアパスやロールモデルといった地図そのものが陳腐化してしまうリスクがあるんじゃないかなと捉えています。
むしろ、常に方向性を判断するような軸、コンパスを提供することで、各自がその変化に対してどう考えるか、どう進んでいくかを考えられるようにする。これがキャリア研修の大きな転換点なんじゃないかなと捉えております。
目指すのは「自立」ではなく「自律」
こういうふうに考えると、けっこう、「ジリツ」するという話になって、「辞めちゃうんじゃないか? 独立しちゃうんじゃないか?」というお声もいただくのですが、私たちの目指しているキャリア研修のゴールは、(スライドの)左側の「自立」ではなくて、右側の「自律」であると捉えております。
つまり、組織への帰属意識が低くて、個人の利益を優先して独立する、転職するというようなキャリア観ではなく、今いる場所から自分の成長と組織への貢献をきちんと重ね合わせて、「ある種客観的に見て、そのほうが後々自分にとってもプラスだよね」と。
これから先いろんな変化が起こり得る中で、戻る可能性もあるし、今いる方との関係性が次なる可能性を開く、変化に適応するヒントになるかもしれないということをきちんと認識して、主体的に価値を創造していく、自分を律するオーナーシップを目指していきたいと考えております。
現代版プロティアンの骨格「アイデンティティ×アダプタビリティ」
これが、ダグラス・ホール博士が提唱して、田中先生(田中研之輔氏)が現代の日本に持ってこられた現代版プロティアン・キャリア理論の骨の1つであるアイデンティティとアダプタビリティであると捉えております。
自分勝手なキャリア形成ではなく、自らAIも活用しながら、AIに振り回されずに客観的に見ながら統合していく、適応していく、倫理的にも成長していくということを目指していくのがキャリア開発のポイントだと捉えております。
行動と実践がキャリアを回し「合わない」も資産になる
じゃあ実際にどういうふうにやっていけばよいかというと、やはり経験学習にもあるとおり、行動・実践がとても重要なキャリア開発のポイントになると思っています。
高速化していく時代の中で、実際にAIも活用しながら、目標の立て方やプランニングをより短い時間の中で精度の高く作ることができるので、実践に時間を割くことができます。
実践に時間を割くことができれば、軌道修正もすることができますし、自分自身へのキャリアの蓄積が増えていくので、「あれは違った」とか「自分に合わなかった」というアイデンティティも強化されていきます。
それによって、また新たなるアダプタビリティ、変化適応に対するチャレンジを開始して、それによってさらにアイデンティティが深まっていくという、この循環を回していくのが今のキャリア開発のポイントかなと考えております。