「その人にどうなってほしいのか?」から考えて伝える
そして2つ目ですね。これはワークで考えてみたいなと思います。これも目的論の考え方になるんですが、「相手にどうなってほしいか?」につなげて伝えるというフィードバックの方法になります。

原因(論)で「どこができていないのか?」「何がダメなのか?」ではなくて、「その方にどうなってほしいのか?」から発想して、つなげて伝えるというものになります。
メモができるようなものをご用意いただけますでしょうか。みなさま、部下の方はいらっしゃいますかね? 部下がいらっしゃる方は、改善してほしい行動がある部下を1人決めていただいてもよろしいでしょうか。決めていただいて、その方の改善してほしい行動も書き出していただけますでしょうか。
例えば「なかなか報告してくれないこと」とか、「期限までに終わらせてくれないこと」とか、「時間を守らないこと」とか、「『やる』って言ったのに、やらないこと」とか、書き出してみていただいてもよろしいでしょうか?
差し支えなければ、みなさまの進捗を知るためにも、チャットに書いていただいてよろしいですか。「ミスを指摘すると逆切れされて、穏やかに受け入れてほしい」。そうか、大変ですね。「なかなか報告してくれないこと」「メールの返信が遅いこと」「申し込み関係で忘れてしまうこと」「抽象論ではなく、具体的なアクションを考えてほしい」「先延ばし癖を改善してほしい」。ありがとうございます。
ここに出していただいたことを、そのまま「直してよ!」って言って直してくれれば、きっと苦労していらっしゃらないだろうなと思います。今日ここに参加してくださった方が「なかなか改善しなくて困っているなぁ」と思うということは、けっこう大変な方がいらっしゃるのかなと推察をしております。直してほしいことに対して、原因論のコミュニケーションで「ここができてないから直してください」と言って直ったなら(それは)それで良いと思うんですね。
それで直らなかった場合に、先ほどの目的論の考え方、報告をしてくれた時に「ありがとう、助かるよ」というようなことを見つけてフィードバックをすることもしていただければなというのが1つ目でございます。
あとは、ハラスメントリスクを抑えるためという文脈で言いますと、できていないところばかりを指摘してしまうと、メンタルダウンにつながってしまうということもありますので、できるだけ、できている時を見つけて指摘をするというのが1点目です。
どんな姿に成長してくれたら最高か?
そして2つ目がここからの本題になります。ちょっと突拍子もないことをおうかがいするかもしれませんが、考えてみていただきたく。
先ほど「こういう行動を改善してほしい」ということを出していただいたかと思うんですが、その行動を改善してもらうことを越えて、その方にどんな姿に成長してもらえたら最高でしょうか。どんな存在になってもらえたらいいでしょうか。すぐに出てこない可能性もあるかと思うんですが、みなさまイメージをしていただきたく。
「こういうところを直してほしいな」と。先延ばし癖も直った。具体的なアクションも考えてもらえるようになった。なかなか報告してくれなかったのが、報告してくれるようにもなった。メールの返信もしてくれる。申し込みを忘れなくなった。穏やかにミスを受け入れるようになった。それがもう当たり前になったとして、半年後。みなさんが「本当に成長したなぁ」と(思える)。「本当にこうなってくれたらいいなぁ」という半年後。どうなってくれたら最高でしょう?「どんな時に、どんなことをしてくれていたらいいかな?」でも(大丈夫です)。またチャットに書いていただいてもいいですか?
例えば「半年後、お客さまとの商談の場で、こういうことを提案できて、お客さまから信頼してもらえる存在になってほしい」とか。「新人に対してこういう教育をしてくれて、チームの中心となる人になってほしい」とか。できる・できないは置いておいて、「こうなってくれたら本当にいいな」「こういう存在になってくれたら助かるな」というのを、仮でいいのでまたチャットに書いていただけますでしょうか?
期待も含めることで、相手はフィードバックを受け取りやすくなる
メンバーが今できていないところ、ダメなところとか、直してほしいところの原因を追及するのではなく、メンバーにそもそもどうなってほしいのか、どういうふうに成長してほしいのかから発想するのが、これまでご紹介をしてきた目的論の考え方です。それで、ここからどうフィードバックに落としていくかと言いますと……。
(コメントを見て)「対話して、お互いの目的を確認し合う感覚が必要」。すばらしいですね。もし(相手に)聞けたら、その方がどういうふうに成長していきたいのか、どんなふうになっていきたいのかというのを、まずこちら側が聞いておくことも大切ですね。
それを聞いた上で、「自分としてはこんなことができるようになってほしい」「こういう存在になってほしいんだ」というところを伝えて、「そこに向けて今これを改善してほしいんだ」というふうにセットで伝えるのがポイントになります。十分にやっていらっしゃる方もいるかとは思うんですけれども。
具体的にフィードバックをどのようにすれば良いかというと、例えば「報告をなかなかしてもらえない」という方に対して、「将来的には、あなたはお客さまに対して、お客さまの本当のニーズをしっかりと聞き取って、お客さまに対して真摯な提案をして、お客さまから本当に信頼される営業になっていることを期待しています」と(伝える)。
そしてさらにできる理由を伝えます。「それは、私はできると思っているよ。なぜなら、あなたにはお客さまの話をこういうふうに聞けるような強みとか、あとは社内でもこういうことができる強みとか良さがあるから、私はこの姿になることを期待している。できると信じています」と。
「だからこそ、今報告がなかなかできていないところとか、仕事が雑になってしまうところが変わっていくと、期待する姿にも近づいていくし、あなたが目指しているところにも近づいていくから、ぜひこれに取り組んでほしいんだ」と。
ただ「ダメなところを直してほしい」「ここができてないから直してほしい」と言われるよりは、期待に向けて、「ここに向けて直してほしいんだ」と言われたほうが、相手には期待も伝わって、より(フィードバックを)受け取りやすいということがございます。
この考え方はフィードフォワードとも呼ばれておりまして、未来の期待に向けて「そこの期待に対して、今こういうところを改善してほしいんだ」「そこに向かって進んでいこう」というような伝え方になります。
「過去のできていないところを改善してほしい」というフィードバックに加えて、未来に向けての対話とか、未来に向けて伝えるみたいなところもセットにしていただけるといいんじゃないかなと思っております。

短い時間でしたが、みなさん、いかがだったでしょうか? 「こういうところは使えそうだな」「こういうところはもしかするとやれるといいかもな」などがもしございましたら、チャットで感想などをいただけるとうれしいです。ありがとうございます。