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小室淑恵氏:フランスは1997年に出生率が反転して、2000年に跳ね上がっているんですが、この時期に施行されたのが「ロビアン法」と「オブリ法」というものです。
これはどちらも、短い勤務時間の正社員を雇用すると、その企業が支払う社会保険料を免除するというものです。短時間正社員ということですね。短い労働時間でも、ちゃんとボーナスの対象になるような安定した仕事の仕方、まさにデンマークのような労働の仕方を企業に対してインセンティブを与えているわけです。
法人税減税だと、利益を出していない企業にはメリットがないので、これは社会保険料の企業負担分を割り引いてあげるというふうにしています。これは、ぜひ日本でもやっていただきたいなと思う政策です。
そして、このことを私が朝日新聞に書きましたら、2025年の2月に急に高知県の濵田(省司)知事から電話がかかってきまして、「高知県だけ時間外労働の割増賃金率を1.5倍に増します」と言うんですね。
「そんなことできるんですか!?」って驚いたんですが、なんと2025年10月に本当に議会を通しまして、2026年の4月から高知県職員だけ時間外労働の割増賃金率が1.5倍になります。その時に、残業代を6分の5にしないと県民の税金が多くかかっちゃうということで、残業を6分の5にするために私たちがコンサルに入ることになりました。
これは(実際の金額にすると)6,000万円ぐらいのコンサルになるんですが、実は私たちは無償でやります(笑)。ですので、2025年に初めて私たちの会社が赤字になるんですけれども、うれしい赤字だなと思って。20年やってきて、こういうすばらしい組織を待っていました。だから、悔いはないと思って全力で支援してまいります。
そういった中で1つ、濵田知事は総務省の官僚だったんですが、秀逸だなと思ったことがあります。こうやって1人あたりの残業を減らしていく分、今度は短い労働力の人を雇用していきます。そうなった時に、だいたい自治体だと短い労働時間の人は「会計年度任用職員」という、とても不安定な雇用形態になっちゃうんです。
それを、なんと今回はボーナスの対象にもなる正社員として採用して、だけど週10時間は無給で休めるという制度にしたんですね。ですので週によって、夫が保育園のお迎え担当をしてくれる時は40時間働くし、そうじゃない時は30時間なんていうふうに、柔軟に働けるようにしました。
そしてこの間、その(求人の)応募が始まったんです。今まで高知県にはぜんぜん応募が来なかったのに、たった5人の枠に100人から応募がきたんですね。「高知県は人気がないんじゃなくて、働き方に人気がなかっただけなんだよ」ということで、これは地方の中小企業にも非常に参考になる話だなと思いました。
これから働き方さえ変えれば、いくらでも組織は人手不足を解消できるんですよということで、詳細はこちらを見ていただければと思います。
もっと視野を広く持ちましょうということで、これは私が図式化して作ったものなんですが、男女で7:7で働けば夫婦では14になります。しかし今、経済界が主張しているのは、目の前の男性だけを見つけて「この人はまだ余力があるから、あと3を乗せようよ」という話をしているんですね。でも、この人に3を乗せたら妻はどうなりますか?
(妻が)全部の育児と家事をやることになるから、仕事を辞めてゼロになるわけです。その場合は夫婦の家計の合計は10です。14と10を比較したら4減ってしまっているわけですが、その差額の4を実際の数字にしてみたものがこちらのグラフです。
これは東京都が試算したグラフですが、女性が出産を機に仕事を一度辞めて、その後パートで復帰した場合の生涯賃金と、育児休業を何度か取得しながらも元の職場に復帰して働き続けた場合では、なんと生涯賃金が2億円違うのです。今は、長生きするから年金ですごく差額がつくんですね。
男性が残業を増やしても、プラス2億円なんて決して稼げないんです。2人で2億円を追加で稼げるというのが、本当の国民の安心です。政権が変わる度にくれるかくれないかわからない給付金とかお米券よりも、本当はこの自力で稼げる2億円がほしいんです。
この2億円は、自力で稼ぐことに意味がある。だけど、自力で稼ぐためには労働環境が必要だから、環境だけを揃えてくれればお金の給付じゃなくてもいいんだってば! ということが重要なんじゃないかなと思います。
ちなみに、妻が働かないことで得られる夫の手当や控除は、32年間分を足しても合計でたったの670万円。「670万円と2億円のどっちがいいですか?」ということを、仕事に就く前のカップルには必ず教えてあげてもらいたいです。
最近、「日本はOECD平均よりも労働時間が短くなっちゃった」という誤った情報が流れています。これは間違いでして、日本の人口構造上、高齢者比率が上がり、パートタイムで働くようになったので、日本人全員の平均にしたら労働時間が短く見えるんです。
ただ、フルタイム男性の労働時間はデンマークが7.7時間、日本は9.9時間なんですよ。だから、他国よりも2時間も長いというのが日本の状況です。
「働き方改革をきっかけに日本人が働けなくなっちゃった」とか「怠けている」なんてことは、まったくないんだということです。
先日、厚生労働省が試算をしたんですが、これはとても希望があるなと思いました。65歳までを労働力人口と見込んだ時の労働力人口率、つまり支える側の人口の率が、もし70歳までが無理なく、体力的に働けるような仕事の仕方に変えたなら、なんと2070年まで日本の労働力率は変わらない。
支える率が変わらないということは、私たちの1人あたりの税金額が増えない。つまり、子どもたちの世代に重い税金を残さないで済むということなんですね。そのために、実は一人ひとりの働き方を変える必要があります。
少子高齢化そのものを直ちに解決することはできない。だけれども、少子高齢化で起きる課題そのものは軟着陸することができるわけなんです。そこを働き方でもっと解決していこうよということで、これは私が勝手に考えた法改正案です(笑)。
1つ目、まずは勤務間インターバルを義務化する。11時間のインターバルを入れることによって、先ほど陽子さんが重要だと言っていた7時間の睡眠を守り、お風呂や食事の時間や、前後1時間ずつの通勤時間など、7+4の11(時間のインターバルを確保すること)が、最低限うつ病や過労死から国民を守る上で重要です。
そして時間外労働の割増率を1.5倍にすると、労働時間が短い人のことを正当に評価する社会になります。それから、少なくとも過労死ラインよりも下を労働時間の月間上限にしましょうということで、月間の(法定労働時間の)上限は70時間以下にすることが重要ですよね。
現代の環境変化の中で中小企業の経営者は、変化に抵抗して、地元のお祭りに来た議員さんの手を握って「(時間外労働の)上限を緩和してくれ!」というふうに言っちゃうんです(笑)。そうすると、多くの議員さんは「わかったよ」と言って、国会で「上限緩和だ!」と主張してしまうんです。
でも、中小企業の経営者だって、今のやり方じゃ数年で限界だということはわかっているわけです。だから、「もし今、早く飛び移るならいろんな支援があるよ」「3年ぐらいで飛び移るところには、社会保険料相当の何らかしらの金銭の助成をするよ」というふうに言われたら、早く飛び移ろうと思うわけです。
これをやることによって重要なのは、時間外労働の割増率が1.5倍になると、今まで30時間残業していた人が、22時間の残業で今と同じ手取りが手に入り、追加で8時間の時間が手に入るわけです。そうすると、手取り時間と手取り金額の両方が手に入るから、子育てがもっとしやすくなって出生率がアップしますよね。
今までは働き方改革とかワークライフバランスと言うと、「お花畑的理想論」とか「国民に優しい福利厚生だ」というふうに思われてきましたけれども、フランスのブレア政権なんかを見てもものすごくシビアにやっているんですね。
「男女にお金をかけて投資して教育したんだから、両方が働けよ」って実は言われているんだけれども、(「ワークライフバランス」や「働き方改革」という)言葉が優しいから、なんとなく優しい福祉政策と思われてきました。
2人に教育投資をして、2人から回収するため、2人とも働いてもらう。そのための環境整備です。ケア労働を抱えた人が支える側から脱落しちゃう社会では支えられる側に乗っかってきちゃうわけです。
そうじゃなくて、「ケア労働をしながらでも、1分1秒でも長く支える側にいてよ」という、けっこう厳しいことを言っているんですよね。でも、そのほうがみんなにとっていいよね、そして稼ぐ人が同時に消費する人でもいてね、ということなんです。
だって、デンマークは8時間働いたあとに、寝るまで8時間もの自由時間があるんですよ。すごくないですか(笑)? その時間に消費もするし、ダンスもするし、交流をするわけですよ。だからお金がいっぱい落ちる。たぶん推し活もすごくやっているわけです。そうすると、そこにもう1つの社会があるかのように消費が回るわけです。
私たちは平日に働くのに精いっぱいですよね。土日で「なんかお金を使おうかな?」と思っても疲れているし、「そもそも何が好きだったんだっけ?」って、わからなくなっちゃうわけです。
デンマークのような働き方が毎日できると、しっかり経済を回してくれる。働いている人が、毎日経済を回す側でもあるという社会を作っていく。シビアでよく計算されている政策であり、日本にこそ必要であるということが言えるんじゃないかなと思っています。私からは以上です。ありがとうございました。
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