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午後4時に帰る国の経済がなぜ回るのか?「競争力も幸福度も高い」デンマークに学ぶ働き方(全7記事)

世界の高度人材をひきつける“デンマークの働き方”は何が違う? 日本をもっと働きやすく変えていくためのヒントとは

【3行要約】
・16時に帰宅するデンマークの働き方が注目される一方、日本では長時間労働や過剰業務に悩むビジネスパーソンが多い現状があります。
・デンマーク在住のジャーナリストである井上陽子氏は、デンマーク流のワークライフバランスや、海外の高度人材をひきつける政策の成功例を紹介。
・日本でもできる改善策として、本質的でない業務の見直し、タイムマネジメントではなく「エネルギーマネジメント」の重要性を井上氏が説きます。

前回の記事はこちら

海外の高度人材をひきつけるデンマークの働き方

井上陽子氏(以下、井上):ノボノルディスク(デンマークに本社を置く製薬会社)で大量解雇があったという話をしましたが、人件費がすごく高い分、それに見合った価値を出してないとなったら、切られるリスクがあるという緊張感がすごくあります。だから、デンマークのキャリアライフはけっこう厳しいです。

ただ、「海外の高度人材をひきつける」と書きましたが、このワークライフバランスの良さが、小さい子どもを持つような高度人材にとってはものすごく魅力的なんですよね。

だから、子どもが10歳ぐらいになる間はデンマークに住んで、ワークライフバランス良く過ごしたい。仕事もやって、子どもとの時間も過ごす。また、そういう高度人材をひきつけるのもデンマーク政府はうまいんです。

本当は所得税が高いんですが、高度人材だけにデンマーク人よりも低い税率を適用しているんです。すごいですよ。年収2,000万円以上みたいな方に対しては、「税率を低くします」というふうに、めちゃくちゃわかりやすい。どういう人がほしいのかを明白にした政策を取っています。

日本企業を変えていくためにできることは?

井上:これが最後です。よく言われるのが、「じゃあ、わかりました。だけど、私の会社は変わりません」ということです(笑)。では、個人でできることは何でしょう? 先ほどの「変化を起こす力」にもちょっと関係するんですが、他の誰かが答えを持っていると思わないでみてください。「自分で答えにたどり着ける」と、思ってみてください。

そのためにも、やはりやることが多すぎると思うんです。日本に来て思いますが、いろんなことが過剰です。ミスを防ぐためにいろいろあるのかもしれないですが、いろんなことが過剰に見えますので、まずはやることを減らす。「これって本当にいるかなぁ?」みたいなことを、ちょっと減らしてみる。

「『モデルチェンジをやる』と言っているけど、ほとんど変わってない。やる意味ある?」「『ライバル社がやっているから」という理由でやっているけど、他の事業をやったほうがいいんじゃない?」みたいに、そもそも論を見直してみると、やることもけっこう減るんじゃないかと思うんですよね。

それでもう1つは、「器としての自分を整える」と書きました。私自身には何が効いたかというと、寝ることなんですよね(笑)。年を取ってきて思いますが、やはりよく寝る、おいしいものを食べる。ちゃんと栄養をあげたり、哺乳類としての自分を整えてあげると、中に入っている“コンピューター”である脳みそはちゃんと動いてくれるんですよね。

物を書いている仕事なので、やはり気分良くいるとぜんぜん捗り方が違うんですよ。「もう絶対に、あと2時間でどうにかしなきゃ」みたいな時と、カフェとかで5分で気持ち良くサラーッと書けちゃうような時って、ぜんぜん時間が比例してないじゃないですか。そういうことをすごく感じるんですよ。

それを「タイムマネジメントじゃなくてエネルギーマネジメントだ」というふうに書いたんですが、自分の気分が良くて、エネルギーレベルが高いということを意識して、ベストなコンディションに持っていく。

それって、やはり仕事の一部だと思うんですよね。デンマーク人は、けっこうそういうふうに考えているんです。エネルギーマネジメントを考えると、大事なことは労働時間の長さじゃないよということですね。

「行動しないと見えない風景がある」

井上:最後に「行動しないと見えない風景がある」と書きました。私は本を出版して、それのPRで(デンマークから日本へ)来ましたと言いましたが、出版社の方には「来なくていいです」と言われました(笑)。というのも、昨今の本の販促はSNSとかネットが中心で、書店でイベントなんかをやっても効率が悪いというか。だいたいセレブでもないわけなので、集客も大変でしょうし。

ということで、「井上さんにせっかく来ていただいても、出版社からのイベントは何もありません。その間に取材が入る保証も何もないので来なくていいです」という話だったんですよ(笑)。

「え!? そうなの!?」と思ってうちの夫に言ったら、「え!? そんなの、やるものじゃないの!?」って。「でも、日本はそうじゃないらしいからもう行かない」って、いったんは行かないと決めたんですよね。

そのあとも夫は「行ったほうがいいよ」「行ったほうがいいよ」って言うし、ジャーナリスト仲間とかからも「時間をかけて本を書いて、これはマラソンの最後に競技場を1周するようなものだよ。そこだけ行かないでいいの!?」みたいにすごく言われるものだから、「そうかな?」と思って。

行ったらきっと何かあるだろうと思って、もう「えいや!」と思って飛行機のチケットを買って、安いホテルを取って今は来ているんです。

自ら行動することが仕事のチャンスにつながることも

井上:1週間(日本に)来ると決めたから、1個でも2個でも何かアポが入ればいいなと思って、あらゆる知り合いにワーッてメールを送ったんです。その中で小室さんが600人集めるという、ものすごい集客力でこのイベントをやってくださったんですが、私はこれを含めてアポイントが14個入ったんですよね。

つまりこれって、あの時出版社の人に「来ないでいいです」と言われて来なかったら、何も起きなかったことなんですよ。やはり、何もしなければ何も起きない。それは当たり前ですよね(笑)。

それで終わる話ですが、やはり行動してみると見える風景って変わってくると思うんですよね。(行動していなかったら)今、こうやってお顔を拝見しているみなさんと、こういう風景を見ることがなかったわけですよ。

仕事のチャンスを掴むこととかも、けっこうそういうところがあると思うんですよね。とりあえず「やることを減らす」ではありますが、チャンスが入ってきた時に掴む。

日本に来てお話をしていると、特に若い世代なんかはリスクを取ることを怖がるとか、結果が保証されていないと始めないとか、「それだとタイパが悪いから」みたいなことも聞くんです。ただ、行動してみるのも大事だと思います。

幸福度も競争力も高いデンマーク人に学ぶ「時間の使い方」

井上:社会的効力感とかもそうなんですが、何事も私1人じゃ無理なので、こうやって小室(淑恵)さんとつながるみたいに、話してみたり人とつながらないと、仕事に限らず何事も進まないです。対話する力みたいなものは付けていかなきゃいけないんですが、「タイパ」みたいなことを言われると、やはり一番最初に削られるのはそこだと思うんですよね。

だから、「何が大事なのか?」ということを考える。仕事だけがすべてじゃないというのがデンマーク人なんですが、幸福度が高く、競争力も高い社会を作ってきた彼らなりの時間の使い方というのは、1つの知恵だなと思います。ということで、以上です。

天野妙氏:井上さん、ありがとうございました。「行動すると風景が変わる」って、すごくいい言葉だなと思ってます。

私も「みらい子育て全国ネットワーク」という市民団体を立ち上げましたが、立ち上げたきっかけは、とあるイベントで蓮舫さんに「待機児童が減らない理由は、あなたたちが国会に行かないからだ! 永田町に行け!」と言われた時に200人ぐらいが会場にいて、私はそのうちの1人だったんです。

その時に「そっか」と思って、真に受けて行動したのが私だけだったという、そういう10年前でございました。ですので、やはり行動すると風景が変わって、今はこちら側に立っているのがなんか不思議だなというふうに思いました。ありがとうございました。

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