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井上陽子氏:ここからはいろんな「よくある質問」ということで、労働時間や働き方について日本でもかなり議論になっていると思うんですが、1つの議論として「長時間働いて、もっと稼ぐ自由もあっていいんじゃないか?」という意見がありますね。
これはOECD(経済協力開発機構)の統計から取ってきたんですが、フルタイム換算の平均収入って、もうすでにデンマークと日本でだいぶ差が付いているんですね。この換算だと日本円が760万円と出ていますが、これはけっこう高く出てますよね。ただ、それでもデンマークはこれの1.5倍なんです。
私は思うんですが、それってフルタイムの労働時間内で十分な収入が得られてないことのほうが問題なんじゃないのか。つまり、もっと競争力のある産業を育てて、プラス労働組合がもうちょっと交渉力を上げるなりする。賃金をもらってないことのほうが問題なんじゃないの? というふうに見えるのが1つ。
あと、デンマークの場合は世帯収入がこれの×2になるんですよ。でも日本だと、たぶん760万円×2とはならないと思いませんか? だからそれは先ほど言ったように、男女の収入格差という問題に取り組んでないのが問題なんじゃないのかと思います。
あと、ついでに言えば、これはちょっとよく誤解されがちなんですが、「デンマーク人は16時に帰る」と言ってもバシッと16時に帰っているわけじゃないんですよ。「短時間労働」よりも「柔軟性」(がポイント)なんです。
なんで16時に帰るのかというと、デンマークには子どもの延長保育がないからなんですよ。(保育時間が)17時までなんですが、17時になったらもう職員がガチャッと鍵を閉めて帰り始めるということなので、16時半とかに行っちゃうと、けっこう白い目で見られる世界なんですよね。
だから、だいたいピークが15時半から16時半なので、それぐらいまでに行かないといけない。16時半とかに行くと2人ぐらいしか残っていなくて、子どもに毎日そうやっていると、かわいそうな気持ちになるというのはあります(笑)。だからみんながんばって、16時ぐらいにめちゃくちゃ自転車をとばして帰るんですが、そういうことなんですよ。
そうすると、はっきり言って(仕事は)まぁ終わらないです。終わらないからどうするかというと、だいたい20時ぐらいに寝かしつけをするんですが、そのあとに取り返すんですよね。取り返さなきゃいけない時はそうするし、うちの夫なんかもプロジェクトの締め切り前とかだと、22時や23時まで働いています。
それに、若い人はやはりすごく野心があって、「もっと自分は働きたい!」みたいな人はけっこう働いてます。ただ、それは残業じゃないですよ。自分の自由でやっているので。
「自由な時間が長い」と書きましたが、その自由な時間に仕事をするのももちろん自由です。日本の場合は一律に(労働時間が)短いとか、なんかそれもちょっと変な話だと思うんですよね。
私も若い頃にすごく仕事をしていましたが、あの頃の蓄積があるから今があると思っているので、それを大事だと思う人とか、やる気がある人がいてももちろんいいと思うんです。だから、(デンマークの働き方には)そういう柔軟性があるかなと思っています。
もう1つよくある質問が、「子育て環境抜群のデンマークでなんで少子化が進んでいるんですか?」。デンマークの今の出生率は1.5だから低いです。でも、確かにすごく子育てがしやすい環境ですよね。
(スライドに)3つの例を書きました。男性育休ってよく言われますが、男性育休ってせいぜい1年とか2年とかですよね。でも、子育ては2年で終わらないんです(笑)。6歳になっても、10歳になっても手がかかるんですよ。だから短時間労働だと、お父さんもお母さんも長い育児期間中、ずっと子どもと関われる。それは、ぜんぜん違うと思います。
私は今、デンマークに住んでいるんですが、子育てということを考えると夫のサポートなしはちょっと想像できないです。自分には無理なので(笑)。やはり日本で働くのは無理だなって、そこは思っちゃいます。だから、子育てはしやすいです。
あとは独身の女性がある程度の年齢になって、「パートナーはいないけど子どもがほしい」といった時の不妊治療なんかも、自分で公立病院に行けば無料でできるようになっているんですよ。それは、結婚しているカップルとかと同じように受けられるようになっています。だから、子どもを持ちたい人へのハードルを低くしているんですよね。
それと、よくある日本のハードルは「子どもの教育費が心配でちょっと持ちづらい」みたいなところがあるかもしれないんですが、(デンマークは)大学院まで無料だし、給付金までもらえるのでそこの心配もない。つまり、めちゃくちゃ子育て環境は抜群じゃないですか。なので、そこまでやっても(出生率が)1.5なんですよ。そっちを知ってほしいです。
日本の1.15というのは、もうこれはかなりヤバい水準です。本格的な社会の変革が必要なレベルだとは思うんですが、これを出したのはなぜかというと、先日お話しした時に「デンマークみたいな国だって少子化が進んでいるんだったら、日本が少子化対策をやってもムダですよね」みたいなことを言ってらっしゃる方がいたんです。
いや、1.5と1.15は違います。1.15になっているのは、日本には障壁になる部分があるからです。例えば家事や育児の労働が、極端に女性のほうに負担が大きいと、「せいぜい1人はできても2人は無理」というふうになる。そういう要因が積み重なって、今は1.15になっている。そこをちょっと言っておいたほうがいいかなと思いました。
あとは「16時に帰る」と言うと、「なんか仕事のやる気がないのかな?」みたいに見えがちなんですが、ギャラップがやっている「熱意ある従業員の割合」や「エンゲージメント度」を測る国際調査で、断トツで低いのは日本なんですよね。日本は世界平均より低くて、デンマークは労働者のモチベーションが概してすごく高いんですよ。
デンマークには「働く喜び」みたいな言葉があるんですが、やはり働くのが好きなんです。私も仕事はおもしろいと思います。だって、チームみんなで何かを成し遂げるのっておもしろいですよね。要するに、彼らは「仕事は楽しい。だけど37時間以上はやらないよ」というマインドなんですよね。
それに16時に帰るって、やってみたらわかると思うんですがめちゃくちゃ大変です。ムダなことをやっている時間はぜんぜんないので、「自分にとって、価値を生み出す仕事って何?」ということをすごく考えます。「もう、これは切る!」みたいに潔く(仕事を)切ってどんどんやっていかないと、どんどん時間が過ぎちゃうんです。
デンマーク人は、「それは時間を費やすほうが価値を生み出すよりも簡単だよ」という意識でいるんですね。彼らはよく「as long as you deliver」と言うんですが、「あなたが成果を出す限り、どこで働いても、何時間働いても、上司はそんなにマイクロマネジメントをしません。ただし成果を出してくれればね」という話です。
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