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元阪神タイガース今岡 真訪氏、現役プロ野球選手青柳 晃洋氏が明かす、チームを日本一に導いた「マネジメント」と「メンタリティ」の真髄とは(全4記事)

阪神・岡田監督のマネジメントは何が違ったのか 連敗中も崩れない「チームの空気」のつくり方

【3行要約】
・岡田監督の「黙って見て、必要な時に声をかける」指導法は、選手が自信を失った時こそ効果的。今岡氏は自身の経験からこの指導スタイルを取り入れ、選手全体を平等に見る大切さを語ります。
・今岡氏は「連敗中こそ普通の姿勢が 重要」と指摘。青柳氏も「負けが込むほど監督との距離が近くなる」という岡田監督の選手心理を見抜いた指導法を明かします。
・青柳氏はメジャー挑戦を通じて日米の野球文化の違いを体感。「当てる」より「自分のスイング」を貫く姿勢など、日本人選手が学ぶべき新たな野球観を持ち帰ったことを示唆しています。

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岡田監督は「黙って見て、必要な時に声をかける」

大林尚朝氏(以下、大林):じゃあちょっとテーマを変えて。今岡さんのコーチとして大事にしている哲学をちょっとお聞きしたいんですけど。今岡さんが、当時気をつけていたこと、哲学的なところを教えてください。

今岡真訪氏(以下、今岡):先ほど岡田監督のお名前を出しましたが、岡田監督は、1年目で2軍監督をされていて、現役の時からずっと見ていました。岡田監督の指導方針が、「選手としてやりやすかったな」とすごく思っているんです。

ふだんは黙って見ててくれるわけですね。自分が「アカン。なんか自信がないな……」と困っている時に、もちろん自分から言う時もありますが、岡田監督がスタスタと来てくれて「ここはこうや」って言ってくれるんです。必要な時に声をかけてくれるというスタイル。

昔から岡田監督はそういう方だったんですね。現役を辞めて自分が指導者になる時に「あ、このスタイルは自分がやりやすかった」というのがあるので、そういうものを基本線に持ってやろうというかたちでやってましたね。今もなおです。

大林:いろんな選手と会話するとかではないんですか?

今岡:岡田さんの場合は、たぶん意図的にグラウンドでは距離を置いていると感じていましたね。

会場:あー。

大林:この人だけとずっとしゃべるみたいにすると、周りからの見られ方もあるわけですよね。

今岡:はい。よく、コメントでも岡田さんは言われていますけど。やはりみんな選手って見てほしいわけ。例えばマンツーマンで10分やっているとすると(他の選手を)10分見ていないことになるのでね。ってことは、見てほしい人が「見てくれへんやんけ!」ってね。

がんばっている姿を「見てくれていますか!? 調子いいんで使ってくださいよ!」というのは、若い選手の心理なので。誰かにかまっていると、(他の選手を)見ていないということになる。選手からすると、「見てない」っていうことは、どうでもいいってことになりますよね。やはりいつ何時も見てくれているというのがあって、初めて指示をしたり、教えたりということだと思うので。それは、岡田さんから学びました。


連敗中に効く「普通にしたらええやんか」 

大林:ありがとうございます。2023年の交流戦からちょっと負け込んでいた時期があったかなと思います。連敗中の時とか、チームの空気づくりをどうしていくのか。裏話とかあれば聞きたいです。

今岡:よく、「普通にしたらええやんか」という、コメントをみなさんも聞いたと思うんですが。どういう意味かというと、「いい時も調子乗るなよ。ダメな時も悲観するな。落ち込むなよ」って意味です。

要は、普通というのは言葉で言うと簡単です。だけど組織にいて負けが込んでいる時に、悲しんでいる雰囲気にしなきゃアカンなとかってありませんか?

負けてるのに1人だけ燃えて「『そんなのどうでもええわ!』ってできない」ってあるでしょう? これを、空気を管理すると言うんですかね。「もう、普通でええねん」っていう。そういうことを言っているんだ、っていうのを、今日みなさんにはなんとなくわかってもらえればと思います。岡田さんは、こういう管理をしていたんだと思います。

大林:岡田監督は確かに「普通にやれば勝てるやろ」って、話していましたね。

今岡:はい。

(会場笑)

大林:覚えています。

今岡:そうなんです!

(会場笑)

今岡:そのあたりは、青柳はどうですか? 2023年。選手間の空気はどうだったんですか?

負けが込むほど距離が近くなる監督

青柳晃洋氏(以下、青柳):やはり「普通に」「普通に」って言ってもらえていたので、連敗しても落ち込むという空気は、あまりなかったです。連敗している時の監督のほうが距離が近かったかなと、僕は思いました。勝っている時は、本当に岡田さんの顔を見ない時があったので。ピッチャーが勝っていたら、監督から来ることはないですね。

やはり選手、先発陣とかでも、「何試合連続で先発に勝ちがついていない」とかっていうこともあるんですけど。そういう時に、監督がセンターから、ピッチャーのところまでフラッと来てくれて、絡みやすい後輩の大竹とかを、ちょっといじりながら。

(会場笑)

青柳:「こんな遅い球で抑えられるか! みんないけるやろ!?」みたいな。

(会場笑)

青柳:みたいなことを岡田さんが言ってくれるので。「あ、いけるんだな。大丈夫なんだな」「これが続くわけじゃないんだな」と思って、そのまま試合に行けたというのはありましたね。

大林:すごく裏話でおもしろいですね。


メジャー挑戦のきっかけは「自分が知らない野球がある」と知った瞬間

大林:青柳さんにご質問です。メジャーに挑戦されましたが、メジャー挑戦の背景・理由を教えてほしいです。

青柳:東京オリンピックに出させてもらった時に最多勝を獲れたんですけど。やはり対外国人の相手にまったく結果が出なかったんですね。「なんだこの野球は?」という感じで、僕の動くボールだったりとか、日本ではゴロになるボールが簡単にホームランになったり。「自分が知らない野球があるんだな」というのを、その代表で初めて知ったのがきっかけです。

それからタイガースに「挑戦したいです」って言ったんですけど、OKをもらったのが一番成績が出なかった年で、2勝しかできなかったタイミングでした。それで、自分の中でもいろいろと悩む部分はあったんですけど、「野球人生って、毎年当たり前じゃないぞ」と僕は思っていたので。「僕の知らない野球があったらやりたい、やってみたい、知ってみたい」と思いました。

タイガースにわがままを言わせてもらって出させてもらったというのが、背景にあるかなあと思いますね。

日本と違うスイングの文化「アウトはアウトという考え方」

大林:「これはぜんぜん日本の野球と違ったぞ」と衝撃を受けた部分とか。日本に持って帰ってきた、勉強した部分を話していただけるとうれしいです。

青柳:野球の考え方が、まず違うなと思いました。日本の野球は、やはりコンパクトで、当てることが重視されます。三振したら「何してるんだ!」と指導が入るイメージが僕はあるんですけど。アメリカのバッターは、1ストライク目から最後の空振りまで全部同じスイングをして、ボールとバッターがこんなに離れていたとしてもOKというか。

自分のスイングを貫いた奴が、最終的にいい結果を出すという指導方法なので。当てにいって弱い打球を打つくらいなら、芯に当たった時に大きい打球が打てるように、最後まで「当てにいく」スイングはしない。自分のスイングができる。

それをやり続けた上で、ちゃんと当たる確率が高い人がメジャーリーガーなだけで。マイナーにも、すごいメンバーもいっぱいいましたけど。

向こうは「三振をしない」じゃなくて、1個の三振のアウトでも内野ボールでも外野ボールでも「アウトはアウトだろ」という考え方なので。やはり日本とは違って、そこのスイングの怖さは、すごくあったなと、思います。

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