【3行要約】
・若手社員の離職が増加する会社は5年後に人材不足に陥るリスクがあり、組織の未来を左右する重要な課題として認識されています。
・研修トレーナーの伊庭氏は「現在の有効求人倍率1.5倍の環境では、従来の 採用・育成方法では人材確保が困難になっている」と警鐘を鳴らしています。
・若手離職の原因となる10のチェックポイントを把握し、残業削減や1on1面談など現場マネジメントレベルでの具体的な改善策を実践することが重要です。
若手が辞める会社は5年後に組織の空洞化を招く
伊庭正康氏:研修トレーナーの伊庭です。今日のテーマは、なぜか20代の部下がどんどんと辞めてしまう、もったいない会社に共通する10個のチェックを紹介していきます。

メニューはこちらです。若手が辞める会社10個のチェック。ただし、大きな分類で言うと3つに分かれます。でも今日はね、10個のチェックで1つでも当てはまることがあれば正しておきましょう。予防策も紹介しますので、最後までお付き合いをよろしくお願いします。

僕は、今若手がどんどん辞める会社は、5年後ヤバいと思います。と言うのは、若い方は5年後10年後の中堅社員であり、次世代リーダーですよね。その方が育たないということなんですよ。つまり、優秀な中堅がいなくなるとどうなるんでしょうか。そうです。空洞化ができるんですよね。
超ベテランと若手。それで、また若手がどんどん辞めていく。そういった悪のスパイラルが働くんですよ。ですから、「なんだか、20代が辞めているなぁ」「今後、辞めてしまいそうな空気があるぞ」ということであれば、今のうちに対策をしておきましょう。
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データで見る採用市場
さぁ、ではいきましょう。今は若手って、どれだけ採りにくくなっているんでしょうね。こんな言葉をご存じでしょうか。有効求人倍率。難しい言葉、嫌ですよね。わかりやすく説明しますので、ご安心ください。
(スライドを示して)こちらです。このデータは関東圏の労働基準監督署が出しているもので、職業安定所ベースの数値です。募集している人数と、仕事を探している人の割合。これを表したものが有効求人倍率というもので、どちらもがまったく同じ人数の時は1倍になります。
そして今、34歳以下の若手。関東圏は約1.5倍。つまり、今は15人の募集枠がある。それに対して仕事を探している人は10人しかいない、という計算です。5人足りないんですよね。1.5倍です。メチャクチャ採りにくいですよね。
私は求人広告の仕事を20年ちょっとやっておったんですけれども、1.5倍という数字になると、普通のことをやっていたら採れません。人気企業は採れるけれども、一般の企業は採れなくなります。そして採った後も離職が起こります。今までどおりではいけないと言っています。じゃあどうすればいいのかっていう話と、やってはいけないことの話をしますので、楽しみにしていてください。
「若手の志向にフィットしていない」5つの特徴とは
ではいきましょう。ドン! 若手が辞める会社の3つの共通点と10個のチェックを紹介します。今日のデータは、リクルートマネジメントソリューションズさんの2023年のコラムを参考にさせていただいておりますが、当然、私の意見を当然入れております。
いきますね。1つ目。若手が辞める会社の特徴は、「若手の志向にフィットしていない」。私、(それぞれの特徴に当てはまっているかを診断する)チェック項目を作りました。あなたの会社、大丈夫でしょうか。
(チェック項目の)1つ目、長時間勤務が当たり前になっている。2つ目、休みを取りにくい雰囲気がある。3つ目、いくら成果を挙げても年配社員の給料のほうが高い。4つ目、評価が不透明で根拠を教えてくれない。そして5つ目、改善策を上司に提案しても一蹴されてしまい、話を聞いてもらえない。
どうでしょうか。この5つのうち当てはまっているものがあったら、これは要注意ですよね。まず若手が望んでいることは、これということです。
実際に、これもリクルートのマネジメントソリューションズさんの別のデータなんですが、新卒が自分の上司に求める要件として、話をきちんと聞いてくれるというのは、もうトップクラスの要件に入っているんですね。ですからぜひ押さえておいてください。
コミュニケーション不足と指揮系統の複雑さが離職の原因に
では2つ目。辞めやすいのは、「周囲とのコミュニケーションが良好ではない」。あなたの職場は大丈夫でしょうか、見ていきましょう。チェックポイントは3つ作りました。
1つ目が、誰に質問をすべきなのかが不明瞭。これは、教育体制が不備ということです。そして2つ目、誰の指示に従うべきなのかが不明確。これは指揮命令系統が複雑になっている。2ボス体制って嫌なんですよね。

そして3つ目が、悩みを相談する相手がいない。コミュニケーション機会がない。どうでしょうか。あなたの若手はこういう状況に陥っていませんでしょうか。
では3つ目のカテゴリー。「仕事への不適応を感じている」。この仕事は自分に合っているのかな。これですよね。では2つのチェックを作りました。1つ目、若手がこの仕事は自分に向いていないと思ってしまう。そして2つ目、やりたい仕事ではない。志向のミスマッチ。
残業は個人の努力ではなく組織で対応すべき課題
さぁ、今10個の話をしましたが、当てはまっているものはなかったでしょうか。実はね、これは現場のマネジメントでいくらでも正すことができます。この後しっかりと紹介しますので、ぜひ参考にしてほしいです。
その前にお知らせを入れさせてください。私、本も書いてます。
『リーダーの「任せ方」の順番 部下を持ったら知りたい3つのセオリー』。こちらが最新刊でございます。他にもリーダーや営業力やコミュニケーション、時間管理の本もたくさん書いています。(動画の)概要欄に貼っておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。

さぁ、では予防策の話をさせていただきます。ポイントを押さえておきましょう。1つ目。ちょっと読みながら失礼いたしますね。長時間勤務の常態化、残業が多い場合。これはね、組織できちんと対応しないといけません。個人に努力を強いても無理です。
でもね、考えてみてください。私、マネジメントもやってまいりましたし、求人の仕事もやってきたからこそわかるんですけれども。人件費の観点で考えたらどう思います? 社員の残業代でその2時間を乗り越えるのか、パートさんや派遣の方にお願いをしてその2時間分をサポートするのか。どちらが人件費? って考えた場合に、当然ですが後者なんですよね。
社員の人件費を時給換算して、それに25パーセントを掛けるんですよ。まず、高いんですよね。しかも、長時間(労働が)嫌だって言ってるんですよね。じゃあそこをちゃんとオペレーションを組み替えましょう。実は対応できますという話なんです。
人を集めることができない。大丈夫です。派遣会社が「人いません」ってことはあんまりありません。サポート業務ぐらいであれば派遣スタッフの方にお願いすれば(対応できます)。ぜひぜひそのあたりを見てみてください。ただ専門職になるとちょっとね、「無理です」っていうのがあるかもしれませんが、相談することは無料でございます。
休める体制作りはリスクマネジメント上も重要
そして2つ目、休みを取りにくい空気。これはマネージャーがリスクマネジメントの観点で考えるべきなんですね。例えば重要な人が会社を休んだり辞めたら滞ってしまうことってないですか。休めないってそういうことなんですよね。ですから休める体制を作るということは、リスクマネジメント上極めて重要なんですよ。
でもこれね、課長さんはやってない人が多いんですよね。部長はそれをやってくれと思っているんですよ。なんとか乗り越える。「何かあった時俺がやるから、私がやるから」。じゃあ、私も俺も抜けたらどうすんだという、自分視点になっちゃってるんですよね。なのでこれは駄目なんですよ。
自分がやるっていうのも、一応やったらいいんですよ。いいけども、組織対応になっていないんですよね。だから組織として、後任が来てもちゃんとできる状態にしておくということが、本当のリスクマネジメントですので、体制として作っておくのは課長さんの仕事です。
そして、評価が不透明で根拠を教えてもらえない。これはもう共通点があります。結果しか伝えてないんですよね。そうじゃなくて、フィードバック面談のスキルをちゃんと手に入れておくことです。フィードバック面談の話はまた明日やっていきたいなと思いますので、動画を確認してみてください。
若手の声を聞くために1on1面談を形骸化させない
そして、改善を求めても一蹴されてしまう。悩みを話すことができない。これはもう1on1面談をきちんとやってください。1on1をやっているんだけど、雑談になってしまう会社も多いです。そうじゃないんですね。1on1は、きちんと部下の話を聞く場なんですよね。
ですから職場で気になってること、業務で気になってること。大丈夫? という。その聞く時間を2週間に1回、長くても1ヶ月に1回、15分程度は持ってください。これをやっているか、やっていないかが大事なんです。
そして自分に向いていないと感じている部下。たくさんいると思います。だって理想と現実はぜんぜん違いますよね。「あなたは今、仕事がおもしろくっておもしろくって、自分に向いているって思いますか」。そうとは言い切れない方も多いと思うんですよ。
そうではなく、その中で自分なりの意味を作っていくんですよね。じゃあ今まで、どうやって意味を作ってきたんでしょうね。それは経験ですよね。でも若手の方はまだその経験がないんですよ。ひょっとすればここじゃなく、向こう側に自分に向いていて楽しいものがあると思っている可能性ってありそうな気がしません?
仕事はおもしろくできるかどうか
実は違うんですよね。仕事はおもしろくできるかどうかなんですよね。なのでここについては、まずはキャリア面談をちゃんとするんですよ。
今のオペレーティブな、なーんかおもしろくない仕事をやっているんだけども、自分のどこにつながっているのかを一緒に考え、今やっていることの意味づけ、能力開発のテーマなんかを決めながらやっているかですよ。
その仕事が能力開発につながっているということをちゃんとわかる場が必要です。この部下はどこに向かっているのか。どこを目指してがんばっているのかを一緒に考える。この面談をぜひやってみてください。
これね、やってる会社とやってない会社は本当にまったく違います。ぜひよろしくお願いします。