【3行要約】
・管理職を避ける若手が増える一方で、プレイヤーとして長期的に収入を上げることの難しさが見過ごされがちです。
・企業経営者の木下勝寿氏は「キャリアは20〜30年先を見据えるべき」とし、プレイヤーの成果には上限があると警鐘を鳴らします。
・管理職の真の役割は「責任を取る」ことではなく「責任を果たす」ことであり、それに見合った待遇が得られるかを見極めることが重要です。
管理職にならずに収入を上げていくのはかなり難しい
――木下社長、質問が来ています。「20代会社員です。働く上で昇進を目指すというのは正直『古い考え方』というイメージがあって、自分には合わないと思っていますし、管理職にもなりたくないと思っています。木下社長は最近のこういった考えについてどう思われますか?」。
木下勝寿氏(以下、木下):自分自身が世帯主になるつもりかどうかによって変わってくるかなと思います。キャリアは20~30年先を想定しながら考えていくものなので、あまり新しい考え方とか古い考え方っていうのはたぶん関係ないと思うんですね。
例えば昔は正社員が当たり前だった時代に、フリーターとか派遣という労働形態が現れた時に「別に正社員でなくてもいい」と言って正社員にならなかった人が、そのあと不景気になって派遣切りに遭ったりしています。
ただし、この時に世帯主ではない方はそこまで影響を受けていないので、世帯主になる予定がないのであれば、別にそこまで大きな影響はないかなと思います。
けれど世帯主になるんだとすると、管理職を目指すのがすべてではないですが、管理職にならずに収入を上げていくのはかなり難しいのが実情かなと思っています。
プレイヤーとして成果を出せる期間は上限がある
木下:世の中の仕事はプレイヤーとマネージャーに分かれるんですね。最初に仕事を始めた時はプレイヤーとしてやり始めるんですけども、1人でやるというか、自分自身で成果を出していく段階です。
そしてマネージャーという職種はプレイヤー複数人を使ってチームで成果を出していくってところで、もちろんマネージャーの出せる成果は数倍なんですね。1人でやっている時は1人分の成果しか出せないんですけども、5人のチームメンバーを抱えると5人分の成果が自分の出す範囲になってくるというところです。
なので当然マネージャーの給与のほうが高くなるんですね。だって1人よりも5人分出しているほうがすごいですねって話です。で、まれにスーパープレイヤーの人がいます。1人で5人分成果を出せる人っていますね。
ただしこれも一握りなので、別にそっちにいくのはいいんですけど、めちゃくちゃリスクは高いです。なので、どうしてもスーパープレイヤーになるんだっていう人はいらっしゃいますけども、かなり難易度が高いものだと思ってください。
プレイヤーの成果ってやはり上限があるんですよね。プレイヤーの成果は、過去の動画で説明していましたよね。スプリンタージョブだった場合は3~4年ぐらい、マラソンジョブだったら10年とか15年ぐらいで、プレイヤーの成果って上限に当たっちゃいます。

そこからマネージャーという役割に変わらないと、給与は基本的にストップします。なぜなら成果が変わらないからってことですね。
一方で下から次々に新しいプレイヤーが入ってきます。世の中の流れに合わせてやり方はどんどん変えていかないといけないんですけども、変化というのは若い人のほうが有利です。
なので同じプレイヤーの位置にいると、若いプレイヤーのほうが変化に対応していけるので、若いプレイヤーにどんどん追い抜かれて邪魔な存在になってしまうということですね。
なのでキャリアを20年、30年で考えるとだいたいこんなことが起きてくると考えた時に、管理職になる考えが古い・新しいという話ではなくて、自分自身がどうしていきたいかというところですね。
管理職の役割は「上司・部下間の調整」をすることではない
――管理職を経験しておく必要性がわかったんですけど、それでも管理職って責任が重そうだし、給与に見合わない負担を抱えなきゃいけないイメージがあって、正直罰ゲームっていうイメージがあるんですけど、そこは実際どうですか?
木下:給料に見合うか見合わないかはたぶん、その会社の給与制度なのでわからないですけども(笑)。基本的には一般の社員より給与はだいたい高いですよね。
まず管理職に対する勘違いをしている人がけっこう多くて、2つの勘違いをちょっと説明したいと思うんですけども。勘違い1として「上司と部下との板挟みになる」みたいなイメージを持っている人もいると思うんですけども、これは完全に中間管理職の役割を勘違いしてる状態です。
まず中間管理職(の役割)は、上司と部下の調整をすることではぜんぜんないです。中間管理職は上級管理職が求めていることを一般社員に上意下達するのが役割です。上と下からではなくて、上から来たものを下に落とすのが中間管理職の仕事です。
「上司と部下との板挟みになる」は間違い
木下:なので、そもそも板挟みになっている時点で役割を完全に間違っている状態ですね。上級管理職が求めることを一般社員が実行するようにしていく。そのために仕組みを作ったりとか、指導したり、やり方を管理していくのが中間管理職の仕事です。

ただし実際にやっていく中で、一般社員がそのままではできないんじゃないかとか、実際に上級管理職が言ってることが現場からしてみると「ちょっと違うんじゃないか」。そういうふうに中間管理職のあなたが思ったのであれば、あなたの意見として上級管理職に言いましょうって話ですね。
もちろん一般の社員からの情報・意見は集めてもいいんですけど、この情報と意見の違いについてはまた別の動画でも説明しました。一般社員の意見を上げるのが中間管理職の仕事ではなくて、一般社員から集めた情報を基にあなたが意見を考えて、上級管理職の指示と自分の意見が違う場合はそこで話をしましょう。
でもそれはあなたと上級管理職での意見交換になっていますので、この時点で部下の意見との板挟みになることはおかしいって話ですね。板挟みになっている時点で、そもそも自分の役割を完全に間違えているってことです。
責任者の仕事は「責任を取る」ことではなく「責任を果たす」こと
木下:そしてもう1つ、勘違い2ということで「責任を取らないといけない罰ゲーム」と思っている人がいるかもしれませんが、責任者の仕事は責任を取ることではなくて、責任を果たすことなんです。
トラブルが起きた時に罰を受けることは別に仕事でも何でもない。責任を果たしたことにならないですよね。何かトラブルがあって、責任を取って辞めるというのはまったく何の責任も果たせていないということです。
ちょっと「責任」という言葉が日本語として、たぶんおかしいんじゃないかなと思うんですけどね。責任を果たすっていうのは、トラブルが起きた時にそれをちゃんと回収して、再発が起きないようにすることです。
トラブルが起きた時に「責任を取って辞めなさい」とか「罰を受けなさい」とかっていうのは、責任を果たしたことにも何にもならないです。
そんなことを求めている上司がいるとしたら、それはその上司が間違っています。「いや、うちの上司そんなのなんですよ」というならもう、そんなもの辞めてしまえばいいんです(笑)。
責任を果たすのが管理職の仕事だとした時に、自力で責任を果たせない人っていますよね。だって責任を果たすにはある程度の力が必要です。自力で責任を果たせない人の代わりに責任を果たしてあげたりするので、責任を果たせる能力が高い人にしか責任者って任命されません。

責任を果たすのは立派な上位の仕事です。だから給与が高いんですね。なので、うちでも管理職に限らず責任者になる人はそれなりに手当がつきます。例えば課長だったら課長手当が30万円つきますし、部長だったら部長手当で50万円。これは普通のほかの給与と別につきます。
管理職でなくてもチーフディレクターとか、責任者になるような人は15万円の責任手当がついたりします。これがまったくつかずに「責任を果たしましょう」という話になってくると、やりがいはあるけど給与はないっていうことだったら、それはちょっとその会社はおかしいかもしれませんね(笑)。