【3行要約】
・「みんながんばれば成果が出る」「コストダウンで利益が増える」など、企業経営における通説が、多くの組織の成長を妨げています。
・岸良裕司氏の新著では、経営を「科学」として捉え、40年以上前から実証されてきたTOC(制約理論)の有効性を現代のビジネスに適用しています。
・組織変革には「チェンジリーダー」が必須であり、自社のボトルネックに焦点を当てた変革を実行することで、劇的な成果を得られると説いています。
なぜあなたはマネジメントを間違えるのか?
岸良裕司氏(以下、岸良):みなさん、こんにちは。今回
『なぜあなたはマネジメントを間違えるのか? 会社の常識を打ち破るチェンジリーダーの教科書』という本を出しましたが、本当に我ながら「ここまで出していいのか」というほどの最高傑作になりました。もう全部出し切ったぐらいの勢いで書きましたので、ぜひ見ていただければと思います。
最初に、書籍に書いた想いを1分半のビデオに凝縮しましたので、見ていただきたいと思います。
(動画再生開始)
動画キャプション:数年に一度、話題になっては消えていく経営手法の数々。それらは、あなたの組織に「儲け」をもたらしているだろうか? 現場の仕事を増やすばかりで、現場をますます疲弊させてはいないだろうか? 人が絡み合う組織の問題を、1つずつ解決しようとしていないだろうか?
本質はシンプルだ。自然科学では、複雑に見える現象にもシンプルさがあると考える。人が関わる社会科学にも、複雑に見える現象にシンプルさがあると考えることはできないのだろうか?
マネジメントにも、問題を解くための「公式」がある。科学理論を実践し、組織を飛躍に導くチェンジリーダーを作る。
「みんなががんばれば成果が出る」「コストダウンすると利益が増える」「効率を上げると利益が増える」「需要予測は当てられる」「進捗管理すると納期が守れる」「望ましくない現象は問題である」「メリットがあれば提案は受け入れられる」「精鋭を集めればイノベーションが生まれる」「評価制度を改善すれば従業員満足度は上がる」……。会社のオペレーションは間違いだらけ!
日本型組織にはびこる69個の「通説=ウソ」を解き明かす。逆境から飛躍を遂げた事例を多数掲載! 「言われてみれば当たり前、しかし言われるまでは気づかない――マネジメントの盲点を鋭く衝く啓蒙の書(経営学者・楠木建)」。さらば、間違いだらけのマネジメント。あなたの会社の間違いはいくつ? 経営に科学を!
(動画再生終了)
経営は実は科学である
岸良:「経営に科学を!」。これが私の魂の叫びです。この前、楠木先生(楠木建氏)が講演されましたけれども、その時に「何年か前にマネジメントの方法論とかが次々と発表されたが、ぜんぜん効力を発揮していなかった」と。「飛び道具トラップ」とか、さまざまな名前で解説がありました。
『ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か』は発売して実は40年以上経つんですけど、いまだに目覚ましい成果をずっと出し続けている。その理由は何かと言ったら、たった1つなんですね。
(経営は)実は科学である。例えばニュートンの重力の公式とかがありますよね。あれはずっと生き残っています。あれと同じように、ずっと使える公式である。こういったものを覚えてもらったほうがいいんじゃないだろうか。「経営には科学があるんだ」ということを本当に私は心から叫びたい。
「いやぁ、あの人だからできるんだ」と思っている瞬間に、みなさんは思考停止に陥る。または、「稲盛和夫に学べ」と言って稲盛和夫の本を読んで、何人が稲盛さんのようになれましたか? なんちゃっての人はいっぱい出てきたかもしれないけど(笑)。
そう考えると、「稲盛和夫がやって成果を出しているのには何か理由がある」と思って、普通だとそこから公式を導き出して、さらに言うと再現性があることをやらなくちゃいけない。
なのに多くの本は事例ばっかりで、帰納的に「こういうことが言えますよ」って言うんだけど、演繹的に「だからこうやったら必ず結果が出ますよ」っていうことは誰も言わない。でもTOC(制約理論)は「これをやったら必ず結果が出る」と言い切っているわけですね。そこが大きな違いであるということなんです。
逆境から飛躍が生まれる背景には「チェンジリーダー」がいる
岸良:『ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か』って本で、「3ヶ月以内に工場を立て直せ」ということを言っていますね。実はあれが我々の毎日です。この本を見た方々が我々の元に来るので、普通の人が一生味わいたくないような経営危機の修羅場に毎日のように会っています。1社や2社じゃないね(笑)。
そういう中で我々は活動しているんですけれども、そういう時に前もって「必ず成果が出る」と言うわけですね。で、実際にいろいろな事例をご紹介しています。
「良い事例ばっかり(を紹介しているん)でしょ?」とか、そうじゃないです。本当にDay1からみんなに希望が生まれて、2日目、3日目、4日目……。で、1ヶ月目には様変わりする。そういうことをやっているわけですね。
逆境からの飛躍を生む。そこには何があるかというと、『ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か』を読んだ人はいるんですけども、(その中で)結果を出す人と出さない人がいるんですね。読んで「ああ、学んだ」って人と「やる」人がいるんです。やる人がだいたい2割ぐらいだったんですね。
実はこういった舞台裏には「チェンジリーダー」がいるんです。お客さま(の中)にチェンジリーダーを作って、最速で儲かる会社にするというのがGoldrattの仕事で、それを科学理論でやっているってことなんです。
最も難しいのは実行
岸良:いろいろな戦略ってあると思うんです。例えば中期経営計画とか「利益を倍増するぞ」とか、いろいろなことをやると思います。「ROIC(投下資本利益率)を上げるんだ」「コミットメントしてPBR(Price Book-value Ratio、株価純資産倍率)を上げるんだ」とか、ファンドのプレッシャーが非常にきつい今の中で、やはりいろいろな戦略を作ると思うんです。
だけど、一番難しいのは実行だと思いません? 机上の戦略なんて誰でも書けませんか? 今だとAIでもできちゃうんですよ。だけど実行するのは人間なんです。「どんな優れた戦略も実行なしには結果は出ない」。これどうですか、合っていませんか? 合っているんですよ。
だけど、世にいるコンサルタントの方々って、僕も京セラ時代にお世話になったわけですが……。とにかく必要な時は「来ん」、肝心な時は「去る」、「たんと」儲けて帰るってことで「コンサルタント」と。
私なんか「コンサル被害者の会」と自ら言っていて(笑)。いまだに「コンサルタント」って言われると虫唾がはしるほど嫌なんですけど、最も難しいのは実行です。
稲盛さんは渦の中心、土俵のど真ん中で勝負をしろと。そのど真ん中に行って、修羅場に行く。で、必ず結果が出るぞとみんなに希望をもたらす。これが我々の仕事なんだ。
チェンジリーダーなしに変革はない
岸良:だから実行なんです。その仕事をするというか、それをやるのはチェンジリーダーです。このチェンジリーダーという言葉って、ほぼ使われていないんですよね。実は本で調べても、チェンジリーダーっていう言葉はほぼありません。
『チェンジ・リーダーの条件:みずから変化をつくりだせ 』というドラッカーの本は出ているんですが、これもいろいろな論文の寄せ集めで、実は「チェンジリーダー」という本は出てきていない。しかしチェンジリーダーの重要性をわかっているから、そのタイトルにしたんだと思うんですね。
チェンジリーダーなしに変革はないんだと。全員参加で変革するったってそうはいかなくて、やはり誰かが率いていく必要がある。そこで我々はチームを作っちゃうんですね。

「最速で儲かる会社に変えるチェンジリーダーは何を変えているんですか」といって考えた答えが、「思い込み」です。組織に長年染みついた既成概念を変えている。既成概念を変えるにはお金はかからないんです。だけど、桁外れに大きな成果が出る。
例えば「地球が回っている」ってどうですか? 今では当たり前ですが、前まで「地球は止まっている」と思われていた。どうですか?
「地球が回ってる」って言ったら、アニメの『チ。』で見たような、拷問にあったり殺されたり火あぶりになったりするわけですよね。そういう時代があったわけです。
でも、今でも会社の中でおかしなことがあるんじゃないですか? だけど、そのおかしなことを「おかしい」って言えない問題がありません? 僕がいろいろな現場で見つけてきたおかしなものを、全部ここに書きました。出し切ったと思って、またいろいろな所に行ったら「まだあるんだ」と思ってびっくりして。(結果的に)69個見つけたんですけども。