【3行要約】
・研修は知識習得だけでなく行動変容を促すことが本質ですが、多くの企業では効果測定までできておらず、本来の目的を達成できていません。
・調査では60パーセントの組織が効果測定を十分に行えていないという実態が明らかに。
・効果的な研修のためには、明確な目標設定、適切な実施、そして従来の前提を見直す柔軟な姿勢が必要です。
行動変容を引き起こすには研修設計が重要
中島豪氏:それでは、本題に入ってまいりましょう。今日は研修の効果測定というところですので、まずは研修の目的というところから入らせていただきます。
行動変容を引き起こすには研修設計が重要ということで、事前にメッセージもさせていただいておりますし、私もウェビナーで散々お伝えをしてるので、耳にタコができるぐらい聞いてる方もいらっしゃると思いますが、あらためてお伝えをさせていただくと、研修の目的は受講生の行動変容です。「毎年実施している階層別研修が決まっているから」「この時期はコンプライアンスが問題になっているから、だから研修が必要だ」というのはあまりにも短絡的です。
行動変容というのは、研修で教えている「期待する行動」を職場でとることです。ビジネスパーソンとしてのマインドチェンジをしていったり、仕事に必要なスキルや知識を初期段階でしっかり教えるため、そういった行動をとってもらうために実施をするのが新入社員研修です。
なので、やることが目的になってしまうと、どうしても研修の目的を見失ってしまいます。研修設計の落とし穴というのは、単に知識を習得させることが目的となっていないかというところです。知らないことを知るだけでは、あまり意味はございません。
その得た知識をいかに日常生活に、日常業務に活かしていけるのか、それが研修の真の目的だと思います。なので、本当に効果的な研修というのは、新たな知識・スキルを日常業務で活用し、その行動が組織のパフォーマンスに貢献するということです。そのためには、研修設計の段階で具体的な行動変容を目標とすることが非常に重要です。
こういったウェビナーをやらせていただいた後に、私もいろいろな会社さんと情報交換、相談会みたいなことをやらせていただいて、(その中で)必ず聞かせていただくのが「御社は何のために研修をやっていますか」というところでございます。
「今、組織ではこういう中期経営計画がある。こういう課題がある。それを実現するためには行動変容が必要です。じゃあ具体的にどんな行動が変わればその目標を、ミッションを満たすことができますか」というようなかたちで、研修の目標をしっかり明確にしていくことが今日のお話の入り口でございます。
「研修をやって終わり」は非常にもったいない
では、効果測定はどうなのかというところでございます。研修の効果測定とは、先ほどのお話から引用すると、行動変容につながっているかどうかを測ることです。なので、効果測定とは、研修が受講者の行動変容につながっているかを評価するためには、非常に重要なステップでございます。
なので、「研修をやって終わり」では非常にもったいないです。研修を行った結果、実際に業務上のパフォーマンスにどのように反映されているのかを確認することが、何よりも重要です。
例えば顧客対応スキルの研修を受けた社員の効果測定をする場合は、研修が終わった後、お客さまとの対応において、どの程度顧客満足度の向上につながる対応ができたかどうか、行動変容の度合いをしっかりと測定をしていく。そのためには、具体的な行動チェックリストなどを用いながら、研修直後から定点観測をして、行動変容度合いをしっかりと追いかけていく。
「この研修を受けたから行動が変わったよね」というものを一過性のものにするのではなくて、定期的にしっかりと測っていきながら、満たすような行動が取れているのかどうなのか(を確認する)。取れていればその研修会は成功だったと言えますし、取れていないのであれば、何が原因で取れていないのかを見直していくことによって、研修の企画ブラッシュアップにもつながってまいります。
ここまでお話をせずとも、みなさまの会社でも「やはり効果測定が必要だよな」「やる必要があるよな」といったような危機感・問題意識を持っていらっしゃるからこそ、今回私のウェビナーにご参加いただいたんだと思います。
ただそうは思っても、行動までしていただけるお客さまはなかなか珍しい希有な存在でございます。
60パーセントの組織で効果測定を行えていない
実際に研修の効果測定の実態ということで、我々は毎年市場調査をさせていただいてるんですが、今回のウェビナーの主題にもなっているとおり、60パーセントの組織では実際に効果測定を行えていないといったデータが取れています。実際のアンケートデータをお見せします。
「御社では新入社員・若手社員の育成プログラムに関する評価・効果測定を行っていますか」という質問に対して「十分行って改善につなげられている」と回答した組織は、全体のたった14パーセントしかなかったんですね。「行ってはいるが改善にはなかなかつなげられていない」という組織が26パーセントです。
そして残りの方々です。「あまり行えておらず、ここに課題を感じている」という組織が28パーセント。「そもそも研修の効果測定を行っていない」という組織が32パーセント。この2つを足して、「60パーセントの組織で効果測定が行えていない」という実態がわかります。
さらに、評価・効果測定の課題感に焦点を絞ると「やってはいるが改善につながってない」「少しはやっているが課題を感じている」という組織は54パーセントいらっしゃいますので、「やってはいるけれどもなかなかうまくいってない」という組織も、半数以上いらっしゃるというデータが採れています。
研修の効果を真に評価するためには、受講者がどのぐらい行動変容したのか、行動変容がどのぐらい組織全体の成果に貢献したかを具体的に指標化して測っていく必要があるんだというところが、この研修の効果測定の実態でございます。
ここまでのところで、あらためて研修の効果測定は、こういった意味で必要だということがわかりました。そして、今、世の中を見てみると、60パーセントの組織では効果測定までできていないというところをお話しさせていただきました。
「研修の効果測定」をどのように進めていくか
ここからは、具体的にこの「研修の効果測定」をどのように進めていくのかというポイントを整理してご案内してまいりましょう。
研修の効果測定はPDCAの「C」と書かせていただきました。効果測定は、PDCAサイクルのCheck(チェック)に該当します。PDCAサイクル(については)、あらためてお話をする必要はないと思いますが、研修を企画、実施をするにあたって、まずはPlanから入っていきます。今回、研修でどういうことやろうかな。この対象に対してどういったことを企画していく必要があるかな、なんて計画を練っていただきながら、Do、実際に研修プログラムを実施いたします。
そして、行った研修のプログラムに対して効果測定を行って、実際に効果があったのか、どういう違いが現れているのかをチェックしていきながら、Act、研修プログラムの改善活動に活かしていくなんていうサイクルをぐるぐる回していくことが、自社の人材育成を考える上で必要な流れかと思います。
従って、PDCAサイクルを回して研修の効果を継続的に高めていくためには、このチェックだけに傾倒していてはもったいないです。やはりCheckを行うためにはPlanやDoも適切に行う必要があります。
効果測定が必要だ、測っていく必要があるんだということで、どうしてもチェックにばかり注力をしてしまうケースがあるんですが、Checkだけを重要視するのではなくて、全体を見ていただきながら、PlanとDoにも目を配っていただきたいなと考えています。