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静かな分断を超える実践型ワークショップ(全4記事)

“休みを増やしたのに職場がギスギスする”という矛盾 “自由な働き方”と“組織全体の幸せ”は両立できるか? [1/2]

【3行要約】
・残業削減や休暇取得推進など制度面の改善が進む中、個人の働き方の自由度向上と組織全体の生産性向上の両立に悩む企業が増えています。
・組織開発の専門家・高橋克徳氏は、現代の若者が仕事にやりがいを求めない背景に、本気で取り組んだ成功体験の不足があると分析。
・二元論的思考や自己防衛意識を超え、小さな貢献から始めて人とのつながりを実感できる職場環境づくりが重要だと述べています。

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働き方改革が進んでも、生産性が上がらない日本の現実

高橋克徳氏(以下、高橋):今回の本を書く中で、いちばんチャレンジだと思いながら、あえてやったのが、「本質を探求する関係性をつくろう」ということでした。なぜかというと、さっきお話ししたように、いろんなものが分断しているからです。

分断している中で、その背景をちゃんと理解すること。そして、その分断の中にいても、「それでも、共有すべきことって本当にないのかな」と、一緒に考える。そこから、「じゃあ、具体的にどうしたらいいんだろう」と、一歩踏み出していく。

このプロセスを踏まないと、今のまま、何にも触れないまま、みんながモヤモヤしているけど、「モヤモヤしたままでいいや」というテーマが、どんどん増えていってしまうんじゃないかと思うんです。

今日は、その中から1つだけ取り上げてみたいと思います。本の中では7つのテーマを挙げていますが、正直、本当はもっとたくさんあると思っています。それについては、また最後に少し触れます。

今日は、「働き方」について、みなさんと一緒に考えてみたいと思います。今、働き方というと、全体としては、いい方向に来ていると思いますよね。残業を減らそう、有休をどんどん取ろう、育児休暇や介護休暇を取りやすくしよう、といった動きが進んでいる。

一人ひとりが、自分なりの働き方の裁量を持てるようにして、制度も整えていく。人的資本経営の流れもあって、そういう意味では、良くなってきた部分もあると思います。ただ、世界全体で見ると、日本はいまだに働き過ぎの国だと言われている。その状況は、あまり変わっていません。

労働時間は長いのに、生産性という意味では、日本はとても低い国だとも言われています。特に、ホワイトカラーの生産性が低い、という指摘があります。

“自由な働き方”と“組織全体の幸せ”が両立できているか?

高橋:経営の側からすると、「休みを増やす」「残業をしない」と言っても、それで業績に影響が出たらどうするのか、という不安がある。制度を整えるのはいいけれど、それによってアウトプットや成果が増えていくのか、「本当に大丈夫なのか」という問題意識もあると思います。

一方で、現場の側から見ると、制度が整って、働き方の自由度や裁量が増えるのはいい。でも、人によっては、「あの人はうまく制度を使っているけれど、自分にそのしわ寄せが来ている」と感じたり、結果的に、自分が抱え込むことになってしまったりする。そうなると、いろんなところにブレーキがかかってしまう。

一人ひとりが、自分に合った働き方をすることは、今の時代、強く求められています。でも、それが、周りの人にとっても、組織全体にとっても、いい成果につながる、ということが見えないまま、働き方はもっと自由に、という話と、組織としてみんなが幸せになる、という話が、どこかで噛み合っていないんじゃないかなと思うんです。

だから、こういうことを、もう1回ちゃんと話してみませんか、ということです。みんなは、どんな働き方をしたいと思っているのか。その働き方を、みんなが実現しようとした時に、生産性や業績がちゃんと上がって、みんなが幸せになる。その状態に、どうやったらつながっていくのか。

個人それぞれの自由な働き方と、組織としての成果や幸せ。その2つが、どのようにつながっていくのかが見えないまま、このまま進んでいって、本当に大丈夫なんだろうか。そういう問いを、投げかけたいと思っています。

残業してまで人の仕事をフォローするのは変?

高橋:ここから、1番と2番について、まずみなさんに話してほしいと思います。今、働き方を巡って、いろんな価値観や考え方が広がっていますよね。ワークシートがあると思うので、それを見ながら進めてください。

質問はいくつかあります。例えば、「健康や私生活を守るために、勤務時間外の仕事や連絡には、一定の線引きが必要だ」と思うかどうか。若い人の中には、5時になったら「スマホをロッカーに置いて帰ります」とか、「電話は一切取りません」と言う人も増えています。

そういう考え方を「当然だな」「いいな」と思うのか、それとも「ちょっと難しい」「よくわからない」と感じるのか。他にも、「時間や場所、仕事の進め方を柔軟に選べる自由度は、本当に大切だ」と思うのか、「残業してまで、人の仕事を手伝ったりフォローしたりするのはおかしい」と感じるのか。

あるいは、「自由な働き方を選択して、本当に仕事がうまく回るのか」「負担が誰かに偏らないか心配だ」と思うのか。「生産性が低いと言われても、これ以上、生産性を上げるのは難しいし、実際、あまり変わらないんじゃないか」と感じているのか。

こうした点をチェックしながら、みなさんは今、働き方を巡って、どんなことが気になっているのか。まずは、そこを話してほしいと思います。

そのうえで、2番目です。「自分の中で、こういう価値観は、ちょっと向き合えないな」「難しいな」と感じているものは何か。それはなぜなのか。その背景に、何があると思うのか。そこも一緒に考えてみてほしいんです。

例えば、さっきの「5時になったらスマホを切って帰ります」と言われた時に、その価値観の背景に、何があるんだろうか。そこまで踏まえて考えていくと、働き方がどんどん自由に向かっている一方で、「それだけでいいのかな」という悩みの中で、今、何が起きているのか。その背景に、みんなが何を感じているのか。どこまで見えてくるか、ということです。

「働きやすさ」は求めるけど「働きがい」は求めない

高橋:今回は、ここに集まっているみなさんは、たぶん似たような問題意識を持っているので、あまり多様な意見は出てこないかもしれません。本当は、若い人と一緒にやるとか、経営層と一緒にやることを想定してほしいところです。

まずは、「働き方を巡って、みなさん自身が今、何を感じているのか」「その中で、特に気になるのはどんな点か」「その背景に、何があると思うのか」。大きくこの3つを意識しながら、話すところから始めてください。

(参加者同士で話し合い)

高橋:お帰りなさい。なんか、モヤモヤしますよね。若い人たちが「仕事は仕事、ワークとライフは切り離して、むしろライフのほうが大事だ」と言う。

学生と話をしていても、例えばサッカーが好きな学生は、「サッカーを応援できるから人生であって、仕事はそのためのお金を稼ぐもの。時間は絶対に拘束されたくない」と言うんです。「そういう働き方を私はしたいんです」と言って、ちゃんとその会社を選んだ学生もいます(笑)。

そういうふうに考えて選んでいる人もいる。推し活をしたいから、「人生はそっちなんです」「私はそれを楽しみたいんです」と言う。内心、それで続けばいいなとは思いますけど、でも、そういう話を聞くと、「あなたはあなたなりに考えているんだな」と感じる一方で、「それでいいのかな」と思う学生もいる。

実際、大学の授業で「仕事にやりがいを求めますか、求めませんか」と聞くと、「働きやすさは求めるけど、働きがいは求めない」という答えがよく返ってくる。

「なんで」と聞くと、「働きがいって、よくわからないから」と。なぜかというと、これまでの人生の中で、コロナの影響もありますけど、みんなで本気でがんばって、何かを乗り越えて、大きな喜びになった経験があまりない。そういう経験を通じて、それが自分のあり方として大事なものになる、というところまで至っていない。

だから、仕事を通じて、自分の中に何か大事なものが積み重なっていくとか、それによって人生を豊かにしたい、という感覚に、まだなれていない。そうすると、働きやすさを求めたほうが、「自分らしく生きている」という実感が持てる。

じゃあ、そういう人たちと、どう向き合い、どう対話したらいいのか。今、この場で話をすると、たぶんそういう問いはあまり出てこないと思うんです(笑)。「もっとやりがいを感じさせたほうがいいよね」といった話になりがちだと思う。

でも、そういう人たちと対話しようとした時に、「どんなふうに対話したらいいんでしょうか」ということなんですよね。何かを共有し合ったほうがいいと思うんです。何かを、共有し合ってほしいんですよね。

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