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静かな分断を超える実践型ワークショップ(全4記事)

“一緒に働くメンバーのことをほとんど知らない”職場… “なんでもう帰るの?”という不信感が生まれる理由 [1/2]

【3行要約】
・職場でのコミュニケーション不足が問題視される中、特に本音で向き合える関係性の構築が課題となっています。
・高橋克徳氏は、Z世代の自己防衛的な傾向も含め、現代の職場では対話の前提となる相互理解が不足していると指摘。
・「I'm OK」の状態を作るため、「らしさフィードバック」や「困ったこと相互コーチング」などのワークで、一人ひとりの受容感を高めることから始めるべきだと語ります。

前回の記事はこちら

“本音で向き合えない職場”から抜け出すためのワーク

高橋克徳氏(以下、高橋):では、ここから、向き合う時の話に入ります。いきなり「対話しましょう」とか、「本質的なことを対話しましょう」と言っても、やはり難しい。だからまずは、本音で向き合えるような土壌づくりが必要だと思っています。

お互いを知ることから始めて、そこから少しずつ寄り添い、一緒に探求していく。そういうステップを踏んでいく中で、本音が出てくる関係をつくっていく、ということです。

「知る」というところで、いちばん典型的にやっているのが、「私は……」と書き出して、「自分のことを20個、何でもいいので書いてください」とお願いするワークです。それを、お互いにシェアし合う。

性格や趣味、これまで経験してきたこと、家族のこと、健康のこと。本当に何でもいいので、「自分のことを知ってもらいたい」と思うことを書いてもらいます。本当は、今日も時間があればやりたかったんですけどね。

これをやると、みんな「お互いのことを知っているようで、実は知らなかった」と、すごく感じるそうです。ある時期から、特にコンプライアンスの影響もあって、「あまり人の話を聞いちゃいけない」「人のことを聞いちゃいけない」という空気が、2000年代の後半ぐらいから出てきました。そこに加えて、飲み会が減って、さらにコロナもあった。

一緒に働いているのに、その人が本当はどういう人なのか、わからない。でも、健康のことや家族のことを知っていれば、例えば、黙っていなくなった時に、「あ、お子さんが熱なのかもしれない」と思える。そうすると、みんな、自然と優しくなれる。知らないと、「なんで最近、あの人はちょこちょこ帰るんだろう」「なんで時間どおりに帰るんだろう」となって、そこに不信感が生まれてしまう。

そういう意味でも、お互いのことをもっと知るというのは、楽しいことでもあるし、いろんなことを支え合っていくための、とても大事な土台だと思います。こういうことをやってみる。まずは、そこが入り口として、すごく大事なんじゃないかなということです。

職場に加わった新しいメンバーを知るためのポイント

高橋:他にも、「いろんなことをやってみましょう」とお伝えしています。

その1つが「トリセツ」です。実は、ワークブックを用意していて、やりたい方には、こうしたワークがすべて入っています。

この「トリセツワーク」は、自分自身の取扱説明書をつくるものです。私たちの会社でもやっているんですが、新しい社員が入ってきた時、部署異動でも転職でもいいんですけど、そういう方が来たら、既存の社員3人と新しい社員1人で集まって、まず既存の社員が自分のトリセツを説明します。

そこには、「私はこういう人です」ということだけじゃなくて、ご機嫌になるポイントや不機嫌になるポイント、自分の得意なことや苦手なこと、「こういう時はがんばれるけど、こういう時は助けてほしい」といったことを書いています。つまり、「私をこういう時には、こういうふうに取り扱ってください」ということを、あらかじめ説明するんですね。

これをシェアすると、何がいいかというと、特に新しく入ってきた人は、この場所がどういうところなのか、どんな人がいるのかがわからない。しかも、「がんばって認めてもらわなきゃいけない」という気持ちが強いと、不安なことや苦手なこと、助けてほしいことは、なかなか言えないですよね。

でも、既存の社員が先に言うんです。「私は、こういうところが苦手です」とか。「こういう時は助けてほしいです」と。そうすると、「ここは、そういうことを安心して言っていい場所なんだ」と感じられるようになる。心理的安全性という言葉がありますけど、「みんなが言いたいことを言えますよ」と言うだけでは、そんな簡単にできないと思うんです。

本当は、「自分はどういう人で、どんなことに悩んでいて、どんなことが難しかったり苦手だったりするのか」。そのうえで、「それでも、この場所で一緒にがんばりたい」。そういう気持ちが湧いてくるようなかたちで、お互いを知ることをやらないと、結局、表面的な情報だけで、その人がこういう人だからと判断されてしまう。そういうことを、ちゃんとやってみようよ、という話です。

自分が必要とされていると実感できるワーク

高橋:それから、ベテラン社員であれば、「自分史ワーク」というものもあります。自分がこれまでどんな経験をしてきて、どんな思いを抱いてきたのか。その中で、何に悩み、何を乗り越えてきたのかを、一人ひとりの仕事人生として、ちゃんと聞いていく。

そうすると、「この人は、仕事の中で、いろんなことを考えながら、いろんなことを乗り越えてきた人なんだな」と見えてくる。それが、その人への信頼や尊敬に変わっていく。そういうことを、1つ1つ丁寧にやっていこう、ということなんです。

「らしさフィードバック」というものもあります。これは、無意識の能力とも言っていますが、周りから見て、その人の良さを、その人の日頃の振る舞いや言動から感じ取って、伝え合うワークです。本人は、だいたい気づいていないんですよね。自分では当たり前のようにやっていることなので。

でも、そういうことを周りから言われた時に、「ちゃんと見てくれているんだな」とか、「自分では普通だと思っていたけど、みんなはそれをいいと言ってくれるんだな」と感じる。それが、自分に対する「受容感」だったり、自分は必要とされているんだという実感に変わっていく。そういう意味でも、こういうワークはいいなと思っています。

それから、「困ったこと相互コーチング」というものもあります。本当に困っていることを、お互いに持ち寄って、簡単なコーチングの手法を使いながら、相談に乗り合うんです。

部署が違っていても、仕事の内容が違っていても、実は相談には乗れるんですよね。その人が何に困っていて、本当は何を変えたいと思っているのか。そこに伴走するような問いかけをしていくと、「あ、そういうことだったんだ」「自分は、こうしたかったんだ」ということが見えてくる。そのプロセスを、そっと手伝ってあげる。そんなことをやってきました。

対話のワークは「やっていくと楽しくなる」から続く

高橋:他にも、うまくいかないことについて「心理さがし」をして、「その背景に何があるのか」を一緒に探ってみたり、あるいはリミッターを外して、「本当は、こうしたいんだ」という思いを、みんなで重ねてみたりするワークもあります。

どれも、だいたい15分から20分ぐらいでできるものです。そういうことを、「2週間に1回、職場でやってみませんか」とか、「研修の中に取り入れて、まずはお互いのことをよく知るところから始めてみませんか」「対話ができる土台をつくってみませんか」といったかたちで、ぜひ試してみてほしいなと思っています。

大事なポイントは、やっていくと楽しくなってくる、ということだと思います。お互いのことを知るのって、意外と楽しいなとか、困ったことに寄り添ってもらえるのって、すごくありがたいなとか。そういう感覚が、たぶん今の組織の中から失われている。その感覚を取り戻すことを、まず入り口で、しっかりやっていったほうがいいんじゃないかなと思っています。

日本人って、本当はそういうところを、すごく大事にしてきた人たちだと思うんですけど、真面目過ぎて、閉じ込められると、その中に閉じこもっていってしまう。その感覚のほうが強くなってしまった。

だから、うまい仕掛けで、こういうことをやってみてほしい。ワーク自体は、本当に、今日お話ししたようなものを使ってもらって、ぜひ試してもらえませんか、ということなんですよね。

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