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静かな分断を超える実践型ワークショップ(全4記事)

「結論は何?」が先に立つ職場で起きている“静かなる分断” 対話の土台をそろえるための5つのカギ [2/2]


「休みが大事」という若手と「お客さんのためにやるのが当たり前」の上司

高橋:でも、その時に、「なんでそういう見方をするんだろう」と思うことがあるわけですよね。そこで大事なのは、「なぜそうなっているんだろう」「その背景に何があるんだろうか」ということを、一緒に考えようとする姿勢です。

例えば、若い人たちから「やはり休みが大事です」と言われた時に、「いや、休む前にちゃんと仕事の成果を出して、残業をしてでもお客さんのためにやるのが当たり前でしょう」と返してしまったら、もうそこで終わってしまう。そうではなくて、「なんでそう思うのか」「なんでそこまで大事だと思うのか」を聞いてほしいわけです。

逆に、経営層が「お客さんのためには、時間ではなく成果を求めてがんばろうよ」と言うのであれば、「なぜそこまでそう思うんですか」と聞いてほしい。そこだけではかみ合わないこともあるかもしれないけれど、やはり、その背景を知ろうとすることが大事だと思います。

そして、もう1つ大事なことがあります。これがいちばん大事なんですが、議論ではなく、対話をしようということです。つい、その場で議論したくなってしまう。「それは違う」「私はこう思う」と、自分の意見をぶつけ合う。より確からしい答えを選ぶプロセスが議論です。

対話はそうではありません。「なんでそう思うのか」「そうしたら、どんなことが起こるのか」「それは誰にとって、どんな幸せにつながるのか」。そういう問いを重ねながら、一緒に探求していくプロセスが対話です。

そうしていくと、みんなで1つの答えを見つける、あるいは、今まで気づいていなかった新しい答えをつくっていくことになるかもしれない。そういうスタンスで向き合うことが、対話なんだと思います。

これをやらないと、どうしても議論になってしまう。自分の意見を言いたくなってしまう。特に立場が上の人が意見を言った瞬間に、それが決まり事のようになって、誰も何も言えなくなる。だからこそ、立場が上の人ほど、問いを立てること、一緒に探求したいという姿勢で、いろんなことを掘り下げていくことが大事だと思っています。

今までの当たり前を問い直す

高橋:その時に、もう1つ出てくるのが、「確かに違うのかな」「そんなふうに価値観が変わってきているのかな」「でも、自分たちにとっての当たり前で、それでうまくやってきたわけだけど、本当にそれでいいのかな」という迷いです。今までの当たり前を、問い直してみようということですね。

例えば、「残業してでも成果を出すことが、お客さんのためになる。それは大事だよね」と言われた時に、「それが当たり前だと思ってきたけれど、本当に当たり前なのかな」「そもそも、私たちが本当にいい仕事をするって、どういうことなんだろう」。そういう問い直しをしていく。

さらにもう1つ大事なのは、そこで「じゃあ、答えはこれだよね」と一致させようとしないことです。まだまだ、いろんな価値観や考え方があることを前提にして、意見を重ね合わせていく。その中で、重なりを見つけていくということです。

そういうスタンスで対話をしていくと、「なるほど、経営層はこう考えている」「若手層はこう考えている」。その違いの中に、「あ、ここに1つ大事なものがあるんだな」「これは、みんなで共有しなきゃいけないな」。そんな気持ちになれるんじゃないかなと思います。

今お話しした5つについて、ここから少しみなさんに考えていただきたいと思います。

時間は短めですが、今聴いていて、「これ、うちでは足りていないかもしれない」とか、「これが一番大事だな」と感じたことは何でしょうか。今の話の中で、「これはみんなに共有しなきゃいけないスタンスだな」と思った部分を、短い時間ですが、話してみてください。お願いします。

(参加者同士で話し合い)

高橋:たぶん、今みなさん、話をしながら、「大事だとは思うけれど、それが難しいんだよね」とか、「そこに入るために、どうしたらいいんだろうね」とか、そういう対話をされていたんじゃないかなと思います。

どうでしょうか。あらためて、「対話をしよう」と言われた時に、その入り口にどう立つのか。こういうスタンスをどう共有するのか。その時に、どこがいちばん難しいと感じますか。もし、言いたい方がいたら。

参加者1:さっき、4人のグループで話をしていたんですが、「そもそも、私の職場には対話がないんです」「あるのは議論だけなんです」「結論を出すための議論しかないんです」という話になりました。それが、もう会社のカルチャーになってしまっているんですね。

例えば、ランチの場でいろいろ話していても、「その話の結論は何ですか?」と言いかねないようなカルチャーです。対話の重要性については、みんな「そうだよね」と言うけれど、実際には、今の会社のカルチャーや、人々のマインドを変えるところまでやらないと、対話はできないんじゃないか。かなりハードルが高いなと、今日のお話を聴いていて感じました。

なぜ早く結論を聞きたがるのか

高橋:もう、問題解決思考ですよね。議論をして、スピーディに動く。これは、特に日本企業がずっとやってきたことだと思います。どちらかというと、統合性を高めて、効率性を高めて、いかに正解に近づくか。それをやってきた。

でも、「このまま続けていった時に、その正解を出し続けられるのか」とか、「いろんな変化に、本当に向き合っていけるのか」というところで、今、対話が必要だという話になっているわけです。そういう社会的な背景も含めて伝えていかなきゃいけない。ただ、ある意味で、文化を変えるところまでいかないと難しい、ということですよね。

実際、私たちがやっているのも、リーダーシップ開発、とくに次世代経営層や次世代リーダーを対象にしたものですが、テーマはやはり「文化を変える」ことなんです。結局、最後はそこに行き着いてしまう。

自分たちの思考の仕方や行動の仕方が、ずっと積み重なってきている。その中で、当たり前だと思っていることを問い直していく。そういうことを、時間をかけてやらないと、特に上の層がやらないと、難しいケースはけっこうあります。本当に、本質的というか、いちばん難易度が高いところですけど(笑)。でも、そこに踏み込めるかどうか、というところですよね。

他の方も、どうですか。今、話をしていて、何か他にも言いたい方はいらっしゃいますか。

参加者2:私の会社も、議論のみで対話がないなと感じています。今日のお話を聴いていて、他社さんも同じなんだと思ったら、「ひとり人事」をしていて、しんどくなっていたんですけど、聴いていることで、なんだか癒されながら、解決策が見えそうな時間にできそうで、うれしいです。

高橋:ありがとうございます。たぶん、これもそうなんですけど、「なぜ対話が必要なのか」ということは、確かに、みんなで考えていかなきゃいけない。ただ、対話という言葉から、いきなり入らなくてもいいと思っています。

今、みんな悩んでいるわけですよね。モヤモヤしている。本当に、このままでいいのかと。さっき、別のグループでも出ていたんですが、経営層が「そもそも、そんな必要はない」「議論して、スピーディに動くことが大事だ」と言っている。

でも、その一方で、経営層自身も、若い世代がどう考えているのかとか、人が早い段階で辞めてしまうこととか、そういうことが起きている中で、価値観が変わってきているということ自体は、気になっているはずなんです。気にはなっている。でも、どう向き合っていいかわからない。「それよりも、目の前の課題を」となってしまっている。

経営層が抱く社員へのモヤモヤ

高橋:でも、そういう人たちが中心になっていく組織が、これから先に来た時に、どう向き合えばいいのか。本当は、そこを考えなきゃいけないんですよね。その時に、「どう思っていますか」と聞いてみる。あるいは、みんなの声を集めてみて、「実は、こんな変化が起きているんです」「私たち自身、どう向き合えばいいのか、本当に悩ましくなっています」「一緒に考えてもらえませんか」と投げかけてみる。

そうすると、経営層も「えっ、そうなの」と言いながら、意外と真剣に向き合ってくれる人は多いと、僕は感じています。私自身も同じバブル世代ですけど、バブル世代の経営層に、そんなに悪い人はいないですよ(笑)。まあ、そんなことはないかもしれないけど。

でも、ある意味で、僕らの世代が、経営をやりながら、社員の気持ちがわからなくなってきている。だから、本当はモヤモヤしているんじゃないかと思うんです。モヤモヤしているけれど、誰もそこに触れない。「どうせ、経営層に言っても」と思われているから、経営層自身も、向き合うきっかけをつくれなくなっている。そんな状態になっているんじゃないかなと。

だからこそ、向き合うきっかけをつくっていく。そのための一歩を、ぜひつくってほしいと思います。場のつくり方はいろいろあります。例えば、日々の職場の中で、毎週1回、10分だけでも、お互いのことを話す時間をつくる。そういう小さな取り組みもある。

あるいは、さっき触れた研修のようなものが、本当にいいかどうかは別としても、ちゃんとした立て付けをつくって、「会社として、こういうことをやっていこう」と真剣に示す。表向きは人材育成というテーマでも、実はその裏側で、「文化をつくる」とか、「一緒に組織をより良くしていく」といったテーマに向き合っていく。そういう、いろんな知恵が必要だと思います。

そうしたことを重ねながら、本当に向き合っていく。その一歩を踏み出すことが、今、必要なんじゃないかなと、僕は思っています。

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